ソードアート・オンライン Will Drivers 作:我道ラン
それではどうぞ!
こんにちは、吉永治です。といっても今はALOで平均的な体格、緑の長髪を低い位置でのポニーテールで縛っているシルフ族のオサムという名前になってるけど…僕は今、さっきの事件で助けた5人の女の子と一緒に歩いてます。ウンディーネのアスナさん、レプラコーン(工匠妖精族)のリズベットにケットシーのシリカちゃんとシノン、そして僕と同じシルフのリーファちゃん…この5人がお礼代わりに武器選びをしてくれるなんて…とてもありがたいんだけど…
「フン、精々この俺に相応しい強靭かつ無敵で最強な武器を見つけてくれよぉ?」
「何よ偉そうに…そう言っておいて実力は大したことないんじゃないの?」
「だったらお前の実力は大したもんなのか?」
「えっ…そ、そりゃまぁ」
「ダメだな、即答出来ていない時点でお前は俺に勝てない。絶対にだ」
「なっ…!」
「まぁまぁ、落ち着きなって。コイツだってそんな悪い奴じゃなくてね…?」
ツンツンした黒髪に紅い目の壬那督隼ことスプリガンのミナ君がいつもの高慢ちきな態度をとってしまい、リーファちゃんと言い争いをしていた。はぁ…どうしてミナ君はこうも空気を悪くするのかな…と思っていたところに小柄で緑の目をした神崎陽一ことサラマンダー族のヨウイチ君が仲裁しに入った。
「ミナも…これから武器を選んでもらうんだからやめようぜ?な?」
「…勝手にしろ」
「たく…ごめんなリーファちゃん。アイツも悪気があってやった訳じゃないから」
「ホントに?ていうかアレが素なの?」
「まぁ…アレが進化するのかなって思うと怖いよなぁ」
どこぞの火のエルかなというツッコミを内心こっそりとしたらヨウイチ君はリーファちゃんと話を進めていた。仲が良さそうに話していてカップルのようにも見えてしまう。
「え?リクさんは柔道やってるんですか?」
「へへへ…そんなスゴいことじゃ…あくまで都大会ですし」
「充分スゴいって!努力家なんだね…♪」
「て…照れるぜアスナ姐さん」
一方こっちでは男らしい体格の中之条陸斗ことノームのリク君についてアスナさんとシリカちゃんが話をしている。女の子に褒められてるからかリク君の顔は照れている。そりゃもう通常の3倍出せそうだなってぐらい真っ赤にね。というかアスナ…姐さん?
「ほら!シュウちゃん自己紹介!」
「………シュウ、剣士でウンディーネ」
「武器は?」
「片手剣」
「ほぉ…なになに?誰がタイプとかあんの?」
「俺はアスナさんかなぁ…」
「貴方には聞いてないわよ」
もう一方では金髪のショートに碧眼の三倉大悟ことダイゴ君と黒い目以外は真っ青なコーディネートをしてる河原秀二ことシュウ君がリズとシノン相手に話をしている。リズがニヤニヤしながら言った質問になぜかダイゴ君が答え、それにシノンが冷静に突き返す。向こうはなんだか安定してるなぁ…
「はぁ…んで、シュウは誰が好きなの?」
「………………リズ」
「は、はぁ!?ばばば…バカじゃないの!?」
「冗談だ」
……前言撤回、やっぱりダメだな。これは酷い。好きだと言って相手が動揺したら即答で否定する…うん、やっぱりヤバすぎる。何がとかよくわからないけどヤバいよこれは……
こんな話をしながら僕達はリズが切り盛りしている武具店に到着した。外観もそうだが店内からも伝わる武器への愛着、そしてこれらを作ったリズの匠の心が感じられる……って何を言ってるんだ僕は。ダイゴ君の小ボケが移ったかな…
そう思いつつ、リズが用意した椅子に座り武器についての要望を聞き出した。
「で、改めて聞くけど何の武器が欲しいわけ?」
リズベットよ。あたしは今男子達の要望を聞いてるんだけど……思ったほど答えが早く帰って来たので少し動揺している。だって聞いた瞬間に用意した来客用の椅子を立ったのよ?おまけにリクなんかは蹴飛ばしてるし……
「片手剣」
「うーん…ボウガンとかかな」
「大剣!」
「アスナさんと同じの!」
「ぶった斬れるの一丁!」
「オリハルコン製の槍…もちろんマスターピースのな」
最初の三人は良い、けど残りがちょっとおかしい。まずダイゴ、アスナと同じのって何!?いや別に良いのよ?けどなんか狙ってない?ペアルックじゃないんだからやめなさいよね!そしてリク…常連客か!おまけによく定まってない!ぶった斬れるのなんか多いからわかんないわよ!最後はミナ……もうやめて、オリハルコンなんてないから。マスターピースとか言ってハードル上げるのやめなさいよぉ……
「……ちなみに素材は?」
「「「「「「無い」」」」」」
怒っていい?初心者なのはわかるけど何なのコイツら最初からあたしを怒らせたいの?そう思わせるほど真顔であっさりと答えた。
「…獲ってきたら?」
「え?」
「素材、獲ってきたら良いじゃない」
そんな時シノンの一言で場の空気はガラリと変わった。確かに作ることがお礼だから素材の入手までは約束していない。つまりは獲れなきゃ武器も作れない。何の意味もないということになる。これはまさかの展開だ…もう一度考え直しな…?
「いいよ?」
そうそうよく悩んで考え…えっ?
「そうだな、さすがに俺達も手伝わなきゃな」
「まぁ、初クエストってことにしておいてやろう」
「シュウちゃんも良いだろ?」
「…別に良いけど」
「ならこれで決まりだね」
リクの言葉にダイゴ、ミナ、ヨウイチ、シュウ、オサムの順でシノンの提案に乗ってくれた…優しい、若干一人ウザいけど許そう。ちょっと勘違いしてたかもしれないなぁ…というか勘違いするのがおかしかったのかも。それならあたしも精一杯作らなきゃと思ったその時…
「あの…ついて行っちゃダメですか?」
シリカが手を挙げてそう言った。彼女曰く手に入れたいアイテムが欲しいのだと言う。実はあたしも少し鍛冶や武器の鍛錬に使う素材が足りなくてその買い出しに行きたかったのだ。
「だったらそれぞれ分かれて行こうよ。マンツーマンで教えられるし」
「そうだね…私もそれが良いと思うよ」
オサムの考えにリーファが同意した。確かに6人もいられちゃ教える方が大変だし、教えられる方も頭が追いつかなくなるかもだからね。あと一番の理由はうるさくなるだろうから…なんて言ったら多分もっとうるさくなりそう、ゴング鳴らせってくらいに叫びそうだと内心思いつつ話を進めた。
「だったらウチに置いてある武器使っていいわよ」
「マジ!?サンキューリズ!」
「だったらまずは武器を決めるか…」
ヨウイチが喜ぶと共にミナ達は早速店内にある武器を全てチェックし始めた。集中していて話しかけるのに少し勇気がいる。彼らが選んでいる間、あたし達は束の間のティータイムを楽しんだ。
「…メンバー決めない?」
「あの中から一人?」
「でも一人お留守番になりますよ?」
「良いんじゃない?別に子どもじゃないんだから……」
お茶が切れて会話が出てこなかったので一緒に行くメンバーを決めることにしたわ。その結果、リクにアスナ、シュウにあたし、オサムにはシリカ、ミナにリーファ、ヨウイチにシノンとなった。あたしはシュウか…からかいがいがありそうだなと自分で言うのもなんだけど微笑んじゃった。ちなみにアスナは苦笑い、リーファは実に嫌そうな顔をしていた。
そして時間は夕方、といってもこの世界では1日の周期が短く、こちらの方が早く日が沈む。つまりは先に夕食の時間になるのよ。ここまで2時間余り…色々なことがあったけどなんやかんや別れの時間になるとは早かったなぁ……と思うじゃん?
「えっ!良いの!?」
「どうせだしご飯食べてこうよ」
「あ~良いッスねぇ~美女の作るご飯か…」
アスナは6人を夕食に誘い、オサムとシュウ、リクが遠慮なんて一切せずお願いした。アスナも理由はお礼の一環として出来ることをしたかったという。まだまだいるのかと呆れつつ内心では少し喜んでいるのはあたしだけではないはず…
「じゃあ俺も手伝うとするか」
「出たぁ!ダイゴの手料理!」
「え?料理得意なの?」
「まぁな…和食洋食中華なんでも作れるぜ」
そしてアスナは家に到着するなり、料理の準備を始めた。でも…男で料理出来るのは割と初めて会った気がするなぁ……なんて思ってる間にダイゴはアスナの料理作りを手伝ってる。腕前はどのようなものかとそっと見てみたら食材の下ごしらえを瞬く間に終わらせていた。
「ダイゴってあんなこと出来んの?」
「普段家で料理作ってるらしいからな……俺は作るとこも食べたこともあったけどスゴかった」
「いやぁあの時は楽だったぜ、なんたって勝手に料理が出来ちゃうんだからなぁ」
「なんつーかさ…料理の天才?28号?FX?」
ヨウイチとミナのコメントをまとめてくれたリクだがいまいち伝わらない28…FX…あぁそういうことね。もしこれがわざとなら相当寒いわよ……そんなやりとりをしている間に向こうは料理の大半を完成させていた。
「おーい!出来た料理運んでくれー!」
「おし…ほら行くよシュウちゃん!」
「えーヨウイチ一人でよくない?」
「よくない!良いからシュウちゃん早く!ほらミナも!」
「フッ…何を言ってやがるんだ?」
「…はぁ?」
「今はまだ俺が手伝う時ではない」
「いいから働けクソニート」
ヨウイチが二人を誘うとシュウはすぐに受け入れたがミナの方はいつもの妄言か出た…するとシュウが即座に毒のある言葉で叩きのめした。心なしかミナがかわいそうな顔してる……ぷぷっ…ヤバイわ、これ見てる分には面白い…
「へぇ…これはすごいわね」
「美味しそう…」
「は、早く食べましょう!」
シノンとリーファが出来上がったダイゴの作った料理に感動してシリカがもう我慢出来ないと言わんばかりに食べるのを急がせる。目の前には豪勢な料理がずらりと並んでいる…確かにこれを見たら食べたくもなるわね……
「いただきまーす!」
「ちょ…まぁいいか、たんと食べてくれよな!」
全員一口食べて出た一言は…………
「美味しい!」
なにこれ?とにかく美味しい…何がどうどう美味しいとか説明出来ないくらいに美味しい料理をあたし達は夢中で食べ続けて気がついた時には皿の上の料理はすっからかんになっていた……
「あぁ…ごちそうさま」
「ありがと…こんなに美味しいの初めて食べたわよ」
「俺も満足だ…よくやったな、称賛してやろう」
シュウにあたし、ミナは食べ終え食後の余韻に浸っていた。そして時間もいい頃となったので別れることとなった。
「じゃあ、またここで」
「今日はありがとやしたぁ!」
「んじゃあな…俺の嫁達」
もうツッコまずに彼らはシステムウィンドウを開き、ログアウトした。
「ふぅ…疲れたぁ」
神崎陽一だ。やっと初めてのALOを満喫して現実世界に戻ってきたんだけど…とにかく大変だった。いきなり変なプレイヤーに関わるわそこからすぐ戦闘するわでボロボロだ…あとは武器の素材を獲りに行くんだが今のところ問題が2つあるんだが……まぁゆっくり考えるか…
「ミルクコーヒーは…あったあった」
俺は市販で売ってるミルクコーヒーのペットボトルを持ち、ゴクゴクと飲み始めた。
しかし妙だ……あのネクロとかいうの、明らか他のプレイヤーとは違っていた。冥界の使者と言っていたがどうもミナのような冗談混じりの中二病な感じではなく本気で言っているように伺えた…そして『ドライバー』…これが一番頭の中で引っ掛かっている。そもそもなんであんなスキルが発揮出来るんだ?もし出来たとしてその条件は?それに奴は俺達と一緒だと言っていった…だとしたら俺達も『ドライバー』なのか…?
「ん…もう切れたか……」
考えるだけでも恐ろしい…奴と同じ力だなんて手に入れたくない。確かにアレがあれば強くなれるがその代わりに何かを失ってしまいそうだ。まさか……あんなのが他にもいるんじゃないよな…?いや、その可能性は充分考えられるし………ただでさえこんなことでこんがらがってるのに俺にはまだもう1つの問題があった……どちらかといえばこっちの方が俺としては大問題なんだが…
「女の子と二人きりはマズい…!!!」
元よりよく話すタイプじゃないのに何で仲良くデートみたいなことしなくちゃなんないんだよ…しかも俺と一緒に行くシノンはすごい無口なタイプみたいだし……あぁ…絶対ぎこちない会話ばかりになるんだろうなぁ……行きたくねぇ…でも行かなきゃせっかくのチャンスをみすみす見逃すし…でも変な空気になっても嫌だし、どうすればいいんだよぉ…どっちを選べばいいんだっ…!
「……………考えるのやーめた」
そう、これが俺。今のように頭がパンクしそうな難しいことはあまり深く考えずに放棄するのが俺なのだ。要するに「ギアが入っていなければただのダメ人間」てこと。そんな俺はさっさと自室の布団に潜った。
「次から頑張んなきゃなぁ……」
そう密かに誓った俺はゆっくりと目を瞑り、眠りについた。
次回、武器作りの旅へ…そして彼らに襲いかかる魔の手が…
「もうやめて…無茶だよ!」
「タイマン張らせてもらうぜ!!!」
彼の青春が今、爆発する…
やっと終わった…ここまで来ている人はどれぐらいいるのかな?ここまで作ってみると改めて人気作を作っている人はスゴいんだなぁ…と思いました。
次回からは武器作りの為、男女マンツーマンでのお話になります!戦闘やら何やらが色々ダメダメなところがあるかもですが尽力しますのでよろしくお願いします!