ジャブローのモグラども   作:シムCM

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03 派閥

派閥派閥派閥。

人間3人いれば派閥ができるというが、数万単位の秘密地下都市ジャブローは、まさしく派閥で構成されている。

一般的なところで行けば、レビル将軍の主戦派閥に、その前に主流だった保守派閥。もちろん、そのどちらか一色というわけではなく、玉虫色の中立派まで、カオスの坩堝といえるだろう。

 

オレの新しい(そして、後のない)仕事も、この派閥の呪縛から逃れられる理由もなく、ざっと眺めただけで、まさしく派閥が出来上がっていた。

 

しかも、すっごいやばいレベルで集まっている。

 

まず、既存派閥。地球連邦軍の持つ軍需産業の技術者達だ。これが最大数を誇っている。連邦軍本部ジャブローだから当然といえる。もっとも、この派閥も一枚岩ではなく、地上兵器派や宇宙兵器派に始まり、戦車、航空機、潜水艦、はては誘導兵器や、攻撃兵器派とか様々だ。もっとも、先のルウム戦役によりその影響力はトップ安の急下降を現在進行中。

で、それに対抗するのが、新興勢力のMS研究者。正確に言うと新理論派だ。こいつが代わりに勢力を増している状況だ。そりゃ、地球連邦軍の最大派閥のレビル将軍の号令で招集されているわけだ、デカい顔するのもうなずける。

 

問題があるとすれば、その折衝をするのが俺って事なんだけどな。

 

なにせ、前任者の残したものを見ると、もう無残としか言いようがないわけだ。正気かよと疑いたくなる。

既存派閥にいい顔をして、新勢力をまとめて研究させて、予算をザブザブにする。

折衝どころか区分けして終了。だから、MS開発を目的とする『V作戦』なのに、新型航空機の開発とか、運用システムの構築とか、素敵な項目が目白押し。

 

まあ、原作知識がある点で、そのほとんどが有効利用できると推測できるからスゴイ。新型航空機ってこれコアファイター?とか、運用システムってこれホワイトベースの運用計画ベースにすりゃいいんじゃないか?とかだ。

とはいえ、不可解すぎる。前任者の目的が見えない。前任者も転生者だったのか?少し調べる必要があるな。

 

後、もう一つ。最大の問題。

『V作戦』の案件内容を確認するんだが(極秘資料だよ)。

 

これ、どう見てもガンダム製造計画なんだよね。

 

うん、『V作戦』としては問題ない。

でも、ガンタンクも、ガンキャノンも、ホワイトベースも、コアファイターもないのよ。合体分離機能なんて存在しない。あくまで、ザクの対抗機として、連邦用の高性能MSガンダムを作る。

これが趣旨なわけだ。

ジムどこいった?

 

とりあえず、ビジフォンをコールして、従卒という秘書官のマリドリッド伍長を呼び出す。

 

「はい。」

「伍長。アポイントメントを頼む。」

 


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