東方新抗禍 ~A new Fantasy destroys devious vice~   作:ねっぷう

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第25話 「ダイヤサカ奪還戦」

ついにマガノ国の支配から解放された幻想郷。しかし、再び魔の手が忍び寄るのも時間の問題だ。

本居新子、茨木華扇、そして二ッ岩マミゾウの三人は、マガノ国に囚われた人間と妖怪を救い出すため、新たなる旅へと出るのだった。

 

地底での滞在を終え、月の民の力を借りてついにマガノ国へと足を踏み入れた新子たち。囚人たちを救うためのダイヤサカ奪還作戦は開始された。

新子たちがゲムルルと奮戦している頃、三禍の一人、バアルが指揮する大艦隊が輝針城の前へ現れていた。

 

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第25話 「ダイヤサカ奪還戦」

 

八坂神奈子が新子の前に現れた時から、時間は20分ほど前、新子が降り、その数分後に華扇が降りた後の輝針城。その前方には、マガノ国の艦隊が結集し密集しつつあった。

 

「なんて数だ…空が見えねぇ…」

 

「敵は今度こそ本気で私たちを倒すつもりらしいな」

 

敵の艦隊は、空が見えなくなり、その向こう側も全く視認できない程の夥しい数であった。その艦隊を指示するのは、三禍の一人であり、憲兵団長兼マガノ国軍旗艦長、バアルであった。

 

「メンドーサめ、哀れな奴だ。意気揚々と侵入者退治に赴いたはいいが、自分の城を奪われるとはな。だが取るに足らない小さな城だ、この…『ダイマガノ』に比べればな!!」

 

既に輝針城は、王都の中心、王宮の近くにまで接近していた。王宮を守るかのように密集する敵艦隊、その奥には、あのダイヤサカが鎮座していた。今や”ダイマガノ”という名に改名され、その艦橋最上階で、バアルは高らかに声を上げた。

 

「そしてこのバアルが指揮する限り、必ずやあの愚か者たちも滅されるだろう。全艦、主砲門展開せよ」

 

バアルの指示に応え、戦艦軍の主砲が開き、キュルキュルと音を立てながら輝針城一点に向けられる。およそ二百隻近くある戦艦の砲撃、放たれれば輝針城は一たまりもないどころか、瞬時にして破壊されてしまうだろう。それを想像した正邪は命令を下す。

 

「輝針城、砲撃を撃ちつつ正面を向いたまま上昇」

 

元々、敵の奪われてしまう前の輝針城は砲門等の遠距離攻撃機能は持たなかったが、恐らくメンドーサが付けたしたのであろう武装はそのまま残しておいていた。

腹を見せずに、被弾面積を最小にして何とか避難しようとしている。

 

「妖怪共が、どう足掻こうが絶対に逃げられるものか。消し飛ぶがいい、一斉発射!!」

 

その時、敵の二百隻全ての戦艦が、魔力による砲撃を放った。雨のように降り注ぐ光線を前に、正邪も焦りの表情を浮かべ、マミゾウや椛たちも、もうダメかと目を瞑る。

 

カッ ドゴア

 

しかし、突然当たりがサッと暗くなった。そして、正邪は見た。何か巨大な塊が輝針城の目前に現れ、敵の砲撃を防いだのを。

 

「な、何だ…何が起きたんだ…!?」

 

バアルが思わず声を上げる。

 

「な、何かが…私たちを守った…アレは土塊?岩か?」

 

「その通り!今投げたのは、かつて天手力雄命が持ち上げ投げ捨てたという岩戸さ」

 

「お前は…八坂神奈子」

 

正邪は驚きの声を漏らす。

 

「そうさ。アンタらが心配で、私も地底からやって来たんだ。さァ、まだまだ行くよ!!」

 

神奈子は自らが掴んでいた二本の注連縄を思い切り引っ張った。一本は先ほどの岩戸に繋がっており、もう一本は…

 

「大昔に引き抜かれて天界に成ったっていう要石!!」

 

その二つの超巨大な岩塊を、神奈子は鉄球でも振り回すかのように、敵艦隊に向けて投げつけた。岩塊は敵戦艦たちを粉々に破壊し、なおも勢いを落とすことなく敵の戦力を瞬く間に削いでいく。

 

「ふん、群れてる分当たりやすいな」

 

 

「と、突然現れた敵の援軍が土塊を振り回しぶつけて…兵力の損耗甚大!回避しろーッ!!」

 

「駄目です!密集陣形を取っていたため、互いに衝突して…土塊に向けての闇雲の砲撃が同士討ちを招いて収拾が~!」

 

「そ、そんなバカな…」

 

バアルは小さくつぶやく。

マガノ国艦隊軍は、自分たちの高度な軍隊を見ただけで侵入者の妖怪共は恐れをなすと思っていた。自分たちは安全に遊び半分で敵を狩るつもりだったのだ。

しかし、その油断と慢心から、作戦を立案しなかった。通常であれば、挟撃や包囲をするべき「対輝針城戦」をそうしなかったことにより、今、彼らは混乱に陥っていた。巨大な質量を有する岩と土塊に、彼らは陣形する保ち得なかった。

そして、無事な戦艦から出撃した戦闘鎧を纏った憲兵団は、ある者らと出会う事に成る。

そう、新レジスタンス、である。

 

「ようやく使う時が来たかの」

 

マミゾウは腰に挟んでいた気の棒きれを取り出し、それを妖術で大きな弓矢へと変化させた。その弓矢を構え、流星の如き射撃を放つ。矢の通り道には何者の憲兵をも残さず、敵兵を薙ぎ払う。

その軌道から逃れた者は、犬走椛の振るう改造された腕により八つ裂きにされ、バンキの操る四つの頭によって倒される。そしてその間にも、神奈子が降りまわす二つの塊により、どんどん戦艦が破壊されていった。

 

「やるな、八坂神奈子」

 

「だろう?今更、私も戻れないんでね」

 

「…何と言った?」

 

「おっと、何でもない」

 

「では一つ、頼まれてくれるかのう」

 

「何だ、マミゾウ」

 

神奈子の元へやって来たマミゾウに話しかけられ、神奈子は手を止めた。

 

「お主のおかげで、見てくれ…敵陣の中に十分な通り道が出来た。これより、儂はあそこでふんぞり返っている大将の元へ向かう」

 

マミゾウは目で、ダイヤサカの艦橋の上に立ち、仮面の顔でじっと空を見ているバアルを指した。

 

「だがそれも、時間を稼ぐためじゃ。だから、お主はその間に新子と華扇を…ここへ連れてきてくれい。それまで儂らが粘って見せよう」

 

 

それから、神奈子は新子たちの元を目指す間に、強力な魔力を察知した。ゲムルルのものだ。ゲムルルと新子らが戦っている気配を感じ取った神奈子は、二度雷を使い助けた。

その後、ゲムルルが去り、神奈子が新子と勇刃、そして華扇の元へやって来て、今に至る。

 

「そう、か…じゃあ、皆アタシらを待ってるって事か」

 

「ならば、行くしかないだろう、今すぐに」

 

「ええ、急ぎましょう。ダイヤサカは、もう目の前よ」

 

 

 

新子たちが神奈子と共に輝針城へ戻り始めたのと同刻。

マミゾウは、敵艦隊をほぼ壊滅させて露わになった、ダイヤサカ…その艦橋の上に立つ、憲兵団長バアルに戦いを挑もうとしていた。

 

「ふん、わが軍の艦隊を、八割方壊滅させてしまうとは…。だが、このダイマガノが…突破できるかな?」

 

バアルがパチンと指を鳴らすと、ダイマガノに異変が起こる。王都に連結していた部分がガラガラと崩れ去り、ダイマガノは宙に浮かび上がる。

前部にある髑髏のような顔が、悲鳴とも雄叫びともつかない轟音を上げる。すると、ダイマガノの真っ黒な船体の装甲に、ピシリと赤い切れ込みが入った。切れ込みはどんどん広がり、徐々にそこから割れていく。

ダイマガノはどんどん形を変え、ついには人型へと変形を遂げた。細い手足、肩から伸びる翼のような部位、そして前部の顔は胸部に移動し、本来頭部がある場所には第一艦橋が聳える。

結果、ダイマガノは全長二千メートルを超える超巨大ロボットへと変形したのである。

 

「な…こんな…!」

 

「奴らめ、私たちのダイヤサカにも、あんな劣悪な改造を加えていたとは…!!」

 

輝針城内の椛がそう言った。

 

「だが…喰らえ、砲撃発射~~!!」

 

椛が輝針城の砲撃を発射した。砲弾が真っすぐに飛び、変形したダイマガノ、そしてその頂点でこちらを見下ろすバアルへ向かって行く。

直後、砲弾はダイマガノの頭部の艦橋へ直撃した。もちろん、バアルにも命中しているだろう。が、晴れた黒煙の中に見えたのは、服に付いた煤を払い落とすバアルの姿であった。

 

「ま、そうだろうとは思ってたけど…そこまで余裕そうだと流石にムカつくなぁ」

 

「…マミゾウよ、聞こえるか?」

 

「何じゃ?」

 

ダイマガノの変形を前に、完全にその姿に目を奪われていたマミゾウが正邪の言葉に我に返る。

 

「アレの胸部の奥に高エネルギー反応を確認した。それが恐らく、アレの動力源だろう。それを破壊し、できた空洞にこの輝針城をハメこんでしまえば、ダイヤサカの機能を奪えるだろう…」

 

「そうか、では儂は…あの者の相手をしてくれよう!」

 

マミゾウの見つめる先は、ダイマガノの頭部の艦橋…今だその頂上で腕を組みこちらを見下ろす、バアル。

 

「お主が大将か?儂と一戦交えてくれんかのう」

 

そう言いながら、バアルへ向けて一気に五本もの矢を放つ。

 

「愚かな妖怪が、また一匹やって来たな…」

 

バアルは自身の手の平から大きく湾曲した、不思議な形状の剣を飛び出させ、五本の矢を一瞬で叩き落として見せた。

 

「憲兵団長、バアルだ。我が剣技の前に葬ってやろう」

 

その時、横から現れたもう一つの影がバアルに迫る。しかし、バアルはそちらに顔すら向けずに、もう片手から飛び出させた剣でその影の攻撃を受け止める。

 

「椛か!」

 

その影は椛であった。

 

「私だって、お前たちに殺されたかつての仲間の為に戦う!」

 

椛は、今度は改造された右腕を使い、バアルの剣を破壊しようと掴みかかる。だが、バアルの腕と一体化したかのような剣は傷つく様子すらなかった。

 

「それは…!」

 

「”輝剣マガツキ”だ。私だけが使う事の出来る、私の体と同化させられる最強の剣だ」

 

「御託はいい!!」

 

椛とマミゾウは、バアルの両サイドから怒涛の攻撃を繰り出す。だが、バアルは二人をそれぞれ片腕のみで全て攻撃を受け切って見せる。

攻撃を弾かれた反動により、マミゾウは大きく後ろへ下がり、バアルと同じく艦橋の上に着地した。が、バアルはそれを見ると、仮面の下の顔の血相を変え、マミゾウの腹を蹴り上げた。

 

「このダイマガノに、妖怪如きが土足で立つことは許さん」

 

椛が再び右腕を振るい、バアルに飛びかかる。

 

「”伸剣”」

 

その声と共に、バアルは自身の体と同化していたマガツキを手に取り、マミゾウへと向ける。すると、剣は素早く伸び、椛の腕を切り裂いた。

 

「うぐ…!?」

 

「素直に禍王様から賜りし魔力に身をゆだねれば、こんな事も出来る」

 

今度は分割した二本のマガツキを両手に取り、それを高速で回転させる。

 

「”回転剣”」

 

その回転する剣で、椛を斬りつけた。その背後から、態勢を立て直したマミゾウが迫る。

 

「さらに極めつけの…”発射剣”だ!」

 

マガツキを頭上に掲げると、無数の剣に分離し、それらが全て一斉にマミゾウに襲い掛かった。回避しようとすると共に何本かの剣を叩き落とすが、残った剣が肩や胸に突き刺さった。

 

「ぬあ…!」

 

「全く物分かりの悪いケダモノ共だ…。いくら逆らおうと幻想郷に住む者どもは我らマガノ国に支配されるべき存在に過ぎないのに」

 

「そんな事は無い!!」

 

「その通りじゃ、だからと言って、おとなしく従う訳にはいかない!造られたお主らと違って、我々には生きる意志があるのだから!」

 

「何もできない愚かな獣風情が生意気な!その意志もすぐに潰えるというのに」

 

バアルの実力は、圧倒的であった。マミゾウと椛が本気でかかっても、そのマガツキと剣技の前には文字通り手も足も出ない。マガツキはバアルの肉体のあらゆる箇所と同化させ収納することができ、出すも入れるも、形を変えるも自由自在。ゲムルルが”状況に合わせて体の形を変える能力”で、メンドーサが”第二の顔を持つ能力”であるならば、これがバアルの”マガツキを自在に操る能力”である。

 

「マミゾウ」

 

椛が小さく耳打ちをする。

 

「~~、~~~~…」

 

「…分かった」

 

マミゾウがそれを聞いて小さく頷いたのを確認すると、椛が一気にバアルへ距離を詰める。

 

「何もできないかどうかは…見せてやる!!」

 

椛は右腕に渾身の力を込める。筋肉が膨張し、そこを中心に妖力が練られていく。そして、バアルの顔面へとそのカギ爪を振るった。

 

バアルの仮面に真っすぐな亀裂が入り、やがて砕け散った。現れたバアルの素顔は、傷があるのを除いて、新子にそっくりだった。しかし、顔つきは邪悪に歪み、彼が正真正銘、所詮禍王に作られた魔獣の一種に過ぎないという事を再確認させられる。そして、バアルの頬は少し切れ、血が垂れる。が、それきりだった。

バアルはすぐに笑みを浮かべ、椛の腹部にマガツキを貫通させていた。

 

「か…は…!」

 

「死ね」

 

マガツキを一気に引き、椛の体を両断した。椛は宙を舞い、はるか下の地面へと落下していった。

 

「貴様…!!」

 

マミゾウはバアルに近寄り、矢を変化させて生み出した刀で斬りかかる。が、やはりマガツキに受け止められ、ビクともしない。

 

「己の器も知らない愚かな妖怪よ…」

 

バアルは刀をへし折ると、マミゾウの顔を掴み、握りつぶすかのように締め付ける。

 

「お前に出来るのは、ここで泣いて命乞いをするくらいだ…。そうすれば痛くないように殺してやるぞ」

 

「ほっほっほ」

 

「何がおかしい?」

 

「馬鹿な奴じゃ、儂は今笑ったのじゃぞ。そしてな…”笑うべきだと分かった時は、泣くべきじゃあ無い”のじゃぞ…!」

 

「何…?」

 

「儂に出来るのは…時間稼ぎじゃ」

 

その時だった。はるか遠くから雷の如くこちらへ迫る、二つの影が見えた。一つは赤と青のオーラを纏い、一つは巨大なドリルを前へ向けている。

 

「…まさか!」

 

バアルがそう言った時にはもう遅かった。ドリルはダイマガノの胸部装甲を破り、内部へと侵入していた。

 

「時間稼ぎ…そういう事か…!お前の妖術でさっきの白狼天狗そっくりな分身を作り、私にそれを斬らせ、白狼天狗をあの城へ帰したのだな…その隙に、あの者たちをダイマガノへ…」

 

「その通り!全ては、あの二人がこのデカブツにたどり着くまでの時間稼ぎ。囮である儂に偉そうな能書きを語っていたお主の姿はお笑いだったぜい。ふぉっふぉっふぉ…」

 

「この…塵共がァア!!」

 

バアルは逆上し、後ろへ飛んで距離を置くマミゾウを追う。

 

 

 

そのころ、輝針城。ダイマガノを初め、残りの戦艦から発射されるマグツヒヤや砲撃が集中して襲い掛かっていた。砲撃が命中し、城は空中で大きく揺れ、ダメージを受けていく。

 

「これ以上は防げないぞ」

 

正邪と共に機関部に居たリグルが苦い表情を浮かべながらそう言った。

 

「だが、ここで逆転して見せるのが天邪鬼、それが新レジスタンスだ」

 

 

「新レジスタンスよ、城内へ戻れ」

 

「何だって?まさか…アレをやるつもりか!?」

 

城の外で憲兵団や魔獣たちと戦っていたバンキは、あらかた敵を一掃するとそれに従って城内へ戻っていく。

 

「そのまさかだ」

 

正邪は機関部に突き刺していた矢印に妖力を送り込む。すると、輝針城が真っ二つに割れ、そこからさらに別の塔が出現し、見る見るうちに城が変形していく。

 

「レジスタンス最終防衛システム…─”輝針城”─」

 

内部に格納されていた角の生えた頭部が出現し、輝針城は巨大な人型へと変形を遂げた。そう、200年前、妖怪とマガノ国軍との”幻想郷の戦い”において、最終的に敵軍を打ち破った、あの形態である。輝針城が正邪の手に戻り、その機能を取り戻したことで、かつてのこの形態への変形を可能としていたのだ。右腕には、壊れかけの戦艦ドゥルジを剣でも持つかのように握りしめている。

 

「何てこと…なの」

 

その時、機関部へ何者かが現れた。

 

「メンドーサ…」

 

「お前…何故ここに!」

 

リグルが、フラフラと頭を押さえながらこちらへ歩み寄ってくるメンドーサに対して攻撃の構えを取る。

 

「アンタ、鬼人正邪でしょ?知ってるわ、闘技場で何回か見た…。それにしてもこのクリュサオル、悔しいけど…私が乗ってた頃より、めちゃくちゃかっこいいじゃない…」

 

「クリュサオルではない。輝針城と呼べ」

 

「ま、どっちでもいいけどさ…。ねぇ、聞きたいんだけどさ、もしも、アンタらがあのクッソダサいダイマガノを奪えたら、アレも…今よりずっと…カッコよくなるのかしら?」

 

「なる!」

 

正邪はメンドーサの目を見ながら、即答で断言した。その正邪の言葉を聞いたメンドーサは、何かを決意するように一度目を閉じた。

 

「そう…そう言われたら気になるじゃない…。しょうがないから、手伝ってあげるわ」

 

「では共に行こうぞ。我々の希望を…取り返すのだ!!」

 

 

 

一方、ダイマガノ内部の動力部へとたどり着いた新子と華扇。マミゾウたちの時間稼ぎの甲斐あって、ようやく仲間たちが戦っている戦場へと戻ってきた。

 

「アレが中心の動力源ね!」

 

二人の目の前には、赤黒く輝く血管のようなものが浮き出た大きな球体がはめ込まれていた。生命あるモノのように脈打つそれは、不気味な印象を与える。

 

「行くぜぇ!『ダブル・リベリオンドリル』!!」

 

華扇の包帯が新子の両腕を覆い、それは巨大なドリルの形へと変わる。その二つの回転するドリルを動力源の球体にぶつけ、破壊しようと力を込める。

 

「「うおおおおおおお!!」」

 

 

 

ダイマガノと戦艦から発射される砲撃は、人型に変形し奮戦する輝針城に徐々にダメージを与え、爆発を起こす。城内が大きく揺れ、機関部のリグルが倒れそうになる。

 

「損害状況は?」

 

正邪の問いは、輝針城の動力室にまで届いていた。

 

「第一、第三動力ギア大破。残る第二動力ギアの歯車も限界…壊れかけてるわ」

 

動力部の歯車を見ながら、メンドーサが正邪にそう伝えた。

 

「クソ…私一人での力ではここまでか…!」

 

自身のエネルギーで輝針城を動かし続けていた正邪だが、ついにそれにも限界が来ようとしていた。目の前には巨大なダイマガノ。その髑髏が、動きが鈍る輝針城をあざ笑うかのように見下ろしてくる。

 

 

 

「うおおおお…ぐぬぬぬ!!コイツ、硬すぎるぜ…!!」

 

新子の両腕のドリルは今もなおダイマガノの動力源に向けられ火花を散らしているが、一向に球体が壊れてくれる気配はない。それほどまでにこの動力源の魔力は強大だった。

 

「新子…!」

 

華扇が心配そうに呼びかける。

 

「でも、やるしかねぇだろ…!!」

 

 

 

その時、そう言いながら動力室に現れたのは、赤いズボンに、白い髪の毛の女。

 

「この城は、かつてのレジスタンスの故郷だ。今のアイツにとってもきっとそう。だって、アイツはこの私に教えてくれた。だから!この城は…」

 

「…鬼人正邪、見えてるか!?第二動力ギアの歯車が物凄い勢いで回転してる!妖力ゲージもどんどん上がってる…」

 

メンドーサがそう叫ぶ。

 

「新子、待ってろよ、今私も…追いつくからよォ!!」

 

歯車の上で走り、強引に歯車を回転させ、ギアを動かしているのは、新子が地底で知り合った藤原妹紅であった。

その結果として起こった事は、動力ゲージが振り切れ、輝針城は膨大な妖力に動かされるがまま猛スピードで前方へ突っ込んでいく。その方向には…ダイマガノ。

 

そしてそのダイマガノ内部では、今だ動力源破壊に格闘する新子と華扇。その背後の壁を強引に突破してそこへやって来たのは、輝針城。その右腕に持っていたドゥルジの尖った艦首を、新子たちが壊そうとしている動力源に突き刺した。

 

「な、何だァ!?」

 

「新子!!」

 

誰かが、アタシを呼んでいる。まさか、まさかこの声は…

 

「お前、妹紅か!?」

 

「新子オオオオ!!」

 

「妹紅なんだな?妹紅ォ!!」

 

その声の主が妹紅だと気付いた新子が、思わず笑みを浮かべる。

 

「ああ、妹紅だ!そしてな、アタシの後ろにゃ、皆も居るんだぜ!!」

 

妹紅と同じく、猛スピードで走って歯車を回転させているのは、新子をここまで連れてきた八坂神奈子、バンキと椛に勇刃、その後ろには、なんと地底で世話になった聖白蓮と豊聡耳神子、そしてあの易者までもがここに居た。

妹紅たちが一丸となって歯車を回している。

 

「新子、感じるわ、貴方の血の滾りを!!」

 

「ああ、やろうぜ華扇!!」

 

「ええ!」

 

 

 

そしてついに、動力源は限界突破した輝針城と新子の力により破壊された。

丁度ダイマガノの背中のあたりに居たバアルの目の前に、ドゥルジの剣のような艦首が現れた。その舳先には新子と華扇が構えており、マミゾウとの戦いに夢中だったバアルはそれを咄嗟に回避する術を持たなかった。

 

「ば、馬鹿な…私のダイマガノが、こんな事で…!!」

 

「ダイマガノじゃねぇよ!!こいつは、ダイヤサカってんだ…覚えておけや!!」

 

新子の腕のドリルが、飛び出したドゥルジの勢いにより、バアルの肉体を貫いた。そのままドゥルジに押しつぶされ、バアルは妖力による爆発を起こした。

 

「うぎゃああああああ!!」

 

動力源の球体があった場所に、輝針城がすっぽりとハマり、手から外れたドゥルジはバアルを粉々に吹き飛ばし、王宮へと突き刺さったのだった。

 

 

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