ソードアート・オンライン Will Drivers 作:我道ラン
本格的な冬到来で筆も上手く進みませんでしたがなんとか形になりました!
今回はヨウイチとシノンのお話、そろそろ個人パートも終わるので話も進みそうです!
それではどうぞ!
やっ、自称炎の大剣使いヨウイチだ!俺は今このゲームで知り合ったシノンという少女と共にあるアイテムを手に入れるクエストを受けているんだ。何でも彼女の武器である弓を強化できる素材がドロップするんだとか…できれば俺の大剣も強化できたらよかったんだけど……いや、そんなことより問題は山積みなんだ!まずその一つは…
「……さっきの戦闘、前に出過ぎよ」
「は、はい…すみません」
その相棒、シノンがあまりにも厳しかったことだ。元から俺はゲームが下手で6人の中で一番下に位置している。そんな俺が上級者である彼女と行っても結末はわかりきっていたのに……そしてもう一つは……
「……何よ、人の顔ジロジロ見て」
「えっ!?あぁいや…その………」
「…………わかった。ほら、次行くわよ」
このように、全然会話が弾まないことだ。無口な人だから絶対にこうなるだろうなとは思ったがこれ程とは……あぁ…今ならリクのあのコミュ力を分けて欲しい……
「シノン、スイッチ!」
「……ふっ!」
「ふぅ…お疲れシノン!」
「上達早いじゃない、見違えたわ」
「そ、そうか?へへ…」
「子どもね…」
「うっ……」
クエストを終えた俺達は帰り道でしょうもない話をしていた。このクエストのお陰でちょっとしたテクニックや立ち回りを覚えることが出来た。そして話を進める内にシノンの笑顔が見えるときがあり、不覚にもキュンとしてしまった。こう…何て言えばいいんだろう、守りたいこの笑顔と言いますか………と考えていたところに道端で座禅(?)をしている男が声を掛けてきた。
「……少年」
「へ?少年って…俺のことですか?」
「貴様以外に誰がいる、剣を抜け」
「は?いやいきなり抜けと言われても…」
「いいから抜けェッ!」
男が一言言い放つと周囲の草木が大きく揺れ、俺の体に電撃が走ったかのような感覚が襲った。
「っ!?あ、アンタ……」
「さぁ、剣で語り合おうぞ…」
「いやっ…話をって危ねっ‼」
いきなり戦うなんて奇妙すぎる…止めようとしたが彼の降り下ろす剣を受け止めるので精一杯だった。重く、そして一切の余念がないような目。さっきの言葉から薄々勘づいていたが攻撃を受けて理解しだ。
「アンタ…俺を殺す気だな…!」
「何を言っておる、不殺の決闘など無意味…」
「なっ…そもそも、戦う意味がないだろ!なのに何で…!」
「ヨウイチ気をつけて…次が来る」
すかさず相手の攻撃、もう一度剣で防御するがそれを見通していたのか上からではなく下から振り上げた。もちろん上から来るもんだと思ってた俺は防御出来ずに吹き飛ばされてしまった。
「ぐぁぁっ!」
「ヨウイチ!」
「ふん、貧弱な…貴様の本気はそれ程のものか?」
「な、なにを…!」
「ならば来い、全力でな」
「うぉぉぉ!」
しかし結果は同じだった。受けては飛ばされ受けては飛ばされの連続…もう何十回倒れたことか俺自身わからなくなっていた。時間もどれだか経ったんだろうか………
「ハァ…ハァ…!」
「……見当違いだったようだ。何のためにこの世界に来たのかわからんとはな……」
「なっ…何も言ってないだろ…」
「戦い方でわかる、貴様の戦い方は誰かを守れる程度の未熟者がするものだ」
「アンタは守りながら戦うことが…そんなに嫌か?」
「…………はぁ…」
「何だよため息ついて…おわぁ!?」
軽くため息をつくと、俺の胸ぐらを思いっきり掴み上げた。
「いいか少年、何かを守る前に自分自身が強くならなければ何の意味もない。強くなくては守るどころか手を伸ばせなくなるからな。貴様は誰にもその手を伸ばせない戦いをしているのだ…あと私はアンタではない、オーラだ」
「……それでご指導ってわけですかオーラおじさん………」
「上から貰った名前でな、あまり気に入ってはいないのだが…名前がなくては何かと不便なのでな…そして今私がしたのは指導ではない、貴様の弱さを説いたまでだ」
「弱さ……ね…」
「…話すだけ無駄だったか」
気づけば残りのHPもレッドゾーン…危険値に達しているしオーラが俺の目の前に立ち剣を構えていた。ダメだ…今更回避のしようがない…俺、ここで負けるのか……まぁ弱くてもやれるところまでやったし…
「…弱き者はこの世に不要…世界は一絞りの強き者で作られるべきなのだ、少年」
残りはシノンがなんとかしてくれるだろ…もう俺のギアは変わらないみたいだし……ここまでだな…でもたかがゲームなんだ…またやり直せばいいんだから…ん?待てよ…?
「ヨウイチーー!」
今の台詞……弱いのはいらない……だとォ…!?
「なっ…!?素手で受け止めただと!?」
「うっ…うぉああああああ!」
「私の剣を跳ね返した…少年、ついに目覚めたか!」
「おいオッサン…今まで自分ばっかいい目だったんだからよぉ…そろそろこっちにもいい気分させろよなぁ!?」
「なにっ…!」
あの野郎…何かあると感じたのか離れやがった…だがこのまま帰すと思ったら大間違いだ…残念だが今の俺に余念はねぇ。本気?見たけりゃ見せてやる…俺のトップギアを!
「おいオッサン!ひとっ走り付き合えよ!!」
全身全霊を懸けて絶対にぶっ倒す…!!!
シノンよ…ヨウイチは今不思議な男と戦っていて私はその見物人…とでも言えばいいかしら?最初は…オーラと名乗っていた彼が攻勢だったけど立ち上がったヨウイチを見て距離をとったの。それにしても…ヨウイチの雰囲気が変わった…外見は全くだけど内面は確実に変わっている。ジキルとハイドみたいな感じかしら…
「ふははは…いいぞ少年、その目つき。私はその目を望んでいたのだ!さぁ再び勝負だ…!」
「……言いたいことはそれだけか?」
「あぁ。それでは……参るっ!」
再び始まった二人の決闘。私はそれを遠くからただ見つめているのだけど…覇気がものすごく伝わってくる。まるで殺し合いをしているよう………
「ふんっ!ほう…剣筋を見切れるようにはなったか。素晴らしい成長ぶりだ」
「これぐらい少し慣れれば出来る」
「だが甘いっ!」
オーラの一言でさらなる覇気が私達を襲う。まずい…確実にくる、さっきよりも強い攻撃が!
「ヨウイチ避けて!ソードスキルがくる!」
「これで終わりだ少年、さらば!」
大きな斬撃…広範囲型のソードスキルは一帯に大きな衝撃波を生み出した。彼の覇気をそのまま斬撃にしたような攻撃だった。防御をしたものの私はHPの半分以上を削られていて軽いスタン(麻痺)状態になっていた。そんな中でも必死にヨウイチを探した。ただでさえピンチなのよ?もうヨウイチはリメインライトになって消えているかもしれない…
「さすがにあの攻撃を喰らえばやられるか…まぁいい、データを回収すればいいだろう」
「データ…?」
「お嬢さん、君には関係のないことだ。早く去りなさい」
「ヨウイチはどこに行ったの…よ…」
「あの少年は消えた。私に本気を出させるとは大した腕だったよ」
「アンタみたいなの…私許せない」
「…はぁ、君のそれは無謀というものだ。しかし私に立ち向かってくる勇気だけは認めよう」
一歩ずつ近づいていく。動けないことを知っているからかゆっくり、じっくりと距離を縮める。相も変わらず彼の目に迷いはなくじっと見つめてくる。そして私の目の前に立ちこう言った。
「死ぬぞ?逃げないのか?」
「誰が逃げるものですか…」
「……どうなっても知らんぞ」
「その言葉、そっくりそのまま返してやらぁぁぁ!」
「ぐぁぁぁっ!」
彼の背後からヨウイチが現れ、大剣の大きな一降りで吹き飛ばした。よかった…
「シノン、ポーションだ。それで治せるよな?」
「えぇ…それにしても死んだかと思ったわ…ヒヤヒヤさせないでよ?」
「へっ…簡単に死ねるかよ!」
「ぐぐ…まだ刃向かうか少年…」
「刃向かわなきゃ倒せないんでな、んじゃ改めていくぜ!」
すごい…最初とは全然動きが違う。さっきは受けとめるのが精一杯だったのに今は互角…それ以上に戦っている。刀を相手にあんな重い大剣を振り回して攻撃の隙を与えさせないやり方ね。
「ふっふふ…これほどまでとは思わなかったぞ」
「そりゃこっちの台詞だ…」
「さぁ…来い!」
「でやぁぁぁぁぁ…!!!!」
「うぉぉぉぉぉ…!!!」
「…ぐふっ」
「………火炎を纏った斬撃か、素晴らしい…」
「はぁー…はぁー…」
ヨウイチの剣は炎とともに彼の体に傷をつけた。しかし負担が強かったのかその場に倒れ、気を失ってしまった。
「面白かったぞ少年、私は満足している…楽しかったぞ」
「待ちなさい…貴方の目的は何?単に勝負をしたいわけではないみたいだけど」
「…選ばれた存在、ドライバー。そのデータの回収が私の役目」
「役目…?そんなことして、何をする気なの?」
「全ての力を集約し世界を手に入れる、だそうだ」
「なっ…!?」
「おっと…少し話しすぎてしまったみたいだ、それではなお嬢さん」
オーラは転移魔法を詠唱しこの場を去った……力を集約…彼は一体、何をしようとしているの…このアルヴヘイムに何が起こるの……?
一方その頃……
「ひっ…ひぃぃ…!」
「なぁんだ…この程度しか使いこなせていないのか?貧弱だな」
「頼む…助けて…助けてくれよぉ…!」
「ひっつくな、汚らわしい…」
シルフ領地、スイルベーンの裏道に二人の男がいる。一人は地に這い許しを乞う男、もう一人は金色の長髪でその男を見下していた。後者が私だ… きっかけなどはない、あるとしたら、私が「力をよこせ」と突然襲ってきたことだ。そして決闘を行い、先程の会話へとなる…
「これで貴様には用はない、死ね」
「えっ…ぎゃぁぁぁぁぁ…!!!!!」
スイルベーン中に嫌でも聞こえるであろう男の断末魔。いかにも死にそうで、最大の恐怖を味わったかのようなおぞましい叫び。しかしそれは街中を歩く妖精達には聞こえなかった……なぜか?それはだな………
「他のドライバーの能力を使った、だよね?」
「…ネクロか、遅かったじゃないか」
「えへへ…♪」
「ネクロ、これでドライバーはあと何人だ?」
「んーと……あのソフトとかいうオジサンとオーラさん…でボクにあの6人…に不明の3人、9人かな?」
「そうか、いよいよこの計画も最終段階に入ったというわけか…ところでネクロ、あの6人というのは?」
「全員ドライバーの男6人組!能力は把握してないけどね…」
「ほう…ならその6人、お前に任せてもいいか?」
「任せてっ♪ボク、パパの言うことはちゃんと聞くからさ♪」
「ありがとう、ネクロ…」
パパ…か……ふん、少し調整を間違えたか…しかしそんなことはどうでもいい。もうすぐ…私の世界が…!全てが手に入るのだ…!!
「フッ…フハハハ…アーッハッハッハッハァー!!!」
「ボクも楽しみだなぁ…もうすぐ一緒になれるね…」
「………アスナ、リズ、シリカちゃん、リーファ、シノン。待っててね…♪」
「ん、んん…」
「ヨウイチ…やっと起きたのね」
やぁ…改めてヨウイチ…ってさっきもやったなぁこれ。さっきまで変なオッサンと戦ってた気がするんだけど気のせいだったかな?そういえばなんで俺の目の前にシノンが?思えば頭に柔らかいものが…って太もも!?
「えっ!?シ、シシシシ…シノンさん!?」
「何よ…せっかく面倒見てたのに…」
「もしかして俺のために…?」
「バッ…勘違いしないでよね!?このまま帰っても悪いし私から誘っておきながらこんな形でお開きしたくなかったから何だからね!?別にアンタの戦いぶりを見てカッコよかったとか助けてくれたんだとか考えてないんだからね…////」
「え?カッコよかったの?」
「うるさい!」
「ねぇねぇ、ひょっとして俺、ドライバーって奴になれたかな?」
「なってたなってた!回りに炎を撒き散らしてたわよ!」
「炎の能力…よし!フレアと名付けよう!」
「はぁ…もう、帰るわよ」
「はーい!」
フレア…俺そのものが炎を纏い、様々なものに炎を伝わせる能力って感じかな?でもどうやってなったんだか…そもそもなんであのオーラとかいう奴襲ってきたんだ?あれ…なんだか訳がわからなくなってきた…あぁもう!こんなときは…!
「…考えるのやーめた」
次回、男の元に現れた一人の少女…
「へへ、あれはたこ焼きってもんだ!」
「た↑こ↓や↑き↓」
彼女は一体…?
というわけで8話でした!
今回はシノンのキャラがブレブレだったかなーとおもいますがいかがでしたか?
そして話は変わりますが…実はこの小説、もう終盤に差し掛かっています!まさかの10話ちょっとでの投稿でおしまいになります…それでも、それでも楽しみにしていただければ幸いです!その思いが伝われば新作扱いでやるかも…?と思っています!
さて、次回は待ちに待った(?)ダイゴくんの話!予告の台詞…果たしてどんな話になるのか、お楽しみに!