無限の龍と無神臓   作:超人類DX

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英雄殺しの英雄

……というべきか?


英雄殺しのデストロイヤー

 強い。コカビエルとの戦い時に間近で見て戦慄したので解っていた。

 しかし、その強さのレベルがあまりにも自分達と違っていたという事だけはその時まで理解できなかった。

 兄と姉をいとも簡単に倒し、殺しもせずコンビニからの買い物帰りですな出で立ちでテクテクと帰っていく人間とは思いたくもない少年の背中を悪魔な少女二人はただ震えながら見ていることしかできず、無力感に支配されたとは今でも忘れることができない。

 

 

「彼は……学園に来てるの?」

 

「ええ、何食わぬ顔をして何時ものように一般の男子生徒達とバカをやってました」

 

 

 人の皮を被った怪物。

 旧魔王派の一人を惨殺し、現魔王二人と堕天使・天使の長を同時に相手取って無傷で生きているばかりか、簡単に捻り潰した少年は、夏休みが近付いてきた今日も図々しく、我等が管理している学園に登校している。

 兄ないし姉を捻り潰された二人の少女は鬱な気持ちで、今後を憂いていた。

 

 

「お兄様が『受けた傷がまだ治らない』と言っていたけど、アナタは?」

 

「聞いたわ。腕の骨が折れたまま、どんな治療魔法や秘薬を使っても『治らない』って。

兵藤一誠から受けたダメージがそうさせているのかはまだ不明だけど、十中八九そうだろうとも……」

 

 

 用意したお茶に手が付けられず魔王を兄ないし姉に持つリアスとソーナは、あの日突如現れて暴れて勝手に帰っていった兵藤一誠から受けたダメージがまったく治療できない事を魔王二人から聞かされ、自分達なりにその原因を考えたが、そんな力を持つ神器の存在は知らないし、そもそも彼に神器があったのかも不明だったので、『解らないことがわかった』だけで、進展は無かった。

 

 リアスの兄サーゼクス・ルシファーは肋骨の骨を砕かれる重症を、ソーナの姉セラフォルー・レヴィアタンは利き腕の骨を折る重症をそれぞれ負い、本来なら種族として……そして処方する薬や治癒魔法で簡単に全快できる傷なのに、未だに二人の魔王の傷はあの日兵藤一誠に負わされた時から時間が止まったかの様に治らない。

 

 もしかしたら兵藤一誠の化け物たらしめる力の一つなのかもしれない。

 そしてその傷は兵藤一誠にしか直せないかもしれない。

 力の正体は解らないものの、治し方としてという意味でならソーナとリアスは直ぐにその結論に至ったが、如何せん二人はたった一人の人間に心から恐怖してしまい、二人の眷属達も彼自身と関わろうとすらしない。

 

 

「居た筈の赤龍帝が忽然と消えたのも……彼よね多分」

 

「でしょうね……。

驚くほど赤龍帝の容姿は彼に似てましたけど、血縁関係はありませんでしたから……」

 

 

 お先真っ暗。

 二人が見据える未来は一誠という存在の出現により暗く、不安だらけの道になってしまったようで、すっかり冷たくなったティーカップに注がれた紅茶が、二人の心を写すように小さく揺れた。

 

 

「…………。面と向かって話すべき……かしら?」

 

「わかない。けど……このままに出来ないのもまた事実」

 

 

 

 

 俺は思う。

 一誠が何で赤龍帝じゃないんだと。

 確かに赤龍帝じゃなくても勝てずに俺が殺されると解っているけど、それでも俺はアイツ程宿敵として相応しい相手は居ないと思っている。

 

 一体どうすればあんな力へ人の身でありながら到達できたのか。

 どうしたらあの領域に到達できるのか……。

 その理由が知りたいから――そして解りたいから俺は自殺行為だとアルビオンの制止の言葉を振り切って一誠に戦いを挑み続けているけど、それでも俺には解らない。

 何かが足りないのか、何かを見落としているのか。

 俺が純粋な人間では無いから……それは解らないが、あの曹操って奴も解ってないでボコボコされてるのだから誰にも解らないのだろう――オーフィス以外は。

 

 

「アザゼルがお前を探ろうと躍起になってるぞ。で、俺がお前と頻繁に会っていることがバレた」

 

「ほーん……で?」

 

「で? って……いやだから、俺のせいでお前の事がバレたから……」

 

 

 一誠が表舞台に立ったあの日から暫く経ったとある夕方。

 一誠が表舞台に立つ事で義理の親でもあるアザゼルに俺と一誠に微妙に繋がりがあるとバレてしまった事について、隠さずに話そうと上半身裸でオーフィスと激辛カレーをバクバクと食っていた一誠に殴られ覚悟で告白した俺は、余りにも軽い反応に間抜けな顔をしてしまった。

 

 

「お前、表舞台に立ったとは云えなるべくはバレたくなったんだろ?」

 

「まぁな、好き好んではバレたかねーな」

 

「そうだろう? だから俺のせいで――」

 

「いやだからお前言ってる意味がわからない」

 

「は?」

 

 

 何言ってるの? と心の底から疑問に思ってるぞ的な顔をしながら、食べ終えたカレーの皿の上にスプーンを放り投げ、水を飲む一誠は言った。

 

 

「別にオメーのせいなんて思ってねーし。

あんな解りやすい啖呵を切っといてバレなかったら寧ろ『え?』ってなるし、大体予想通りだよ」

 

「だが……」

 

「逆に聞くが、バレたらお前は二度とそのツラを見せなくしてくれるわけ?」

 

「……。俺の目標があるしそれは嫌だ」

 

「だろ? だったら開き直ってろよ。お前とあの曹操ってのは基本そんな感じだろ?」

 

 

 なんて言っとくものの、テメーが美少女だったらどれほど良かったか……あーホモくせーぜ。

 とブツブツ言いながら俺にカレーを振る舞う一誠に、俺は何故か知らないけど凄く嬉しくなった。

 よくは解らないが、見捨てられなかったから……というべきかこういう緩いやり取りを一誠と展開するのも悪くないと思ってから余計に……。

 

 

「っ!? い、いっせー! これ食べたら口の中が痛い!?」

 

「馬鹿が、俺の真似して1000倍カレーなんざ食うからだよ。

テメーの味覚はガキなんだから大人しく林檎と蜂蜜のバーモンドカレーを食ってろ」

 

「がぁっ!?

こ、このカレーは俺でも無理だぞ! く、口の中が爛れそうだ……!」

 

「なんだオメーもかよ? どいつもコイツもだらしねぇ」

 

 

 決してホモなんかじゃないが、一誠とくだらない事をするのに安心しているのかもしれない。

 最早カレーとは言えない兵器を一口入れたせいで、口の中が辛いを通り越して痛みと感じて視界を滲ませながら、俺はひっそりと確信するのだった。

 

 

 

 結局の所、アイツにとって他種族同士の小競り合いなんてものは文字通り『どうでも良い』ものなんだろう。

 しかし、その小競り合いにもし巻き込まれた場合……事故で、故意で巻き込まれた場合。

 アイツはその力を惜しみ無く使って地獄を造り上げる。

 

 

「いーち、にー、さーん」

 

「ぐっ、げほ!?」

 

「しー、ごー、ろーく」

 

「べぼ、びぃ!?」

 

 

 元々アイツは文字通りゴミや虫を食ってまで生に貪欲な男なんだ。

 自分の服に付いた埃を払えど、わざわざその払った埃を踏みつける真似はしないかもしれない。

 しかし自分の耳元で煩い蚊を許すほど、一誠という男は寛大ではないのだ。

 

 

「で? コレはどういった趣向な訳?

何か勘違いしてるようだが、いくらオーフィスの冤罪を晴らすために動いたからって、テメー等と仲良しこよしするつもりなんざねーぞコラ?」

 

 

 だからこそ、コイツは強いのだ。

 必要とあらば女だろうが子供だろうが殺す覚悟を持つ……一誠という男は。

 

 

「わかってるさ。俺も一応コイツ等に止めろと忠告したんだが……まぁほら……お前も人間ならわかるだろ? 『人は自分より遥かに優れた人間を認めたがらない』という意味を。最初俺がお前にそう思ったように」

 

「くだらんね、こんな事をしている暇があるなら繁華街で女の子ナンパしてた方がよっぽど有意義だぜ」

 

「そう言うな一誠よ! これでコイツ等もお前を認めてくれるだろうしな!」

 

 

 つまらなそうに鼻を鳴らす一誠は、偶々一番近くに転がっていた俺の仲間の一人であるヘラクレスを椅子に見立てて腰掛けながら、かったるそうな顔で残りの英雄派メンバーであり今しがた一誠にズタボロにされたジークフリート、レオナルド、ゲオルク、ジャンヌを『決して誰も届き得ない遥か天から見下してる様な目』で見据える。

 

 

「で、この自称世界の英雄の末裔だか魂を持ってますだとほざく痛い集団は何がしたいの?

つーかよ、散々偉そうな事ほざいてこのザマってなに? 生きてて申し訳ありませんって思わないの?」

 

「ぐっ」

 

「こ、こんな化け物だっとは、思わなかった」

 

「い、痛い……傷が治らないなんて反則だ」

 

 

 思いっきり頼み込んで何とか一誠を俺が根城にしてる……というか禍の団のアジトに招待した訳だが、元々俺が一誠と繋がっていた事はコイツ等も知らず、三大勢力トップとの大立ち回り以降、俺達の組織内でもその名と容姿は広まっていた。

 だが、まあ……意外なことに英雄派である俺の仲間は一誠に懐疑的で、俺の証言でもその実力を信じられなかったらしく、試しに連れてきたら全員が全員一誠に挑み掛かったのだが……。

 

 

「お、降り――がぼ!?」

 

 

 結果はこのザマだ。

 全ての攻撃は一誠により破壊され、全ての防御は一誠により破壊された上で押し潰され、全ての力は一誠に届くことを許さない。

 予想通りとはいえ、椅子にされてるヘラクレスが抵抗しようともがいた瞬間、一誠がヘラクレスの後頭部を掴んでそのまま何度も顔面を地面に叩きつけるのをまざまざと見せ付けられた俺は、この前の事を思い出して鼻頭を覆ってしまう。

 そして、顔色ひとつ変えずにやってる一誠に他の皆もうっと声を詰まらせてしまってる。

 ふむ……そろそろ助け船を出すか。

 

 

「覚えておけこれが兵藤一誠だ。

何の背景もない、何の英雄の魂も受け継いでいない。何の神器もない只の人間。

だがこの男は自力で無限と夢幻へ到達した……まごう事なき現代に現れし英雄だ」

 

『………』

 

「おいふざけんな。

テメー等みたいなイタ集団と一緒にすんな」

 

 

 此処までやられたら理解せざるを得ないだろう。

 兵藤一誠は確かに古の英雄の血を持ってもないし、魂を受け継いでいる訳じゃない。

 だが英雄というのは何時の時代にも現れるものなのだ。

 それを考えれば、一誠は現代に現れた新たな英雄で間違いないと俺は確信している。

 

 

「それでも文句があるなら一誠に挑み続けろ。俺は止めないぞ」

 

 

 一誠が凄い嫌そうな顔をしてるのを敢えて無視して発言した俺の言葉に、やられたメンバー達は黙って――一誠にトドメを刺されてピクピクしたまま意識がないヘラクレス以外は項垂れる様に視線を落とした。

 思えば俺が勧誘する度に新しいメンバーは何時だってこうした『歓迎会』があったし、一誠もある意味認められたとも言えるか? それとも……いや、それより一つ気になることが。

 

 

「はぁ……」

 

「気掛かりがひとつあるんだが一誠よ。お前、ジャンヌにも割りと容赦しなかったが、何故だ? アイツはお前がしょっちゅう尻を追い回す対象である女なんだがな……見て解る通り」

 

 

 ピクピクと痙攣したままのヘラクレスから立ち上がり、そのまま帰ろうとする一誠に俺はさっきから地味に気にしていた引っ掛かりについて尋ねてみた。

 例外はあれど女相手には割りと手心を加える筈の一誠が、ジャンヌ相手に他のメンバーと同等に痛め付けたのだ。

 こう、俺が想像したパターンだともうちょい手心を加えながら、ヘラヘラとナンパしそうだな思っていたが……。

 

 

「あ?」

 

「ひっ!?」

 

 

 俺の質問に一誠は気だるげな顔で、完全に心を折られて小さな悲鳴をあげたジャンヌに視線を向けると、何時もの小馬鹿にしたような顔で尻餅をついたまま動けないジャンヌを指差しながらハッキリこう言った。

 

 

「ジ○ン・レ○ンだかジャック・ザ・リッパーだかの魂を受け継いだなんて言っちゃう女は総じて電波なんだよ。つーか俺にだってナンパする女を見分けるくらいはするわ」

 

「いやジャンヌ・ダルクな? ロンドンの切り裂き魔じゃないからな?」

 

「うぅ……」

 

 

 微妙に涙目になってるジャンヌに対してこの言い様。

 どうやらジャンヌはある意味幸運だったという訳だ。

 

 

「ま、そういう訳で俺はもっと普通の人間で、デートの帰りにコンビニでガリガリ君買って、食いながら歩けるようなおんにゃのこが好みだ。あとおっぱい」

 

「そればっかりなだな。しかし言う割にはオーフィスはあんな見た目じゃないか? アレならお前好みの姿にだってなれるだろ?」

 

「この前なったのを見せられたが、不思議と納得できなくてさっさと戻るように言った。

アイツはボーッとしてて、チビで、胸無しじゃないと何か嫌だ」

 

「それって、まさか実はお前はロリコ――――い、いや何でもない。何でもないから仲間が見てる前でズタズタにするのは勘弁してくれ……! 俺が悪かったから!」

 

「………。テメーは他人をイラッとさせる天才だわ」

 

 

 一瞬睨まれたので即言葉を撤回して難を逃れたものの、内心俺は『実は言うほど豪語している女の好みはそんなに好みでもないのでは? 人間じゃないとはいえ、体型も悪くない女を普通にぶち倒してるし』と思えて仕方なかった。

 というか……これは口が裂けても本人の前じゃ言わないが、この前オーフィスがボソッと……。

 

 

『無くてもイッセーが後ろから触ってくれた……ふふふ』

 

 

 なんて機嫌良く言ってたし……もしかしたら大きさに拘りはそんなに無いのかもしれない。

 

 

「手間賃寄越せコラ」

 

「あ、おう……ええっと日本通貨で五千円――」

 

「ふざけろ、500万だボケ。

払えなかったら自称ジャンヌ以外の野郎をハッテン場のホモに売り飛ばす」

 

「ま、待てそれは本当に勘弁してくれ! 値段相当の宝石類で良い?」

 

 

 




補足

壊神モード

自身を無限に進化するスキルと夢と現実を書き換えるスキルを持つ一誠が、神滅具使いやこの世界の神・魔王・天使・堕天使――そして自分をかつて陥れた転生者とオーフィスを狙って自分を殺そうとした転生者との戦いの際に抱いた『新しい』という気持ちにより反応・二つのスキルがぐちゃぐちゃに混ぜ合わされた結果生まれた、一誠の新たな境地。


自然だろうが不自然だろうが、一誠により傷つけられた全ては修復せず、永遠に壊れたままとなり、直せるのは一誠本人のみなのだが、このモードを使いすぎると――


その2
おっぱい! おっぱい! と叫ぶし、おんにゃのこばんざーいと言う割には戦う場合は割りと容赦がない一誠。
この理由は単純にオーフィスたんのせいで無自覚ロリコ―――――(大量の血痕により閲覧不可)
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