私の正義論   作:黒猫0529

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エピローグ

見上げる限りの星の群。もうちょっと手を伸ばせば届いてしまいそうな星空の下。

まるで二人のために用意されたような、気持ちのいい風の吹く深緑色の絨毯の上。

 

「わ…すごくきれいだよお姉ちゃん」

「そうでしょう?かなでを連れてきたかいがあったね」

「もうすぐで手の届きそうな空って本とかでよく聞くけど、ほんとに届きそう・・・。実際届くんじゃない?」

 

寒くない?と、一人の影が、一回り小さい方の影を後ろからそっと包みこむ。

街の街頭にも、住宅街の灯りにも邪魔されない。静かに星達をより魅せるこの場所は、初めて奏に見せる紅音のお気に入りの場所だった。

 

「んーと・・・あれがふたご座だったと思う。わかる?」

「えーっと・・・?あのおっきい星とその斜め下のやつ・・・?」

「ううん。ほら、指を出して。こう、こう・・こう繋げるのよ」

 

月明かりに照らされたゆらゆらと揺れ動く二人の腕。

 

「?・・・わかんない」

「う、えっとね。あそこに三つおっきくて頑張って光ってる星が3つあるの。それはわかる?」

「んと・・あっ、見つけた!これがふたご座?」

「それは冬の大三角っていうのよ。」

「冬の大三角?」

「そう、じゃあ今かなでが見つけた冬の大三角の左上にさ。ほら、またおっきくて明るい星が2つ。」

 

満天の星空には普段見えるよりも多くの星達が光っている。綺麗だが特定の星を探すのは少し難しそうだ

それでもかなでは星を目でなぞっていった。

 

「あっ・・みーっけたっ!」

「それは双子の頭のお星様よ。これをもうちょっと繋ぐんだけどここじゃあ難しいね」

「じゃあ今度は星座の本を持ってまたここに来たい!」

「そうね、また連れてきてあげるね」

 

紅音は嬉しそうな顔で笑った。

 

「じゃあ左のおっきいのがおねーちゃんで、右の少し小さいほうが私かな」

 

目をキラキラさせてかなでが言う

 

紅音は奏のきゃしゃな体をぎゅっと抱きしめた。

 

「お姉ちゃん?」

「・・・かなであったかい」

「お姉ちゃんよちよち」

「ん…」

「お姉ちゃん1番好き!」

「そうね・・。私も家族の中でかなでが一番好きかな」

 

朱乃は少し寂しそうな表情をした。

 

”こんなにも純粋な愛を伝えてくれるこの子に私の本当の思いなんて..

 

 

「・・・・おねーちゃん?どうかしたの?寒いの?」

 

かなでが私の顔を覗き込んでいた。

 

「ううん、なんでもないよ。ごめんね考え事してた」

「へぇ!おねえちゃんが悩み事なんて珍しいね」

 

紅音は微笑んでかなでの頭を撫でた

 

「私に話してもいいんだよ~?聞くだけだけどね!き・く・だ・け!」

「ううん大したことじゃないから気にしないで」

 

吸い込まれそうな綺麗な星空

頬に当たる風がとても気持ちいい

このままこの子と一緒にこんな場所で生きていけたらどんなに幸せか

 

「ずっとずっと一緒だよお姉ちゃん」

 

ふと私を元気づけようと奏がにぃっと笑った

ずっとずっと。一緒にいたいよ、私も。

この子の呼吸が止まるまで側にいてあげたかった

 

「うん、一緒にいるよ・・」

 

私は今、いつも通りの笑顔ができているだろうか。

せっかく、楽しませてあげようと連れてきたのに私がこれじゃぁだめだな・・

 

悟られぬように、

大切な大切な存在を、この瞬間を忘れぬように、紅音は記憶の底に刻み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実に当時17。歳聚洛 紅音という世界を凌駕した幼きリーダーが帰らぬ人となる一か月前の軌跡である。

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