彼の双眸に映る景色は   作:sophist

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21 添(顛)

 さて、と一言置いて僕は話をする。

「深海棲艦について現在分かっている事は、人型のものはより強いという事と、躰に金属が含まれているらしい事、少なからず知能がある事、人間の砲撃は一切効かない事だ。但し艦娘の攻撃は通用する。生態は一切不明で、外見と攻撃の種類によって多数の級に分かれている。尚、陸から離れる程強力な深海棲艦が存在する傾向にあるらしい」

ここで長門さんが僕に尋ねてきた。

「他に判っている事は無いのか?」

「僕が養成学校で教えられたのはこの位だよ、長門さん」

『教えられた』のは、ね。

「今度は出撃について軽く話そうか。基本出撃は六人一組で行われます。但し稀に五人以下の時もあるけれど。そして出撃は主に旗艦の指示、及び各艦の判断で遂行していく事になる。これは現場の方がより適切な判断を下しやすい事、後は迅速に行動する為だ。演習についても同様で、結局指揮官が指示できるのは編成と陣形くらいだよ」

そこで青葉さんが口を開く。

「そういえば、この前の演習では今の説明と違って細かに指示を出されていましたね。まあ、その時実際には司令官はそこに居なかったわけですけど。それはどうしてです?」

「ああ、あれね……」

 一週間前の演習の時、確かに電さん達に細かく指示を出す様言った。けどあれは演習の体を成さなくする物なので恐らく二度と使わないだろう。

「まず前提として、演習の時間を出来るだけ、この場合は三十分いっぱいまで稼ぎたかった。これはいい?」

僕は最初からとある可能性を考えていたのは前述の通り。

「次に、艤装を着けた時のステータスの上昇。これにより君達の攻撃の命中率は、場合に依るけど大体7割から9割強に跳ね上がる」

艦娘も深海棲艦も、船より遥かに小さいのに。

「後はリアルタイムで両方の陣営が映されていた事。そして開始時にかなりの距離を取っていた事」

「確か最初は7キロ程、だったか」

仮に砲弾が1キロメートル毎秒でやって来ても、7秒のタイムラグが有る。そして相手側の方が此方より練度が高かった。相手の命中率を8割とすると、発射された後移動すると8割の確率で回避可能ではないか。ざっとこんな事を話した。

「当然被弾が少ないと途中で決着がつく事も少なくなる。そういった意図の作戦だった」

穴だらけで不確定要素も多く、過程に仮定を含んだ、とても作戦と言える程の物ではないが。

「そんな事を考えていたんですか」

「うん。それで電さん達には『左右前後のどれかに5メートル進めと言えばいい』と指示を出しただけ。まあ最後の方は僕も帰って来てたんだけどね」

 質問には答えたので話を戻そう。

「遠征についても艦隊のそれぞれの判断が結果に繋がるからね。だから一人一人が適切な判断が下す為にも、知識量はある程度必要なんだよ」

と言って話を締め括る。

「分かったわ、司令官。私たくさん勉強するわね!」

「うん、その心意気だよ」

僕はやる気を見せる雷さんらを見ながら、持っていた教本を置いた。

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