elona 死に戻り不可の不思議世界   作:アームズ

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elona 悲劇は雪降る夜に

 料理教室から四か月半後の今。

 

 ギルドマスターの部屋の窓から見る町は、真っ白になっていた。

 

 気温はマイナス3度、いつもの光景である。

 

 リグシェリアでは、冬場絶えず雪が降ると言う性質を持ち、例年は気温が零度だったりするのだが、今年は少し低めだ。

 

 しかし、冬故に来る仕事もある。

 

 …大体が、雪かきか、雪で倒壊した家屋の修復、または撤去だが。

 

 そんなわけで、ギルドメンバーは中々ギルドに来ない、好き好んでこのくそ寒い中、家の残骸の撤去をやるやつなんてそうそういないからである。

 

 あなたは、火産みの魔法を使い、お湯を沸かす、そして棚からココアの粉を取り出し、ココアを作り始める。

 

 あなたは、魔法が得意ではないが、魔法を作る才能があったため、一般人でも使えて、なおかつ利用価値のある魔法をいくつか作り出していた。

 

 その一つが、今使っている火産みの魔法である。

 

 あなたはある種の感慨深い何かに包まれながら、温かいココアを飲んで、時を過ごす。

 

■■■

 

 昼時、昼食を食べる時間帯だが、あなたはスコップ片手に、ギルド前の雪かきをしていた。

 

 一応、あなた以外にも、二、三人が雪かきをしているが、中々雪かきが進まない。

 

 時おりギルドに来るメンバーは、皆共通して寒そうにしている、そのせいか、雪かきを手伝おうとするものは中々にいなくて、更に時間がかかる。

 

 因みに、二人は完全防寒装備で、もう一人に至っては、昼間っから酒をがぶ飲みして寒さを凌いでいる。

 

 そんなとき、昼時の美味しそうな料理の匂いが漂ってきて、それはあなたのお腹に空腹を訴えさせる、あなたは雪かきを中断し、昼食を食べに、町へ歩いていった。

 

■■■

 

 あなたは基本自分で料理を作って食べるタイプなので、外食をするような事はあまりなく、どの店が良いのか分からないが、以前ルナに教えてもらった店があったことを思い出し、その店に向かってみる。

 

 その店は、古い木で作られた椅子やテーブルが特徴の、落ち着いた店で、名物が新人吟遊詩人等が演奏する曲と言う店だった。

 

「いらっしゃいませ、お一人様ですか?」

 

 あなたはそれに頷く。

 

「かしこまりました、こちらへどうぞ。」

 

 案内されたのは一人用の席、まあ、一人で来ているので当然だが。

 

 案内された席に座って、あなたは暖かいスープとパンを注文した、そして届くまで、外の景色を眺めることにした。

 

 そう言えばもうそろそろか、と昔起きたことを、あなたは懐かしむように思い出した。

 

 そう、それは遠い…遠い記憶。

 

■■■

 

 どれだけ前の記憶だっただろうか、もうそれも思い出せない。

 

 しかし、あれだけは思い出せる、リグシェリアを襲った寒波、今では《天災もたらす大寒波》と呼ばれる、過去最高の寒波が迫ってきていた頃の事だ。

 

 その時、まだ十にも満たない歳だったあなたは、父の後ろについていき、雪山の上へ向かっていた。

 

 どうやら、遭難者が居るらしいとの話で、十二人の救出隊を編成し向かっていたのだが、父は救出隊の一人だった。

 

 子供だったあなたは、危険であることなど分からず、父の後ろについていこうとした、当然止められたが、あなたは駄々をこねたのだろう、父の後ろについていっていた。

 

 吹雪が吹き荒れる中、父親と共に遭難者を探していたあなたは、奇妙な音を聞く、そして、父はそれを聞き顔を青ざめさせて、あなたを抱き抱え、急いで音から離れようとした。

 

 しかし、数秒後、轟音と共にやってきた雪崩があなたたちを襲った。

 

 あなたは、ひたすら冷たい雪に震えながらも、父の温もりを強く感じながら、目を閉じた。

 

■■■

 

 あなたは料理が出てくるまで目を閉じて、昔の事を思い出していた。

 

 あなたは、出された料理を食べ始める。

 

 因みにこれは後に聞いたことだが、その時の雪崩でリグシェリアの半分は雪に埋もれ、救助隊のメンバーは「誰一人として」戻らなかったらしい。

 

 その事を思い出しながら食べた、少し濃いめでいて、辛さを少し含んだ豆スープは、あなたの体を温め、不思議な、幸せな気持ちになった。

 

■■■

 

 あれから三日後、町は吹雪に見舞われていた。

 

「こりゃ…何軒か潰れるだろうな。」

 

「こんなに降ってればね…」

 

 あなたは、いつも通りギルドマスターの部屋でココアを飲んでいたのだが、シュートとアイリアがあなたにココアをたかりに来たのだ。

 

 そして、今リグシェリアには、数十年前の大寒波に匹敵すると言われている、寒波がやってきていた。

 

 なんだか、不安が頭をよぎっていると…

 

「リーダー!今、行商人の連中が…!」

 

 突然、あなたの元に来た連絡。

 

 よく聞くと、遠くから来た行商人が、丁度寒波の影響で降っていた雪の中を歩いていたらしく、雪崩で何人か埋まってしまったらしい。

 

 探すにしても、広すぎるので、ここまでなんとか来た、とのことだった。

 

 あなたは、急いでギルドメンバーにその事を伝え、タダ働きになるかもしれない事を伝えながらも、十人以上のメンバーを連れて、行商人を探しに行った。

 

■■■

 

「タダ働きは勘弁だが、今回ばかりは仕方ねえ、急ごうぜ、リーダー。」

 

 メンバーの一人に促され、雪崩が起きた地点へ急ぐ。

 

 到着した時には、既に雪崩発生から10分近く経っていた。

 

 すぐにギルドから連れてきた雪狼、「シルバーウルフ」達で行商人を探す。

 

 そんなとき、あなたは昔の事を思い出した、雪崩に呑まれた時の事を、冷たい雪に包まれたあの日を。

 

 あんな冷たいのは嫌だと言う思いから、ある狩人と共同で開発したある魔法があるのを思い出し、それを発動する。

 

 「熱感知の魔法」

 

 狩人には、獲物を探すための魔法として、そして今のあなたにとっては…

 

 発動させた魔法により、視界が黄色に染まる、そして

何ヵ所かに人の形をした白く写る何かがあった、そこを掘るようにメンバーに指示し、少しすると…

 

 真っ白の雪の中から行商人らしき人物達が掘り起こされていく。

 

■■■

 

「カンパーイ!」

 

 直後、至るところから聴こえてくる歓喜の声。

 

 あなたは、ギルドメンバーと救出した行商人、合わせて三十人程と酒場に来ていた。

 

「いやぁ…ホントに助かりました、なんとお礼を言えば良いか…」

 

 隣には、雪の中に埋もれていた行商人達のリーダーが酒を飲みながら話してる。

 

 因みに、行商人は全員無事に助かり、荷車も無事だった。

 

 あなたの隣で酒を飲んでいる行商人からそう言われると、あなたは行商人達が今回の酒代を払うことについて言った。

 

「いやいや、今日の酒代だけじゃ、お返しになってませんって、私達は命を助けられたんですから。」

 

 あなたは右手に持ったグラスを傾け、酒を飲む。

 

 昔自分が経験したが故に、今回救うことが出来た、その事をあなたは複雑に感じた。

 

「いやはや…皆笑顔のままここに再び集まれて良かった…」

 

 あなたは行商人のその言葉を聞き、昔起きた大変だったと感じた事も、何かの糧になるのではないかと、ふと感じた。

 

 昔起きた…悲劇や、流れた血が…糧になるのなら…




《創作魔術・創作魔法》
あなたや、一部魔術師が作り出した魔法等の呼び名。
魔術ギルドが作られてから、新たに作られた魔法等がこう呼ばれる。

《家庭用魔法》
あなたが作り出した、火産みの魔法、水産みの魔法等の、一般人でも使え、生活に使える魔法の事。

《天災もたらす大寒波》
あなたが幼いときにやってきた大寒波。
異常なまでの大雪が降り、その結果、家の倒壊や雪崩など、全国で様々な被害が出た。
大雪が降り、吹雪が止んだ後の景色は、まさに白一色だったと言う。

《熱感知の魔法》
ある狩人と共同で開発した魔法。
元々狩人が、狩りに利用しようとして、開発したが上手くいかなかったところを、あなたが手助けして作った魔法。
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