東方新抗禍 ~A new Fantasy destroys devious vice~   作:ねっぷう

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最終話 「これからと未来」

「さて、そろそろ人間たちを地上へと返して差し上げましょうか」

 

豊姫は未だ状況が掴めていないか、または眠っている人々を見ながらそう言った。

 

「そうだな…。その、ありがとな」

 

「いえ、当然のことをしたまでです。それに、貴方たちは我々の恩人です。我ら月の民も、この新都の皆さんと協力して、折り合って暮らしていくことを誓います」

 

「ああ、それが一番いい」

 

ふと、新子の体がふわりと浮かんだ。新子と華扇、マミゾウ、そして妹紅と神子と聖も同じく浮かび上がる。後者の彼女らは人間に近い存在であり、今の人里をよりよくしていくには、彼女らの存在が不可欠であろう。地底ではなく、幻想郷で暮らしていた妖怪も、いずれは地上へと戻るだろう。今は、人間を一刻も早く故郷へ帰すことが先決との判断である。

 

「じゃあなー!!」

 

「さようなら」

 

「どうかお元気で…」

 

次の瞬間、視界が真っ暗になった。

 

 

新子たちが気が付くと、彼女らが居たのは小高い丘の上であった。一か月ほどぶりに見た純粋な青空と、さんさんと照る太陽の光。はるか遠くの北にある山脈の向こう側には、もう以前のような禍々しい影は見えなかった。

この場は大混乱であった。月の民からの、「戦いの丘の上に人間を送る」という通達を貰った人里の人間たちは、全員でこの場所に集まっていたのだ。そこへ囚われていた人々が戻ったとくれば、家族や友人、恋人との再会を喜ぶ声で混乱に陥らないわけがないだろう。

 

その後、一通り喜び合った人々は河童たちの支持と誘導により、無事に里へと戻っていった。

 

「新子!全て終わったのね!」

 

全ての人々が返っても、この場に残り新子の元へ駆け寄って来たのは、新子の母親だった。娘との再会に思わず抱き合った。その後ろには、ツムグと稗田阿富とその助手の迪郎が揃っていた。さらにその近くには、新子たちと一緒に地底からやってきた竜のロックがしゃがんでいる。

 

「よく…帰って来たな」

 

ツムグが新子に声をかけた。

 

「うん…帰ったよ」

 

「さぁてと!これで新レジスタンスの仕事もお終いじゃ」

 

「そうね、残りの後処理は、私たちの仕事ね」

 

マミゾウと華扇がそう話しているのを聞き、丘を降りて里へと戻っていく母親とツムグ達を見ながら、新子は心の隅に何かが引っ掛かっているのを疑問に思っていた。食事の後の歯に挟まった野菜の筋のように、気にしないようにしてもそれがしつこく引っ掛かる。

竜のロックも巣へと帰ろうとしており、華扇とマミゾウとアタシも、後は帰るだけ。それだけなのに、自分は何が気に入らないって言うんだ?この幻想郷を守り、マガノ国も倒した。これ以上、何を…

 

「あ…」

 

新子は丘の上からざっと景色を見渡したとき、ある建物が目に入った。緑色の草が生い茂る大地に、ぽっかりと存在する薄い霧に包まれた青い湖、そのほとりに建つ、紅魔館。

その方角から、物凄いスピードでこちらに走ってくる馬がいる。いや…あれは普通の馬じゃない…炎でできた馬だ!そして、その馬の背に乗っているのは、身の丈に合わないぶかぶかの服に、骸骨のような顔を怒りと苦痛に歪ませている男。

 

「は…破魔師シャム!!」

 

マミゾウを本に封じ込め、紅魔館に住んでいた吸血鬼たちを卑劣な手で討った、魔法使い…!

 

「何ですって?」

 

華扇とマミゾウが振り向く。

 

「テンメェエエエ等ァァアア!!よくも…よくもマガノ国をやってくれたなァ~~~!!」

 

三人は咄嗟に身構えるが、破魔師シャムは炎の馬から飛び降りると同時に物凄いスピードでミサイルが如くこちらへと突っ込んできた。そして、地面に足を付けると、まるで蛇を思わせるような身のこなしで華扇の首を掴み、宙づりにした。

 

「下がれ!さもなくばコイツの命は無いぞ」

 

片腕を剣に変じさせ、その切っ先を華扇の喉元へ突きつける。

先日も、マガノ国で華扇がゲムルルに人質に取られた際には、神奈子の助けがあった。しかし、今回は助けの綱は無い。アタシとマミゾウで何とかするしか…。

シャムは焦りのあまり、玉のような汗をかいていた。シャムは怯えており、何をしでかすかわからない。

 

「シャム、華扇を放しな。アタシ達はテメェより何倍も恐ろしい奴らの相手をしてきた。あの禍王もだ。だがテメェは逃がしてやる、どこへでも去るが良い」

 

「黙れ!」

 

シャムは怒鳴った。

 

「もう、俺には何もないんだよォ…魔力を貰い続けてた禍王もマガノ国も消えて…あとは残ってる魔力が尽きたら俺は終いなんだァ、何処へ行っても意味はねぇんだァ」

 

「そして、お主には勝ち目もないのう、順平」

 

「俺をその名で呼ぶな」

 

少したじろいだ様子を見せた。

 

「紅魔館での教訓を思い出すと良い。誇り高い者は、どのような脅しにも屈しない、とのう。例え、財布に入れた一円を…」

 

シャムはしばらくマミゾウを見ていたが、ペッと唾を吐いた。

その時、シャムに掴まれていた華扇が急に暴れ出した。武器でも探っているのか、ポケットやカバンを無茶苦茶に引っ張る。

カバンから、色々な物がこぼれ落ちた。使い古した短剣に、地図の紙切れ、大きな鳥の羽根や傷薬。お金の入った財布も、チャリンと小さな音を立てて地面に落ちる。

 

「おや」

 

シャムは財布を拾うと、満面の笑みを浮かべた。

コイツ、自分の先が無いと分かっていても、金を欲しがるのか、と新子は呆れた。シャムへ向かって行こうとする新子を、マミゾウが制した。

 

「迷惑料として受け取ってやる。この金は全て、俺が貰う。全部俺のものだ」

 

その時突然、時間が止まったかのように全てが静まり返った。新子が息を呑む。華扇の眼が勝ち誇ったように燃えている。

破魔師シャムの笑みが凍り付いた。その時、紅魔館の方角から声が聞こえてきた。遥かな時を越えて漂ってくる、シャム自身の声だ。

 

─もちろん、俺がせがんでいた金も宝も、一つも欲しがらねぇ。もし金一円分でも自分のモノにしたら、俺が代わりに魂を差し出す!己の魂に誓う!!─

 

信じられないとばかりに、シャムの顔はみるみる恐怖に歪んだ。手にした財布を見つめる。そして悲鳴を上げた。紅魔館の方角から無数の白い腕が伸び、シャムは半狂乱で逃げ惑う。が、腕はシャムの体が見えなくなるほど絡みつき、紅魔館へと引き寄せていく。

結果、シャムの肉体は土塊のように崩れ、湖に落ちると、やがて溶けて消えた。

 

「あ、アレは…」

 

遠くに見える紅魔館の門の前で、紅美鈴が上を見上げていた。その先にはシャムの取引により紅魔館をその場に留めるために魂を使っていた吸血鬼の二人が、昼の日差しの中を羽ばたいている。美鈴はそちらへスーッと上ると、吸血鬼やゲームの部屋に居た妖精たちもろとも、天へと昇っていく。心なしか、美鈴は恥ずかしそうに新子へ笑いかけていたように見えた。

 

「これで…本当に全て終わったって訳か…」

 

「全く、もう首を掴まれるのは御免だわ」

 

華扇が服を払いながら、落としたものを拾う。

 

「でも、マミゾウのおかげで気付いたのよね。私もすっかり忘れてたわ、紅魔館で手に入れたお金を財布に入れてたなんて」

 

「さぁ、帰ろうか」

 

 

─────────────────────

 

 

三日後、同じく「戦いの丘」の上では、そこから人里を一望する松葉杖をついたメンドーサの姿があった。包帯で腹部にある”第二の顔”を隠しており、腕や足にも包帯が巻かれている。

 

「アンタはどうするの?」

 

アナトが腕を組みながら、そう尋ねた。

 

「ああ、私はここで生きていくわ。私は昔の事、全然思い出せないけど…何でか、ここは懐かしいのよ」

 

「懐かしい、ね…」

 

「何て言うのかしらね、私と貴女、同じマガノ国の住民でも、ゲムルルにしてもアナトみたいに昔の事を思い出した奴って言うのは眼の光がギラギラしてるのよね。何が何でも生きてやるっていう野心みたいなものが感じれるのよ。それを時々本能的に怖いって思ったり敏感に察知できる私は多分、妖怪じゃなく…この人間の里に住んでた人間だったって事ね」

 

「…だったら、無理強いはしないけど」

 

「にしても、一番死にかけた私ら二人が生き残っちゃうとはね」

 

「ホントにね」

 

二人は少しだけ笑いあった。

 

「さて、もう会う事は無いと思うけど…元気でね」

 

アナトがそう言いながら手を振った。こうしてメンドーサは人里へ行き、アナトは地底の新都へ向かう。そうなれば、今までの地底と地上の不可侵条約により、再び会う事は無くなってしまうだろう。

しかし、メンドーサは手を振り返さずに、アナトへ近づくとその手を握りしめた。

 

「馬鹿…それは今までの幻想郷でしょ?今、私たちのいる新しい幻想郷は皆平等…妖怪も人間も違いはあれどその存在価値に違いは無いのよ、だから、いつかまた会いましょう!」

 

「ええ、必ず!」

 

アナトは振り返り、ゆっくりと妖怪の山目指して歩いていった。

 

「さて…」

 

メンドーサも戦いの丘を下り始め、里へと向かって行く。

どんどんと里の外壁と、その北門が近づくにつれ、彼女の鼓動は早くなっている。

 

─…人間たちは、この私の異形の姿を見ても…驚かないでくれるだろうか?私の事を…迎え入れてくれるだろうか?

 

いよいよ、北門は目の前に聳えていた。意を決して深呼吸をすると、門に手を掛けようとする。

が、触れる前に門は勝手に開き、メンドーサは少し驚いた。開け放たれた門の向こうから光が差したかと思うと、そこには大勢の人々が立っていたのだ。

 

「え…?」

 

思わず、その場で松葉杖を取り落とし、固まってしまう。きっと自分を見て怖がるだろうと思っていた人間たちは、そのような様子もなく、笑顔で自分を見つめている。

 

「おかえり」

 

そのうちの一人だった阿富が進み出て、メンドーサにそう言った。新子たちから元は里の人間だった奴が帰ってくる、とあらかじめ話を聞いていたのだ。

そしてその言葉を聞いたとたん、メンドーサが目頭が熱くなるのを感じ、あふれ出る涙を止められずにいた。

 

「アレ?なんでだろう…私は涙なんて流せないハズなのに…おかしいな」

 

そう呟きながら、もう一度上を向いた。

 

「…ただいま」

 

─メンドーサ、故郷へ帰る。

 

 

こうして、長きに渡る幻想郷とマガノ国の戦いは幕を下ろした。偶然か必然だったのか、マガノ国との決着が付いた日は三年前の”神の夜”と同じ日であり、その時と同じように幻想郷中の民が戦いを目撃していたのだ。

禍王の真意を知っている新子や華扇、そしてマミゾウを初めとした元新レジスタンスの面々によって、幻想郷は滅びの道から逸れたのだ。妖怪と人間のお互いへの認識と意識の違いから生まれてしまった今回の惨劇を二度と引き起こさぬよう、再び幻想郷で暮らし始めた妖怪たちは、自らを人間と対等の存在として、互いに平等として生き、そしてこれからは折り合って生きていくことを誓った。それが、”新しい幻想郷”となるのだろうか。

その後、茨木華扇の調査により、残る一匹ずつとなってしまった神獣たちも絶滅を逃れたそうな。というのも、マガノ国からやってきた二羽の怪鳥ガルルガは野生へと戻り、神獣たちとともに空を飛ぶようになった。そのガルルガも元は幻想郷に訪れていた新種の神獣であったらしく、そこに肉体への改造を受け入れるられるように禍王の手により与えられた”万能遺伝子”なるものが存在し、それのおかげで神獣たちとの子孫を残すことが可能なのだそうだ。神獣たちも、人間と妖怪が認め合う限り、この幻想の大地を裏切るようなことはしないと誓っていた。

確かに、幻想郷は多大な犠牲を払ってしまった。死んだ者は決して蘇らないし、起こってしまった事実は変えられない。だからこそ、これから先をどうしていくかが問題なのだ。未来は、気の持ちようでいくらでも良い方向へと変えることができるのだから。それができるのは、新しい世代の者たちだ。だから、私も彼女らにそれを託してみようと思う。

私も、もう先は長くないのだから。

 

 稗田家十三代目当主 稗田阿富

 

 

 

翌年の春の、ある晴れた日の朝。幻想郷は花盛りだ。ハチたちは蜜に酔いしれ、あたりは鳥の歌声に満ちている。

髪に花を差し、上等な着物に身を包んだ新子が待つ鈴奈庵へ、ツムグがやって来た。二人は鈴奈庵の中で手を取り合い、その日結婚をした。新子の母親と華扇がその場に立ち、様々な事を思い返していた。

 

それから、二人は華扇に連れられるがまま共に戦いの丘へ向かうと、そこに待っていたのは今までに見たこともないほど大きな宴であった。

にとりを筆頭とした河童たちと、マミゾウに連れられた狸たち、そしてバンと阿富、迪郎が静かに手を叩いている。アリス・マーガトロイドにメンドーサと、地上に出て迷いの竹林で暮らし始めた藤原妹紅に、里で占いを始めた易者、霊廟で暮らす豊聡耳神子たちと、新しく移動させた命蓮寺に住む聖白蓮たちの姿も見える。

妖怪の山で暮らし始めた犬走椛とリグル・ナイトバグと赤蛮奇、地底の新都からは星熊勇刃に古明地さとりと火焔猫燐、そして新たに新都の住民となったアナトとゲムルルが。月都ミクトランからは綿月豊姫を初めとする月の民が地上の大地を踏みしめてそこに立っていた。

香霖堂の森近霖之助までもが、わざわざこの日の為に訪れていた。空では竜のロック、グリフォンのアーゴル、ケツァールのセトレーナ、天狐のカムナ、麒麟のワブルと二羽のガルルガが飛び回っており、その側には竿打もいた。

 

それから、しばらくして。新子に、双子の女の子が生まれた。

旅から旅の生活の華扇はたまに里を訪れて、鈴奈庵の庭で走り回る二人の子供を眺めていた。かつて、自分が出会った二人の少女の姿を重ねて思い出し、微笑みながら。

 

稗田の屋敷の中では、部屋で迪郎が一人机に向かっていた。その机には阿富の遺影が置かれており、線香の煙が立ち上っている。阿富から幻想郷縁起に書き損ねた歴史を書き終えてくれと頼まれた迪郎は稗田の名を継ぎ、幻想郷縁起の編纂を行うのだった。

 

 

─────────────────────

 

─五十年後─

 

「いよいよ、幻想郷と同時期に誕生した姉妹世界との初邂逅の場となる”新異界会議”へ向けて、ダイヤサカが飛び立ちます。伽藍艦長はこの出発に当たり…」

 

里で、人で賑わう大通りを歩く一人の背の高い老婆が、掲示板に張られた紙をじっと眺め、書かれている内容を読んでいる。

 

すると、隣に一人の若者がふらりとやってきた。

 

「ああ、クソう…ダメだなぁ、ああもう…!」

 

「どうか…したのかい、アンタさ」

 

下を向きながらブツブツと悪態を付く若者に、老婆は話しかける。

 

「いや、ちょっとな…俺、自分の事がダメだなぁって思ってさ。小さい時から何やってもてんでダメでさ…頭も悪いし、喧嘩も弱いし…今だって、仕事クビにされたとこなんだぜ…」

 

「…へぇ」

 

「ダメだなぁ…負け続けててさ。ま、それが現実って奴なのかな。負け続けて、よほどの幸運が無きゃ成功しないって…」

 

「そりゃあ、違うと思うね。アンタ、友だちとか仲間は居たのかい?」

 

「え…?いや、一部のモノ好きな連中がよく俺を遊びに誘ってくれるさ。でもさ、こんな俺なんかがあの輪に加わったところで、悪いもんな…きっと、俺の事知ったら…」

 

それを聞いた老婆は、少し経ってからもう一度口を開いた。

 

「人間は、弱くてすぐに死んじまう生き物さ。アタシだって一人じゃ食べ物も集められないし、服も住むトコだって…ちゃんと作れないダメな奴さ。だから、人間は群れるんだよ。皆、お互いに出来ないことをやってもらって、お互いに助け合わなきゃすぐ死んじゃうから、群れたがるのさ。そしてね、たぶん人間は頭だって思ってるほど良くないんだ。何が良くて何が良くないか、いっつもフラフラしちゃう…だからお互いにそばで見てもらわなきゃ。だから、アンタもその連中の輪の中に入ってみたらどうかね?そして…自分が道を間違えた時、殴って道を正してくれる人を見つけてみてはどうかね?」

 

「…やべぇな…こんな婆さんの言葉で、泣きそうになっちまった…。良い事言うなァ。…そうだ、よかったら、名前を教えてくれないか?」

 

老婆は顔を上げ、姿勢を正した。

 

「なァに、アタシはもうただの何でもない婆さんさ。でも、あえて名乗るとすれば…」

 

 

 

「伽藍艦長、そろそろ結界脱出領域へ入ります」

 

同刻、幻想郷のはるか上空を飛行する戦艦ダイヤサカ。その艦橋内のコクピット室で、乗員としてその場にいた金髪の女性がそう言った。

 

「うむ、了解したぞ、バン。よし、目指すは幻想郷の外側だ!」

 

─そう、かつて俺が目指し…憧れた…外側の世界…!

 

 

 

「師匠は…仙人ではなかったというのですか!?」

 

一方、妖怪の山に構えられた道場の敷地内では、頭にターバンのように布を巻き、さらに右腕が包帯で覆われた女性と対峙する男の姿があった。

 

「えぇ、そうですよ」

 

「では、何故そんな事を…何故、仙人のフリなどを?俺は決めました…納得のいく答えを聞けるまで、師匠、貴方と闘います」

 

両手を前に構え、腰を引き、戦闘の構えを取る。しかし、対する女性は全く動じずに、肩にとまらせていた鷲を空へ飛ばした。そして頭のターバンを解き、右腕の包帯をばらして見せた。

 

「この服は人間が考えて作った…おいしいごはんも、建物も…村も、町も…人間は作った物を全部次の人間に手渡して、渡された人間はそれを工夫して、繰り返し暮らしてきた。もちろんこの幻想郷にも悪い歴史もきっといっぱいあった。でも私たちは今も地球の上の幻想郷に生きてる!それはきっと人間がなんとかやっていこうと思ってるから…」

 

「何を言ってる!?俺が聞きたいのはそんな事じゃ…」

 

「次にこの世界を手渡す者たちに…人と人が作った輪の中に新しく入って来る者たちに…何とかやってほしいと思うのが人間なのです。その輪の中に、私も入ろうと思うのは…そんなに悪い事でしょうか?貴方が戦うのは何のため?人ならざる私を慕ってきた自分を戒めるため?」

 

弟子の男はぐっと言葉を詰まらせた。

 

「ですが、そんな必要は無いのよ。さァ、来なさい!私が貴方をぶん殴って見せましょう!」

 

─古いモノは滅び去る…妖怪が人間を支配するという幻想郷の体制も滅び、幻想郷は新しくなった。今度は人間と妖怪、人間と人ならざる者たちが互いに手を取り合っていかなければならない。その輪は、如何なる禍にも屈せずに抗い続けられるのだから…

そうよね、新子…

 

 

 

「あえて名乗るとすれば、鈴奈庵の本居新子ってんだがね…」

 

 

  ~東方新抗禍 fin~




ここまで閲覧してくださりありがとうございます。ここまで読んでくださった方には感謝してもしきれません。
色々な作品のネタを混ぜまくって完結まで持ってきたわけですが、見たものにすぐ影響されるのが自分の悪い癖でして、あれもいいなこれもいいなと色々なものを集めて合体させたら結果よくわからくなった感は否めませんね…。

それでも、楽しんでいただけたなら嬉しいです。
この後、キャラクター紹介の話を投稿して終わりと成ります。また次の作品を描く事があれば、その時はよろしくお願いします。

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