ソノ後イナヅマトハ別レ、私ハソノママ海沿イヲ歩ク。少シ離レタ防波堤ノ上デ、赤イ服ヲ着タ小柄ナ少女ガ釣リヲシテイタ。私ハソノ所ヘ歩イテ行ク。
「よー、サキちゃん」
「ドウ? 釣レテル?」
「まだ一匹も釣れとらん。せやけどまだ始めたばっかやし、これからや」
私ハ彼女ノトナリニ座ル。
「……」
「………」
「…………」
「……そういえば今日、新しい艦娘が来るみたいやね」
「ソウミタイダネ」
「大丈夫なんか?」
恐ラク、私ガヲ級デアル事ガバレナイカダロウ。
「多分。アト『ばれたらばれたで誤魔化し様は幾らでも有るよ』ト提督ガ言ッテイタ」
「なら良いんやけどね。……あの司令官は口達者やからなぁ」
アト時々底意地ノ悪サガ見エル。
「うちも四日前は彼に上手くあしらわれた」
ソレハ『僕を置いて逃げても良いよ』トノ言葉ニ、アオバトリュウジョウガ反対シタ時。彼ハノラリクラリト言イ逃レ、ソシテ二人ニ渋々ナガラモソノ言葉ヲ認メサセタ。
「そうでしたねぇ」
私タチヲ見カケタアオバガ、コッチニヤッテ来テイタ。ヨッ、ト軽ク手ヲ挙ゲル。
「そして司令官は結構適当なんですよね」
「それは分かるわ」
「カナリテキトウ」
「でもその割に、何を考えてるのか分かりません」
……。私モヨク分カラナイ。
「まあ少なくとも、捉え所の無い人間であることは間違いないな、っと」
ヲッ! リュウジョウガ魚ヲ釣ッタ。
「おっ、あそこにキリさんが居ますね。ちょっと呼んできますね」
アオバハ、砂浜ニヤッテ来タキリノ所ニ向カッタ。落チ着キガ足リナイナ、ト思ッタ。二人ハ暫ク話シタ後、歩イテ来タ。
「どうも、です」
「よーキリちゃん。今な、司令官の話をしてたんや」
「お兄さんの話」
「はい。キリさんは司令官の事、どう思ってるいんですか?」
「……。そこそこ優しいとは思ってる」
「そこそこ?」
「うん。まあ、あまりお兄さんの事は知らないんだけど」
「そう言えばキリちゃんは養子なんやな」
「そう。お兄さんに初めて会ったのは五年くらい前だけど、一緒に行動し始めたのは二年前だから」
「ソウダッタンダ」
……ダカラ『お兄さん』ナノカナ。隣ノアオバガ手帳ヲ見ナガラ尋ネル。
「じゃあこの二年間、大変だったんじゃないですか?」
「まあまあ。運悪く戦争とかが始まったから、その時は危なかった。でもその後はそれ程でもないよ」
コレハ聞イタ事ダガ、一年半前ニ戦争ガアッタラシイ。シカシソレハ一カ月デ終ワッタ。私タチガ―深海棲艦ト艦娘ガ、現レタカラダ。
リュウジョウガモウ一匹釣リ上ゲタ所デ、ホウショウガ昼食ノ為ニ呼ビニ来タ。
昼食後、新シイ艦娘ガ来タ。背ノ高イ方ハ、ナガト。ソシテ眼帯ガ、キソ。私達ハ互イニアイサツヲシタ。
チナミニ、大部分ノ艦娘ハ深海棲艦ノコトヲ外見デ判断シテイルラシイ。直感的ニ分カルワケデハナイ。逆ニ深海棲艦ハ全員直感的ニ分カル。(ソモソモ海ニ浮ケルノガコノ二ツダケダカラ、アマリ直感ニ頼ル意味ハ無イガ。)ダカラ、私ノ正体ガ初対面デ核心的ニバレル事ハホトンド無イ。ドウヤラ新シク来タ二人モ、私ハ人間ダト思ッタミタイダ。
午後ハ多摩ト一緒ニ、ヒナタボッコヲシタ。食事ノ後ノ満腹感ニ加エテ、海カラ吹ク涼シイ風ガ眠気ヲ誘ウ。
「おやすみにゃ」
隣ノ多摩ガ大キナアクビヲシテ、寝ソベル。私ノマブタモ段々ト重クナッテイク。
「まったく、しょうがないクマ」
一人の少女が、縁側で寝ている二人にタオルケットをかけた。口振りに反して、彼女は笑顔を浮かべていた。