ジャブローのモグラども   作:シムCM

12 / 42
11 MS‐07『グフ』

連邦軍本部ジャブローの中枢にある重役会議室で、派閥トップにして実質連邦軍の総指揮官から、指名を受けた中間管理職の心境を応えろ。

ライフカード! ライフカード!

 

「はっ。カルナギ少佐であります」

 

反射的に立ち上がって、名乗りまでしてしまった。オワタ。

 

「うむ。何か気が付いたようだが」

「はっ。状況を確認した所、問題ないと思われます」

 

いやまて。オレは何を言ってるんだ?いやいや、そう結論付けたんだが、その過程をすっとばしているだろう!?

落ち着けオレ。一度言葉を切って大きく息を吸う。

 

「……失礼。少し取り乱しました。が、結論は先のとおりです。この新型に関してそう大きな問題ではありません」

 

周囲の高級官僚がザワザワと騒ぎ出している。注目の的だが、どうも一回りしたようで冷静になってきた。

レビル将軍は、両手を机の上で組むと興味深そうに眉毛の下からするどい視線を向けて、話を促す。

 

「まず、映像を戻してください。ええ、この大型シールドです。見えづらいですが左腕の指先が見えるでしょうか? 銃口になっています。おそらくバルカン砲です。それでいて、マニュピレーター機構を排除していない。これは、近接戦闘を主体とした機体である事を意味しています。つまり、モビルスーツ戦を想定した対連邦MS用機体です」

 

ザワザワがボリュームを増す。少し待って、収まるのを待つ。

 

「つまり、この大型シールドで砲撃を受け止めて接近し近接能力で圧倒して勝つ。どれほど威力のある砲撃でも接近戦ではその効力を発揮しません。この新機体の足首周りの解析がすめば、機動力や近接時の旋回能力が増加していることも判明するでしょう」

 

再びボリュームをあげようとする雑音を制するように、大声で結論を繰り返す。

 

「故に、問題ないと言えます。なぜなら、これは対RX-75を想定したMSだからです」

 

すでに会議室の注目はオレ100%だ。テンションあがってプレッシャーも感じなくなった。

 

「つまり、V作戦の根幹である連邦軍モビルスーツは白兵戦も想定した汎用機です。それも、現在のザクを圧倒的に超える性能を持っています。RX-75に対抗した機体が出てきたところで、連邦の新機体に対応しているわけではありません」

 

つまり、対RX-75用モビルスーツとして開発されたグフだが、そもそもRX-75は試作機。それも本流から離れたジャンク機体だ。そんなもの対応用のMSをわざわざ労力使って作ってくれて、ありがとう。という話である。

 

「無論。V作戦が完了するまで、現在戦っているRX-75の被害が増えても無視しろという話ではありません」

 

最後に、一応フォロー。真っ青になっている陸戦部門の官僚に配慮しておく。

まあ、自分たちの作ったガンタンクに対抗したMSが作られている上に、連邦はそれとは全く別の構想でMSを開発していると知ったわけだ。自分達の未来はあまり明るくないと気が付いたらしい。

ガンタンクで戦果を上げて、MSの主流をこっちに引き寄せて…っていければよかったんだろうけどね。ひっこめた手はもう差し出せないぜ。

 

「なるほど。君の意見はよくわかった」

 

ちらっと、顔面蒼白な派閥を見た後レビル将軍が締めくくる。

オレが椅子に座る。と、隣にいたコーウェン准将が、他から見えないテーブルの下でサムズアップポーズで激励してくれた。

 

とりあえず、大きく安堵の息を吐いた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。