ソードアート・オンライン Will Drivers 作:我道ラン
今回はリズとシュウのお話!果たして二人は結ばれるのかな…?お楽しみに!
…………シュウです。今日はリズが武器を作るのに必要な準備をするためにリズの武具店に来た。ていうか既にいる、なのにも関わらずリズは気づいていない…もう来て10分も経っているのにどうして気がつかないのか不思議だった。
「はぁ~…遅いわねシュウの奴……早く棚卸しをしたいのに来ないってどういうことよ~……」
やっぱりこんな整った店に武器を作る準備なんていらなかったんだ。いや、正確に言えば棚卸しの準備が目的だったんだ…あぁ、少しやる気なくなったかも。元より力仕事は得意じゃないんだ…誘うならリクとかダイゴを誘えば良いのに。もう帰ろう…気づいてないんだから別に落ちても平気だろうし……
「あっ!シュウじゃな~い…何落ちようとしてんのよぉ…‼」
システムウィンドウのログアウトボタンに手を伸ばしたら、急に手をすごい力で掴まれた。顔はいかにもいたずらっ子のようでしてやったりな表情だった。ていうか痛い痛い痛い痛い…!腕がちぎれる!
「痛い!離してっ!」
「だったら棚卸し手伝いなさいよね?」
「わかりました…手伝うから離してください」
「それでよろしい」
やっと自由になった俺の腕は掴まれていたせいか痺れでピリピリとした僅かな痛みが走っている。
「全く…やりたいんなら最初からそう言えば良いのに…」
「何か言った?」
「ウウン!ナンデモナイノナンデモ」
いつもとは似ても似つかない甲高い声かつ早口で無理矢理ごまかした。そうでなきゃいつまでも食いついてきそうだし…
それから5分後…俺とリズは作業を始め、棚に飾ってある剣や槍を移動し始めた。といってもこれはリズの仕事で俺はいらない雑貨やアイテムをまとめる役割だった。やっぱりこういうのか…まぁ予想はしてたけどね。それにしても武器がこんなにあると欲しくなる…まぁどこぞのオメガボンバーじゃあるまいし100本も欲しいわけではないんだけど。
「こらシュウ!手を動かす!」
「わかったよ…」
リズに怒られてしまった。何というか無理矢理働かされているのに、仕事の手際が悪かったら怒るのか。何だか悪徳企業に就職した気分だ……将来は売られた喧嘩を買ったら有給が使い放題になったり、昆布のおにぎりをこよなく愛する者は即刻クビに処すような会社に就きたい…そう考えながら、黙々と仕事を進めた。その時…
「キャッ!」
棚の上を整理していたリズの脚立が崩れてしまった。足場を無くしたリズは助かる手立てなく床に落ちてしまう。だが……
「………う"っ…」
何とかギリギリでキャッチしたけどもその重さに耐えきれず尻餅をついてしまったが……まぁ、女の子助けたんだから大丈夫だよね………ん?なんかリズの顔が赤くなってるような…
「ちょ、ちょ……////」
ていうかリズって可愛い顔だな…そばかすが逆にチャーミングっていうかむしろそれが可愛さっていうか……とにかくそんなことを考えてながらじーっと見ていると…
「…シュウ……その…離れない?」
「う、うん……あの…」
「べっ…別に気にしてないから!///」
「……?」
リズ…なんで勝手に顔赤くなってんだろ、意味がわからないまま残った仕事を再開した。
やっと一通りの仕事が終わった。そんなに量が多かったわけではないのだが非常に疲れた。するとリズが気前よく飲み物を目の前に置いてくれた。
「お疲れ、コーラで良い?」
「…ありがと」
貰ったコップをグイッと口元に持って、入っているコーラを飲む。炭酸が心地よい刺激を与え、喉を通る。これまで抱えられた不満や疲労を洗い流してくれた。
「シュウはさぁ…なんでALO始めたの?」
「別に、ただ遊びたいだけ」
「それだけ?」
「それだけ」
「じゃあさ、好きな人とかいるの?」
「…………多分」
「何よ曖昧ね…ハッキリ言いなさいよ」
そんなこと言われたってわかるもんか。大体俺には彼女なんていらない……って言えば嘘だけど自信がない。俺が好きになることはあるだろうけども、俺を好きになることは多分ない。こんな俺に惚れる女の子なんているのか…だからリズの質問に曖昧なまま答えた。
「わからない…好きなのかどうかが」
「ふぅん…ねぇ、その娘のこと聞かせてよ」
…そんなに教えてほしいのか。口数が少ない俺はここぞとばかりに心の中で思った。目の前の彼女はニヤニヤと憎たらしい笑みを浮かべる。……もういいや、だったら正直に教えよう。はたしてこれが本心なのかわからないけど言うだけ言ってみよう、そうすれば向こうだって…
「…俺が好きなのは」
ガチャァ…!
「……チース」
…………は?誰こいつ?俺とリズの前に現れた謎の男はいきなり店の武器を見学しだした。見た目としては金髪…シルフか?そしてダイゴ以上に伸びた体。こういう奴って何て言うんだろ…パンクロッカー?うん、そんな感じのチャラいホストみたいな奴が勝手に入ってきたのだ。武器をじっと見て、口角が上がる…そんな行動を何回も繰り返す中で奴はこう言った。
「ハッ…こんな程度かよ」
恐らくリズにも聞こえていたであろうこのセリフが彼女を怒らせた。
「あ、あの~…お客様?今日はお休みで営業してないんですよ…」
「えぇ、そうなのぉ?こんな貧相な店が休業ォ?何?売れてないの?破産寸前なの?あとお客様じゃねぇ…俺はラストってイカした名前があるんだからよ」
自分から勝手に入ってきたのに商品にケチ付けたり店の人に対してここまで口が悪いとは…こういうのには絶対に関わりたくない。元より関わろうとも思わないが……さすがのリズも怒っているように見える。それでも奴はお構いなしにひたすら罵倒を続ける。
「こんなモンばっかじゃあ潰れて当たり前だな」
「……何が楽しいの?」
「は?」
「店をディスって何が楽しいんだって言ってんの」
自分でもわからない…無意識だった。なぜか奴の言葉を聞く度に一歩ずつ前へ進んでしまう。こんなことは絶対に現実ではしない、あくまでゲームだからこいつに歯向かえるんだ。その証拠に俺は売り物の片手剣に手を伸ばしている…柄をグッと握り、チャンスを待つ。あとは斬ればおしまい、ハッピーエンドで終われる…そして剣を構え、斬ろうと思った瞬間…
「おっと…どうしたのかなぁ?」
「…嘘だろ…」
ここは武具店、そこにある武器は常に最高の状態で完備されているはず。売るのならそうしなければ客の心は掴めないから…けど俺の手に握られたその剣は最高の状態どころか最低だった。その刀身は赤黒く、若干茶色が入っていた。刀身そのものが染まっていて、もはや剣としては使い物にならない。
「…錆びてる」
「おぉっとぉ!?まさかの手抜きですかァー?あっ!よく見たらこのお店の武器は何もかも錆だらけじゃないですかァー!」
「う、嘘…嘘よ!」
周りを見渡すと一面見える武器が全て錆びている。でもさっきはこんな風になっていなかったはず……だとしたら…
「アンタさぁ…こんなの売るつもりだったなんて最低だな」
「違う!てかアンタがやったんでしょ!」
「どうやってぇ?」
「そ…それは…」
「ほらほらァろくな証拠も無いくせに勝手に犯人にするのやめてもらえますか~?いつ!俺が!何時何分何秒にそんなことをしましたかぁ~?」
怒りを唾を飲んで我慢しているリズの隣で舌を出してすり寄るラスト、このウザさはミナを越している…全然嬉しくないけど。さぁ、…もうここまできたら確実に犯人は奴だ。でも証拠がない…だが、逆に僅かな証拠が一つでもみつかれば奴の余裕はなくなるはずだ。どこかに手掛かりがある、絶対に…とは言いたいけどやはり見つからない。このままじゃ……
「まさか濡れ衣まで着せられるとは思わなかったなぁ~…こんなんじゃすぐに信用なくすぜぇ?こんな風によォ!」
そう言った次の瞬間、奴は店中の武器を全て叩き壊した。ガラスが割れるように音をたててバラバラになっていくのを俺はただ唖然と見ていた。そしてリズはあまりの行動に必死に止めていた…
「お願いだから…もうやめなさいよ!」
「あぁ~ん?こんなんじゃ満足出来ないぜぇ!」
「もう…やめて……」
「ヒャッ…ハァァ!」
……無くなった。彼女の武器が、彼女の自信そのものが。俺達の周りにはかつて武器であった錆びた破片が四方に散らばっていた。そこにいる二人の妖精。一人は絶望し顔を俯け、もう一人はそんな姿を見て心の底から笑っていた。
「ハハハ…見ろよぉ!テメェの心みたくバラバラになりやがった!こいつは最高だ…最高傑作だぜェー!」
「………あたしのは…こんなものだったの…?」
「そうだよこんなもんだよォ!ヒャーッハッハッハッハッ!じゃ、帰ろーっと」
そこに見えるのは泣く女の子、今もなお傲っている男の笑い。たった一人のせいで彼女の大切な店が…思い出がメチャクチャに壊されてしまった。気分が晴れたのか店を去ろうとするラスト…これだけやっておいて…謝罪すらなく帰るのか……人を傷つけてそれで終わりにするのか………それなら…
………………もう、いいよな?
ズバァッ!
「ぐぉあっ!」
調子に乗った奴の体に一文字の傷…俺はないはずの剣で斬った。思えば簡単だったんだ…武器がないのなら………
……作ればいいことを。
トレース、それが目覚めたドライバー…一度見た武器をイメージして作る能力…まぁ体は剣で出来ていないし、まだ武器のラインナップが少ないけど100個近くあればいいか。
「テメェ…なぁにしやがったぁぁ!」
「武具店の武器を壊してしまったのなら弁償するのが客のルールではないのか」
「んだとォ!?」
剣を振り上げると奴も能力を発揮して対抗する。すぐ錆びてしまうがそんなの関係ない。錆びたら新しいのを作って斬る、錆びたら新しく作りまた斬る…これの繰り返し。けども余裕が無くなったラストは焦りで能力が不発する…どうやら錆びさせるにはマナ(魔力)を使わなければいけないみたいだ。そしてそのマナが切れた以上使えない、それならもうあとは斬るだけだった。
「ふざけんなぁ…いきなり斬りつけやがって!」
「いきなり店を批判したり店のモノ壊した奴が何言ってんの」
「なんでだよォ…なんでお前ドライバーなんだよォー!」
「なんでかって…?」
リズは…あ、泣き止んでる。けどまた顔が赤くなってる……とりあえず第一関門は解決したか……こうして他のことを考えていても手は止めない。ひたすら斬りまくり、HPを減らしとどめの一閃を決めて奴の問いに答えた。
「…誰も聞かなかったからだ」
リズベットよ。さっきまであたしの店で人騒ぎあったんだけど、今はそれも落ち着き復旧作業を進めてるの。まずは破片になった武器を集めて掃除したあとにシュウの能力で武器を元通りに復元する…正直あたしはなにもしてないのよね…だって……
「クソッ…なんで俺様がこんなことを…」
「さっさとやれよ」
事件の犯人、ラストがこれまでのほぼ全部をしてくれたから…まぁ人様の武器をメチャクチャにしたんだから当たり前よね。それでも手伝ってくれるあたりは良い奴か…といっても倒れたところを無理矢理ポーション飲まして働かせてるし…シュウは鬼畜って新しい一面(?)が見られたから良しとしよう……
「シュウ…その、今日はありがとね」
「ううん、おかげでALOやる意味が一つ増えたし有意義だった」
「やる意味…?何よそれ?」
「…リズを守ること」
「…………はぁ!?」
「これからは俺が…お前の希望になる」
な…ななななななぁに言ってんのよコイツ…!え?何?プロポーズ!?お前のお味噌汁毎日飲みたい的な?そ、そんなまだ出会って数回なのに……急に告白日和見計らってカップル宣言とかどんだけ取り急いでんのよ…!ま、まぁ確かに年頃だし?別に気持ちはわからなくはないわよ?それにあたしだって……ちょっとだけよ?受け止められたり、あたしの代わりに怒ってくれたし…だからってシュウにその……ときめいてる訳じゃないし!惚れちゃった訳じゃないし////
「おい…おい!」
「きゃぁっ!な…何よ?」
いつの間にか間近にいたラストの呼び掛けに驚いてしまい自分でも思ってしまうほどの可愛い声をあげてしまった…うぅ、全部シュウのせいなんだからぁ…///
「ほら…これでどうだよ?」
「やれば出来るじゃん」
「たく…こんなことも出来ないんじゃあこのラスト様を雇ってくれてもいいんだぜ?」
「…って言ってるけど、どう?」
「……シュウ、そいつに良いとこ紹介してやりなさい」
「わかった」
「あぁっ!ごめんなさいごめんなさいもう二度と悪さはしませんからどうかそれだけは」
「ダマッテローヨ」
「いやマジで!ホント何でもするんでマジ許してくださ」
「イッテイーヨ」
ピッポー…ピッポー…チュンチュン♪
「アァッーーーーー!!!!」
とある武具店から、この世の終わりを見たかのような断末魔が聞こえたとさ
次回、一人の男を愛する女はその愛の重さ故にとんでもない行動に…
「私なんかじゃ…助けられませんよ」
「妖精は助け合いでしょ?」
人気者は大変…?
というわけで5話でした!とりまシュウちゃんは鈍感ってことで…そしてリズをデレさせてはみたがどうなんだろうなーってところです。
さて、シュウちゃんが好きな人はリズなのか…それとも別の誰かか……
次回はオサム君のお話、ちょっとホラー展開を入れてみようかな?
感想、意見その他色々頂けたら幸いです!