翌日。昨日はわりと酷い目に遭ったが、それでもなんとか誤解を解くことができてよかったと内心ホッとしている。
そして、目覚めが遅かったのか、いつの間にか、上条は居なくなっていた。もう既に上条家に行ったのだろう。
(さてと、やるのは上条が戻ってくる。夕方辺りか。さて、どうする)
本来なら、自分も付いていこうと思っていたのだが、どうやら寝過ごしてしまったようだ。ならば、あの三人を相手にするしかないのか、と落胆する。
「よぉ、おせぇ目覚めだな」
「やっぱり、雪旗は超雪旗だった訳ですか」
「大丈夫、私はそんなせつきを応援してる」
最初に来たのは、麦野だった。絹旗と滝壺も一緒だ。
(ってか、超雪旗って何? 超かっこいいんだけど。なんか、覚醒してるみたい!!)
などとバカバカしいことを考えつつ、とりあえず起きる。今日は、面倒事が一気に押し寄せてくる大波乱の日だ。だったら、この二人にも手伝ってもらおうかな。うん、無理だ。まず魔術のこと話せないし。
つい、ため息を漏らしてしまう。
「あぁ? 私達と居ると不満だってのかぁ!?」
ブチ切れて、ビーム発射する。おそらく癖のようなモノなのだろう。というか癖で殺されては堪らんが。
「バカ野郎!!?」
と言いつつ、全身にビームを受ける。それには、さすがに全員が驚いたようだ。前の戦いでは、余裕で避けていたからな。だがしかし、今回の場合は旅館に損害が掛かるため、受けるしかないのだ。
さすがに、上半身全部が持っていかれたようだ。下半身のみの体になっている雪旗。三人に戦慄が走る。
「う、嘘……だって、私……」
ポロッと涙が零れる。果たして、あり得るのだろうか? あの、『アイテム』のリーダーが泣いている。
「ば、バカァ!! 麦野の超バカぁぁ!!」
ボコボコと麦野を叩く、絹旗。彼女も泣いている。しかし、この状況で滝壺だけが何故か冷静でいられた。
(そういや、AIM拡散力場がわかるんだっけ? だったら、俺が死んでないってのも、わかってんのか)
そのまま二人が泣いてる中、雪旗は意識だけはあった。ちなみに上半身が消え去ってるから、顔までは見えない。なんか変な感じである。そのまま下半身から上半身が生えてくるという感じで、にょきにょきと上半身が元に戻った。
「…………」
三人は驚いていた。あり得ないモノを見ているような顔だった。いや、実際雪旗以外にこんなことできる連中はなかなかいないだろう。完全にいないとは言い切れないが、とりあえず二度目の死を体験した雪旗だった。
「……いや、アレだよ。能力。ハハ」
能力でなんとか、誤魔化すことができたので、とりあえず、難を逃れたのだ。ちなみに麦野には、謝られた。
「……はぁ」
夕暮れになり、そろそろだと思い始める。そろそろ、大変なことが起きる。あの三人の追跡を逃れようと思ったが、滝壺がいる時点で無理じゃね? と思ったが、よく考えたら体晶が必要だから無理か。とそのことを思い出し、ダッシュで上条と上条の父親がいる浜辺まで行く。そこではもう既に、ミーシャと神裂が居た。
そして、唐突に世界が真っ青に染まった。
「なっ!!? これは!?」
雪旗は驚いたフリをした。ちなみにわかっていたので、驚くも何もない。しかし驚かなければいけないので驚くこれがまた面倒なのだ。
そのまま、上条が、刀夜と雪旗を連れて、旅館まで走る。
「頼んだぜ!! 神裂!!」
上条が叫ぶ。
そのまま、旅館まで着くとみんなの様子を確かめに行く。どうやら全員が気絶しているようだ。雪旗は麦野達が心配になり、走って、確認しに行く。全員、眠らされているだけで、どうやら、死んではいないようだ。そのまま全員を一箇所にまとめつつ、そのまま土御門が術式を終えるまで待つ。
そして、光が放たれた。向かっている先はおそらく上条の家だろう。そして、青に染まっていた世界は、元に戻った。
病室に居るのは、上条当麻。そこには、落胆の表情があった。土御門が死んだ。
「何なんだよ。ちくしょう! お前がいねぇんじゃ。しょうがねぇじゃねぇか!!」
上条はそんなことを言ったら。病室の扉が開く。そこに居たのは、土御門だった。
「へっ!?」
続けて、雪旗と上条の両親も来て、いろいろ話した。どうやら両親は土御門なりの、お詫びだったようだ。家はどうやら破壊されたようだが、それも、上条の無事に比べればたいしたことないと、二人が言ってくれて、上条は少し安堵していたのもつかの間だった。
「とうま」
そこには、インデックスの姿があった。
「……とうまにドアに挟まれた。倒れてたのにスルーされたぁ!!」
ガブリッ!! と上条は全身を隈なく齧られた。これもまた、平穏の証なのかもしれない。
「不幸だぁー!!」
上条の声がどこまでも響いた。
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