遥か遠方、ギリースーツを纏っていたスナイパーの頭に風穴があいたのを確認した貴方は、ゆっくりと息を吐き、スナイパーライフルのスコープを覗くのを止めた。
「ヘッドショット、相変わらずの腕じゃ、敵わんのぉ。」
No.8がそんなことを言っているが、貴方からすると嘘にしか聞こえない、彼は見た目通り、中々の歳の筈なのに、そんな状態でも、バリバリに走れるし、スナイピングの腕はかなりのものだ。
実際に比べると分かるが、貴方は敵の頭に100%の確率で当てる、百発百中のスナイピングだが、しっかり狙うので、時間がかかる、射程次第じゃ貴方の愛銃で撃った方が早い、それに比べNo.8は、敵がまばらに散ってれば一分に十人(ギリースーツを着てないことが条件だが)、密集してるなら、一分に20ちょっとは殺せるそうだ、聞いていると、味方ながら末恐ろしい話である。
「お疲れさまです、No.8、No.9、おかげさまで下準備が出来ました、No.8は引き続きスナイプを、No.9、これをどうぞ。」
貴方が手のひらを差し出すと、強制脚力増強剤と何か、不思議な物を受け取った。
───────これは?
「片方は分かるだろう?そしてもう一つは…俺のお守りだ、前線に行く…恐らく一番危険な役回りのお前に渡しておく、俺は遠くから撃つしか能がないからな、持っていけ。」
「ワシらは後ろで援護しか出来んが、頑張れよ、坊主。」
あなたは、二人の言葉に頷き、狙撃地点から走って、特攻かける。
「…No.7からNo.ALL、爆破開始!」
合図が送られ、あなたの目の前で、相手の陣地が爆炎に包まれ始める。
■■■
「早く水持ってこい!消火を…」
その言葉を発している途中で、背後から爆発が起き、喋っていた男は命を落とす。
「何なんだよおい!偵察してた狙撃班連中はどうした!」
怒号が飛び交いながらも、爆発音は止まない。
「遠距離砲撃の可能性は!?」
「砲弾がとんでくる様子はない、敵に入り込まれてるんだ!」
「なんだとぉ!?」
「ここは撤退しよう!このままじゃ全滅だぞ!」
「お前、死にたいのか!?戦果が挙げられてないまま戻っても、お上に殺されるだけだぞ!」
「ならどうしろって言うんだ!」
突然起きた、陣地襲撃、余りにも突然過ぎて、司令官連中も、頭が真っ白になってしまう。
「し、死神だ…死神が来たんだ…」
一人の兵士がそう呟いた。
「そんなこと…そんなことあってたまるか!」
その言葉を聞いた上官は声を荒げる。
「…撤退だ、どのみち全滅する可能性が高いんだ、逃げて体制を立て直してから、もう一度攻撃しよう。」
「だが!」
「それでもだ!…死神がいるなら、尚更さ、全員に撤退命令だ!急いで後退しろ!」
その命令に、部下たちは従い、撤退用の合図を打ち上げる。
■■■
「撤退用の合図、確認できました。」
「よし、手筈通りだ、死神どもに補給物資でもくれてやれ、その場に留まるようにもな。」
「はっ。」
■■■
「おーい、お主ら、補給じゃぞー。」
「No.8、ちゃんと運転してくれ…」
「ほっほっほ。」
あなたを含めた7人は、元は敵の司令室だった部屋で休んでいた。
「No.8…何が届いた?」
「食料と水、煙草、弾丸やグレネードじゃ。」
「ふむ…配布を頼む、平等にな。」
皆、疲れからか、その場から動かず、No.8とNo.7が配って回った。
あなたも、水と食料を受け取り、口にする。
「…なんか、これ変な味しないか?」
「あぁ、普段通りのレーションなら美味しくもないだけの食料なんだが…」
「…私…なんだか眠くなってきました…」
何故か、水などを口にした途端に、全員の体調に変化が起きた、眠気によって、何人か倒れる様に眠り始める。
「これはまさか…薬か…?」
そう言っているNo.1も眠りに落ちる。
あなたは、他のメンバーが眠るのを見て、水を飲むのを止めた、が、貴方も次第に眠気に襲われる。
しかし、あなたは眠らないようにしようと、立ち上がり、部屋の外に出る。
しかし、幸か不幸か、視界には、恐ろしい物が見えた。
あなたはそれを見て、眠気が無くなる、そして咄嗟に、持っていたハンドガンを取り出し、銃声を響かせる、すると、部屋からメンバーが飛び出てくる。
「な、なんだ今の銃声は!No.9、何が…あっ…た…」
メンバーも、貴方が見たものと同じものを見て、眠気がとぶ、それもそのはずだ、何故なら…
自分達の雇い主である筈の味方が、大量の戦車を連れてきて、こちらに向かっているからだ。
「おい、待ってくれよ、仕事はもう終わったんだよな?上の連中はここを潰したら、
「なのに戦車を連れてきて…何をすると言うんだ…?」
「…まず、戦車があるならそれで砲撃すれば済む話だった筈だぞ、なのになんで…」
メンバーは、戦車が迫ってくるその様子を呆然として見ていた、すると突然、戦車の動きが止まった。
何故か止まった戦車を見つめていると、砲身が上に上がっていく。
「…あ…あ、あぁ!」
「どうしたNo.7!」
「…逃げろ…皆逃げろ!あの戦車、『俺ら』を狙っている!」
その言葉が終わると同時に、戦車の砲身から、砲撃音が響く。
──────次の瞬間
爆炎によってメンバーのほぼ全員が、吹き飛ぶことになった。