ジャブローのモグラども   作:シムCM

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34 オデッサ作戦しているらしい

オデッサ作戦が始まった。

とはいえ、順調からは程遠いレベルだ。すでに始まっているはずのオデッサ作戦はすでに一週間以上遅延している。

まあ、それでも始まったといえば始まったわけだ。

 

言っておくが、オレが悪いわけではない。

一年戦争当初からの惨敗で、指揮官の数が圧倒的に足りないのだ。ついでに言うと、前線で指揮する士官はもとより、大規模作戦を支える後方支援の人間も圧倒的に足りていない。

そんなわけで、ゴリラの前線出張サービスである。

オレは身体的理由からジャブローで留守番…ではなく、引き続きジムのバージョンアップ作業の継続である。

 

まあ、コーウェン准将・・・あらため少将(暫定)の前線出張も、あくまで参加する連邦MSのお披露目のためという意味が大きい。V作戦の司令官であるコーウェン准将が前線で連邦初のMS部隊を指揮する。もちろん、虎の子の連邦量産MSなので、連邦総大将のレビル将軍のおひざ元でだ。

つまり主流主戦派のど真ん中で、暫定階級である少将へのお披露目もかねているわけだ。

うきうき制服を新調して出かけるのも分かる話だ。

 

まあ、問題は残されたこちら側である。

アナハイムとのやり取りに、地上用新型MS開発。さらに現在のRGM-79ジムのソフトウェアのバージョンアップである。

さらに、コーウェン少将をスルーしてジャミトフ大佐と始めたニュータイプ用MS開発まで始まって(書類関係だけだが)てんてこ舞いだ。

さらにオデッサ作戦の開始と、遅れを取り戻すための過密スケジュールで、こちらの要求が後回しにされたりと、面倒ごとが絶えない。

ついでにいうと、コーウェン少将のオデッサ参加を受けて、出撃するMSのメンテナンスその他のために、各部門の科学者や管理担当官も付いて行ってしまっている。

まさに、三重苦というヤツだ。

 

まあ、そんな悪いことばかりではない。

原作キャラからの感謝のメールだ。

 

なんて事は無い。

『ニュータイプ用MS開発』の発足により、看板だけとはいえ連邦軍がホワイトベース隊をニュータイプ部隊と認定したのだ。

そしてそれは、ホワイトベース隊への補給物資の優先度を跳ね上げる事につながる。これまではレビル将軍の個人の威光で回された物資に、連邦軍のお墨付きが付くからだ。

当然才女マチルダ中尉も、この看板を最大限利用するはずだ。

 

そんなわけで、ホワイトベース隊をニュータイプ部隊とする旨を知らせたオレの元に、マチルダ中尉から感謝の手紙が来たわけだ。

 

ジャミトフ大佐も認識しているように、ニュータイプ研究が始まった以上、ホワイトベース隊の壊滅は計画の失敗を意味する。

その原因になったとなれば、今をときめくMS開発派閥の雄コーウェン少将と、ジャブローの経理部の怪人ジャミトフ大佐の不興を買う。策謀術数のジャブローでそれは致命的だ。それが正当な理由であっても左遷待ったナシである。

 

なるほど、そんな理由だったとは・・・

オデッサ作戦という大規模作戦で、物資輸送のピークとも言える中で、何でホワイトベースというイレギュラー的独立部隊に、ミデア機まで使って補給物資が届けられたのかと思ったら、そんな理由だったんだな。

もちろん、ホワイトベースがオデッサ作戦に参加するからという大義名分があったからだが、それを抜いても、レビル将軍に二つの有力派閥の庇護があるとすれば、連邦上層部も配慮する理由は高い。

まあ、そのおかげで、ガンダムが獅子奮闘の活躍をするわけだ。

 

『とりあえず、無茶はしないように』といった内容で返事を書く。

 

まあ、おそらく無理だろう。今のところ原作どおりに話は進んでいる。そして、彼女の死が黒い三連星撃破の合図となる。

それはホワイトベースの功績。そして、それはホワイトベース隊が特別な存在である“ニュータイプ部隊”であるという主張を後押しする事になる。

唯一イレギュラー的存在である転生者のオレは原作推進派だ。それをとどめるつもりはない。

 

止める事はできないのだ…。

ほんの少し逡巡してオレは手紙を送信した。

 


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