魔法少女まどか☆マギカ 聖なる焔と新たなる運命 作:緋月ルナ
今日からまど☆マギ×テイルズオブジアビスのクロス作品である本作を投稿していこうと思います。
別作のオリジナル小説と平行して書いていくので、投稿は不定期となります。
また、オリジナル小説より軽く読めるようにするため、文字数も半分ほどとさせていただきます。
是非よければオリジナルの方も読んでくださいね。
ではでは、よろしくお願いします。
第1話 魔法少女
魔法少女まどか☆マギカ 聖なる焔と新たなる運命
「う…ん……痛ってえ…」
痛む頭を抑えて赤髪の男。ルーク・フォン・ファブレは起きあがる。
「ここは…?確か俺は…」
周囲を見回すが、見慣れない景色だ。
バチカルの廃工場のようにも見えたが、少し違う。
「おーい!ティア!ガイ!ジェイド!」
仲間達の名前を呼ぶが返事はない。
「くそっ…何なんだよ…」
ルークはイラつきながら出口を探して歩きだす。
当たりは薄暗く、たまにある窓から光が差しているだけだ。
見知らぬ場所にいる事に不安を覚える。
その時─────
─────ガタッ
物音に振り向くと、そこには黒い衣装に身を包んだ男が立っていたのだ────
「はぁ…!はぁ…!」
ピンク髪の少女、鹿目まどかは怪我をした白い生き物を抱えて、走っていた。
だが、途中から周りの景色が変貌し、『それ』は彼女達を囲んでしまう。
「冗談だよね…?あたし、悪い夢でも見てるんだよね!?ねえ、まどか!」
青髪の少女、美樹さやかが叫ぶ。
だが、ハサミの化け物は彼女達をじりじりと追い詰めていく。
(もう…ダメ…)
そう思った瞬間────
「危なかったわね」
自分達の立っていた床が輝き、ハサミの化け物は消滅する。
「でも、もう大丈夫」
そう声が聞こえ、振り返ると金髪をスパイラル状にカールさせた少女が彼女達に向かって歩いてきていた。
「あら、キュゥべえを助けてくれたのね?ありがとう。その子は私の大切な友達なの」
「私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」
「ふぅん?なるほどね。その制服、あなた達も見滝原の生徒みたいね?二年生?」
まどかの言葉に何か納得したように
「あの…あなたは…」
「そうそう、自己紹介しないとね。でも…その前に…」
さやかは訪ねるが、自分達の周囲に鎖が展開される。
「ちょっと一仕事片付けちゃっていいかしら?」
そう言うと金髪の少女は金色の卵のような物を掲げると、彼女は光に包まれ制服から、ブラウスとスカートにベレー帽やコルセットを組み合わせたクラシカルな服装へと変わる。
そのまま彼女は飛び上がると、自信の周囲に無数のマスケット銃を展開し、それを一斉に放つ。
無数の弾丸はハサミの化け物へと降り注ぐ。
「す、すごい…」
まどかはその姿を見て感嘆の声を漏らす。
すると、周囲の景色が元に戻っていく。
「も、戻った…!」
だが、彼女達の目の前に黒と白を基調とした少女が現れる。
金髪の少女は彼女に
「魔女は逃げたわ。仕留めたいなら、すぐに追いかけなさい。今回はあなたに譲ってあげる」
「私が用があるのは…」
「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」
声のトーンを落とした彼女の声に空気がビリビリと震え、その緊張感はまどかやさやかにも伝わる。
「お互い、余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」
「………」
黒髪の少女は踵(きびす)を返すと、その場から姿を消す。
『ほっ…』
まどかとさやかは安心し、安堵の息をつく。
──
────
────────
───────────
その後、彼女達はキュゥべえと呼ばれた生き物の治療をしていた。
金髪の少女──巴マミがキュゥべえに光を当てると、その生き物は目を開く。
「ありがとう、マミ。助かったよ」
「お礼はこの子達に。私は通りかかっただけだから」
「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」
キュゥべえはまどか達の方を向くと、彼女達に礼を言う。
「あなたが私を呼んだの?」
「そうだよ、鹿目まどか。それと美樹さやか」
「どうしてあたし達の名前を?」
当然の疑問にさやかは狼狽えつつ、尋ねる。
だが、キュゥべえはそれに答えず、続ける。
「僕は君たちにお願いがあって来たんだ」
「お、お願い?」
「僕と契約して魔法少女になってほしいんだ」
次の日─────
「んぅ…?」
まどかは妙な夢から目が覚める。
「はぁ…また変な夢ぇ…。ん?」
枕を抱えると彼女は何かに気付き、ぬいぐるみを置いてある棚をみる。
そこには
「おはよう。まどか」
キュゥべえが座っていた。
「はは…」
それを見てまどかは苦笑いを浮かべるのだった。
そして、昨日の事を思い出す。
その晩、まどかとさやかはマミの部屋に呼ばれていた。
「マミさん、すっごく美味しいです!」
「めちゃウマっすよ!」
「良かったお口にあって」
ケーキと紅茶を楽しみつつ、マミが説明をする。
「キュゥべえに選ばれた以上あなた達はもう他人事じゃないものね。ある程度の説明は必要かと思って」
「うんうん、何でも訊いてくれたまえ」
「さやかちゃんそれ逆…」
まどかは苦笑いするが、マミはクスクスと笑うと金色の宝石をとりだす。
「わぁ…綺麗…」
「これがソウルジェム。キュゥべぇに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石よ。魔力の源であり魔法少女のあることの証でもあるの」
「契約って?」
「僕は君達の願い事を何でも叶えてあげる。でも、それと引き替えに出来上がるのがソウルジェム。この石を手にした者は魔女と戦う使命を課されるんだ」
「魔女って何なの?魔法少女とは違うの?」
さやかが尋ねると、キュゥべえは答える。
「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば魔女は呪いから生まれた存在なんだ。魔法少女が希望を振り撒くように魔女は絶望を撒き散らす。しかもその姿は普通の人間には見えないから質が悪い。不安や猜疑心…過剰な怒りや憎しみ。そういう災いの種を世界にもたらしているんだ」
キュゥべえの説明に付け足し、マミが口を開く。
「理由のはっきりしない自殺や殺人事件はかなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。形の無い悪意となって人間を内側から蝕んでいくの」
「そんなヤバい奴らがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。さっき君達が迷い込んだ迷路のような場所がそうだよ」
「結構危ないところだったのよ?あれに飲み込まれた人間は普通は生きて帰れないから…」
「マミさんは、そんな怖いものと戦っているんですか?」
「そう、命がけよ。だから、あなた達も慎重に選んだ方がいいわ。キュゥべえに選ばれたあなた達にはどんな願いでも叶えられるチャンスがある。でも、それは死と隣り合わせなの」
「ふぇ…」
「…悩むなぁ」
「そこで、提案なのだけど、2人共しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
『え!?』
マミのまさかの提案に2人は耳を疑う。
「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。その上で危険を犯してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
(マミさんはそう言ってたけど…大丈夫かな…)
その日の放課後、まどかとさやかはマミの魔女退治について行っていた。
「今日こそ逃がさないわよ」
マミはそう呟くと、さやかの持っていたバットを掴み、その形を変化させる。
「うわ…うわわ…」
「すごい…」
「気休めだけど、これで身を守る程度の役には立つわ。絶対に私の傍を離れないでね」
そう言い、マミは魔女の結界へと飛び込む。
『はい!』
その後にまどかとさやかも続く。
結界に入ると、螺旋階段を彼女達は使い魔を撃退しつつ登っていく。
「来んな…来んな!」
「どう…?怖い?2人共」
バットを振り回すさやかを見て、マミは聞く。
「な、なんてことねえって!」
たが、さやかは強がってみせる。
(怖いけど…でも…)
まどかの目にはマミの姿は輝いて見えていた。
自分もこうなりたいと、そう感じていた。
「頑張って!もうすぐ結界の最深部だ!」
しばらく走ると、キュゥべえがそう教えてくれる。
そして、目の前に、扉が現れる。
その中に入ると、今までのどれよりも禍々しいそれが待ち構えていた。
「見て。あれが『魔女』よ」
「あんなのと…戦うんですか?」
「大丈夫。負けるもんですか。下がってて!」
そう言い残すと、マミは飛び降り、魔女に向けてマスケット銃を乱射する。
だが、魔女はマミを捕まえると壁に叩きつけ、さらに逆さにして宙吊りにする。
それでも、マミは余裕の表情を絶やさない。
「マミさん!」
「大丈夫。未来の後輩にあんまり格好悪い姿は見せられないものね!」
そして、魔女の拘束を解くとマミは巨大な銃を召喚する。
「ティロ・フィナーレ!!!!」
その巨大な銃から放たれた光は魔女を吹き飛ばして消滅する。
魔女を失った結界は形を崩し、元の景色へと戻っていく。
「か、勝ったの…?」
「すごい…」
マミは微笑むと目の前に転がった黒いものを拾う。
「これはグリーフシード。魔女の卵よ」
「た、卵…」
「運が良ければ、時々魔女が持ち歩いてることがあるの」
「大丈夫。その状態では安全だよ。むしろ役に立つ貴重なものだ」
そうキュゥべえは説明する。
「私のソウルジェム、昨夜よりちょっと色が濁ってるでしょ?」
「そういえば…」
マミに言われてソウルジェムを見ると、確かに少し色が濁っていた。
「でも、グリーフシードを使えば…」
「ほら」
「あ…綺麗になった」
「ね?これで消耗した私の魔力も元通り。前に話した魔力退治の見返りっていうのがこれ」
マミはそう言うと、グリーフシードを投げてしまう。
「あ…」
「あと1度くらいは使えるはずよ?あなたにあげるわ暁美ほむらさん」
視線の先には、昨夜の魔法少女であると同時に、転校生である彼女がいた。
「あいつ…」
「それとも、他人と分け合うのは不服かしら」
「あなたの獲物よ。あなただけの物にすればいい」
ほむらは手に持ったグリーフシードをマミに投げ返す。
「そう。それがあなたの答えね」
そのままほむらは踵を返して姿を消してしまう。
「くぅぅぅ…!感じ悪い奴!」
「仲良く出来ればいいのに…」
「お互いにそう思えれば、ね…」