パチパチ…と、何かが燃える音がする、全身が激痛を訴え、脳が現状の理解を拒む。
それでもあなたは地に伏していた顔を上げ、周囲の状況を確認する。
目の前には、辛うじて意識のあるNo.7とNo.8、そして、二人のそばで声をあげているNo.3がいた、それ以外には、もう立ち上がる事の無いであろう、メンバーの死体だけだった。
よく見るとNo.1の死体が無いと思い探せば、上半身だけになっている、No.1と思わしき死体も見受けられた。
位置から見るに、直撃を受けたのだろう、吹き飛ぶことなく、上半身はそこに横たわったいた
あなたは、砲撃の衝撃でクラクラしながら、三人の元に歩いて行く。
「う…ぁぁ…足…がぁ…」
「耳が…痛い…」
「お二人ともしっかりしてください!あ、No.9、回復は使えますか、お二人の治療を…!」
No.3は焦っている様子で、あなたに話しかけるが、言われずともあなたは二人に回復を施すつもりだった、同僚を失うなど、あなたからすればトラウマものなので、全力で治療する。
「ワシらなんぞ置いて…はよう逃げんさい…」
「でもっ!」
あなたはそのやりとりを聞きながら、No.7の治療をする。
「お前は…なんともないのか…No.9…」
あなたはその問に首を横に振った、実際に、誰よりも軽傷に近かったNo.3と同じぐらいの軽傷ではあったものの、まだ頭にダメージが残っている。
あなたがNo.7の治療を始めて一分、その頃にはあなたを含めて四人とも自由に動けるようになった
そのことを確認したあなたは、愛銃を持ち、歩き始めた。
「坊主…どこへ…」
決まっている、と、言わんばかりに、ある方向を向く、その先にあったのは戦車の列。
「まさか…一人で行くのか…」
「そ、そんな無茶な!」
しかしあなたは、自分達が居ることを承知で、いや、
戦いが終わって、さっさと家に帰り、また、仕事を見つけて、戦地に赴く、それが続くと思っていた。
ただの傭兵仲間…知り合って長くもない仲間を失う様なことなどだが、それでもあなた自身が強く拒んだ。
あなたは、自分の世界を、日常と友と呼べる仲間を奪った者達を許せなかった。
あなたは、余っている強制脚力増強剤を飲み、走り始める。
「待て!お前───」
■■■
あなたが、後ろに居た三人の声が届かなくなる距離まで走るのに、大した時間はかからなかった。
あなたは、愛銃を右手に、左手にはグレネードを持ち特攻をする、戦車相手では愛銃の弾が貫通する事など無いと分かっているが、それでも突き進む、そして、全ての砲塔がこちらを向く。
あなたは、息を飲み、愛銃で戦車を撃つ。
そして、放った数発の弾丸が戦車に当たり、戦車からあなたへ砲弾が放たれた次の瞬間、世界が固まり、時計の音が響く。
あなたは、止まってしまった世界を疾走する
戦車は無視し、歩兵にめがけてグレネードをお見舞いする。
そして、あなた以外の全ての動きと言う動きが止まってから数歩後、もう一度世界は動き始めた。
あなたの背後からは、戦車の砲弾が弾着した音が響き、周囲の歩兵は、突然のグレネードの爆発に巻き込まれ死亡、あなたは手に持ったいた愛銃、マシンガンを滅茶苦茶に撃ち始める。
戦車に当たっても弾かれるだけだが、弾かれ、跳弾した弾は兵士に突き刺さる。
そして、滅茶苦茶に撃った弾の幾つかは、確実に兵士の数を減らしていた。
そして、本陣となってる天幕目指している途中に、再び、時が止まる。
あなたはその瞬間を使い、グレネードを一気にばらまき、ナイフを抜くと同時に天幕に飛び込む。
愛銃を目の前に向けると時が動きだし、周囲から爆発音が連続する、そして、目の前に居た、
「そ、そんな…ば、バカな…!」
あなたは、目の前に居る男に聞いた。
自分達の噂を知ってて、雇ったのではないのかと。
「しっ、知ってどうすると言うのだ。」
死んだ仲間の為になる、そして、こんなことになった理由が分かるかもしれない、と告げた。
「ふ、ふん、死神風情に分かるものか!」
あなたは、呆れたようにため息をつき、愛銃を撃つ。
「がっ…!あぁぁぁぁ!!!足がぁぁ…足がぁぁぁ!!!」
涙目になってる
殺害対象は、足の痛みに苦しみながら、他所からの依頼で殺そうとしたと伝えてきた。
あなたは、あまりにもくだらないことで仲間が死んだと知り、怒りが収まってきた。
あなたは、愛銃の引き金に指をかけながら、殺害対象にこう伝えた。
次、殺しに来るのなら、俺だけを狙え、死神と呼ばれるようになったあの部隊の本当の死神は、自分だ、と。
そう言って、男に引き金を引き、撃ち殺す。
あなたは、後でボイスレコーダーにでも録音して伝えておこうかなと、殺したことを悔やんだ。
しかし、殺したことの罪悪感は、一切なかった、あったのは、損をした、それだけだった。
あなたは、姿をくらませる為に、天幕を出てすぐのところに居た兵士に、偶然ではなく、確実に時を止める、時止弾を撃ち込み、そこらの兵士から拝借したスモークグレネードを撒きながら、森に入り、姿をくらませた。
結果、死神部隊などと呼ばれた部隊は全滅、戦車は無傷だったが、多くの兵士を失い、戦地は、荒れ果てた大地になった、と言われた。
死神部隊メンバーの死体数が、メンバー数と合わないと言うことを知る者は、口止め、ないし暗殺された。
本当の歴史を知る者は、ごくわずかになっていった。
■■■
あなたは、久しく見てなかった夢を見ていたが、いつの間にか目が覚めていた。
どこで夢が終わったか、どこから見てたか覚えてないが、この事を誰にも話すつもりは無い。
あなたはソファから起き上がり、落ちていた銃を拾い上げ、机に置く。
支えはもう放置して、ここに置いておこうと、あなたのめんどくさがりが発動し、考えてから、数瞬で即決した。
さて、また今日も仕事だと、昔を懐かしみながらも、仕事を始める。
昔、共に傭兵として戦った者は、もう二人しか残っていない。
《死神部隊》
戦場に現れたとき、必ずと言って良いほどに、敵に大損害を与える、恐怖の部隊。
タイマンで彼らに勝てるものは少なく、また、彼らは一人ひとりが何かしらの特技に特化している。
メンバーは9人で構成され、中でもNo.9と呼ばれた男は、とてつもない戦闘能力を持っていると言う。
《死神部隊殲滅戦》
あまりにも強すぎるが故に、秘密裏に排除するように命令が下った死神部隊の、最期の戦闘。
不意打ちで戦車の砲撃をしたが、一人が生存、特攻され。
大きな被害を出しながら、なんとか殲滅したと言う。
しかし、特攻してきた男の殺害をしたと言う兵士は、一人としておらず。
また、その男を含め、四人分の死体が足りないとされる。
そして、戦場となった地は、兵士の血と肉で、赤く染まっていたと言われた。