「テム=レイ大尉です」
「はじめまして。カルナギ少佐です。よろしくお願いします」
そういって、レイ大尉は慣れない敬礼する。
ひゃっほう。原作キャラ3人目。しかも、後のテム=レイ回路(ネタアイテム)の開発者ジャン。
一応、彼がMS開発チームにおけるオレとの窓口になってくれる総括者である。
笑ったね。自称インテリ集団と話をして、まともに話のできる人がこの人しかいなかった。
知ってのとおり、MS技術開発者って、それまでの冷や飯食らいの、マイナー路線の技術者ばかりなんだ。それが、それまでの主流派を下しての大躍進だ。バリバリテンションアゲアゲで、MS開発をしている。だが、この人たち当然ジャブローの慣習や慣例を全く知らない。そもそも、営業的な話ができない。
中小企業のワンマン社長が、軍産複合体のやり取りに入ってくるようなもんだ。もう、致命的アウトって話で、その辺のフィルターとしてオレがいるわけだ。
とはいえ、俺だって万能なわけじゃない、専門技術とか俺もさっぱりわからないため、比較的社会常識に精通したテム=レイさんが、オレと技術者の窓口になってもらうわけだ。
いやはや、MS開発各部門の大御所と話して致命的問題に気が付いて涙目だったオレに、テム=レイさんは天使に見えたね。まあ、オレはフォローする仕事なのは変わらないわけだけど。
「彼らは専門家ではありますが、それ以上の汎用的な技術者ではありません」
「解析と並行で開発を行わせることは?」
「可能です。というか、現状ではその形で行くしかないでしょう」
「解析が終わり次第解析チームを解散させ、開発チームに再編成する」
基本的に、技術馬鹿系の大御所をトップにして、各チームを形成。解析終了段階で細分化してチーム分けして個別開発。最終的に統合という、なんともデンジャラスな組織図を作り上げる。
なにがデンジャラスって、最後の統合部分のウェイトがはんぱなくデカい事だ。
だって仕方ないじゃん。予算限られてるんだもん。最初に普通に回してたら実験費用だけで破たんする気満々ジャン。
同時に、人的能力の限界も越えておる。つまり、オレの処理能力だ。だってこれ、MS開発の新部門派だけの話よ。前にも言ったけど、従来兵器の開発に関しても、同じような話をこの後するわけよ。
当然、その管理もするわけだから、まっとうに部門統括して管理していたら、オレがあと3人は必要になる計算だ!?
というわけで、「そっちはそっちでよろしくやってね」的にチーム編成でやってもらうしかない。
技術者トップで勝手に解析し、勝手に開発してもらう。で、最後にすり合わせ。
うん、言ってて寒気が走ってきたわ。LEGOとゾイドとガンプラで作ったパーツをすり合わせて一体のロボットを組み立てる作業といえば、ヤバさを理解してくれるだろうか?
つまり、最終摺合せの段階で形になるようにしておく必要がある事と、さらにそれと並行で、開発が進めば進むほど管理が面倒くさくなるオレの仕事量が破たんしないように、調整する必要があるわけだ。
うわ。泣きたくなってきた。