シェリー=クロムウェルと風斬氷華は今、同じ場所に居る。つまり追い詰められてるということだ。
「虚数学区の鍵ってのは、こんなモンなのか?」
「……ッ!」
「こんなモンを大事そうに抱えるなんて、科学は狂ってるよな」
風斬は座り込みながら言い返す。
「どうして、こんな酷いことを!!」
そしてシェリーの方は思わず、笑いそうになりながら言う。
「おいおい、まさかお前、死ぬのが怖いとか言うのか? そろそろ気付けよ。お前が人間じゃないってことに」
風斬の顔色が真っ青になる。思わず逃げ出してしまいたくなるほどの絶望だ。
「おいおい、何真っ青になってるんだ? お前にしてることなんて、こんなモンだろ?」
そう言って、ゴーレムが自ら、壁を思い切り殴り、ゴーレムの腕が取れる。しかし殴った破片が徐々に腕に集まり、そのまま元の形へと戻したのだ。
「あなたはエリスと同じ……化け物なんだから。テメェの居場所なんてどこにもないんだから」
思わず、涙が零れてしまった。しかしそんなのはお構いなしに、シェリーはそのままゴーレムに命令をして、攻撃を仕掛けようとする。風斬は目を思い切り瞑り、覚悟した。しかし……衝撃は何も来なかった。目を開くと、そこには上条と他の誰か知らない人が立っていた。向こうにいたはずのゴーレムは完全に粉々になっていた。
「ガハァ……ッッ!」
突然の吐血に思わず驚いてしまう風斬。
「だ、大丈夫ですか!?」
「……ゼェ……ゼェ。なんだよ? やっぱり人間じゃないなんて嘘じゃねぇか。化け物? なんだそりゃ、コイツは立派な人間じゃねぇか」
シェリーに対してか、風斬に対してかそんなのはどうでもよかった。とりあえず言いたい事は言えた。そして雪旗はそのままゴーレムに近づいてく。
「いい加減しつこいな、テメェは……」
「うるせぇ、こんな無駄なことをやめるまでだ。俺はしつこいぞ」
シェリー=クロムウェルは持っていたチョークで再び、ゴーレムを造りだす為の魔術的なモノを書き出す。
「へっ……こういう馬鹿が一人や二人程度はいるんだな。よかったじゃねぇか」
「バカが、一人や二人程度じゃねぇよ」
雪旗が言った瞬間だった。ライトが照らされ、ゴーレムとシェリー=クロムウェルが一斉に
「……撃てェェええ!!」
盾で上条と風斬と雪旗を黄泉川がガードする。そのままいつまで銃撃をしようとも、ゴーレムは崩れては戻り崩れては戻りを繰り返す。いつまで経っても、完全に破壊することは難しい。上条が前に出ようとしたが、風斬が止めようとする。
「止めるなよ……風斬。俺は必ず帰ってくる」
「……ァ」
そのまま上条は言うと、雪旗は上条に言う。
「行くぞ……アイツをぶっ飛ばすためにお前の力が不可欠なんだからな」
上条と雪旗が走り出す。上条を吹っ飛ばそうとするためにゴーレムが地面を思い切り殴る。その衝撃で上条が吹っ飛ばされそうになったが、雪旗が受け止める。
「大丈夫か。お前はシェリー=クロムウェルを相手にしろ、俺はゴーレムを相手にするから」
上条は何も言わず、頷く。
「よしっ……行くぞ!」
ゴーレムの攻撃を受け止める為に雪旗は肉体強化をほとんど体が軋む音すら出る程の出力でゴーレムの攻撃を受け流しながら、避け続ける。ようは、シェリー=クロムウェルの助けに入れない程、追い詰めてやればいい。そのままずっと攻撃を受け流したりしながら、上条がシェリー=クロムウェルの所まで一直線に進む。そして上条とシェリー=クロムウェルが対峙する。そして、上条はそのまま思い切りぶん殴る。
「ガハッ!?」
そのまま地面に倒れこむ。
「よし……あとはコイツを……」
上条が右手で破壊しようと思ったら、シェリー=クロムウェルが地面にチョークで陣を描いていた。
「ま、まさか!? 二体目を造る気なのか!?」
「フフ……これは一度に二体も造れない……でもな、それを上手く利用すりゃ、こんなことだってできるんだよ!」
そのままシェリー=クロムウェルは地面に大きな穴を開け、逃げ出す。それと同時にゴーレムも形が崩れ去る。
(くそ、逃げられたか……でも、ターゲットがここにいるのに、逃げ出すなんて? 思い出せ……何か? 何か見落としてないか?)
「上条!!」
「!!!」
「アイツ、確かイギリス清教だったよな? ということは……」
「狙ってるのは、インデックスか!」
二人はとりあえず、封鎖されてる地下街から出ることはできない。つまりインデックスと会うことすらできない。穴を見つつ風斬氷華が近づいてきた。
「あの、さっきはありがとうございました」
「あ、あぁ、それより体大丈夫か?」
上条が言うと、大丈夫みたいです。と体を見回す。
「も、もうあの石像は襲ってこないんですよね?」
風斬が言うと、上条はもう一度穴の方に顔を向けて真顔で言う。
「いや、アイツは逃げたわけじゃない……次のターゲットを追い始めただけだ」
え? と風斬が言うと、上条が続ける。
「アイツの目的は俺や風斬を殺すことじゃなくて、特定の条件が揃えばどうでもよかったんだ。その内の一人が……」
「インデックスって訳だ」
雪旗が言うと、上条も頷く。
「え……で、でもそれじゃ警備員に保護してもらえば……」
「それもできないんだ。アイツはこの街の住人じゃないんだ……下手すりゃ、逮捕されるかもしれないんだ……迂闊に頼れない」
雪旗が説明する。そして穴の方を見て雪旗はそのまま穴から降りようとする。
「俺は、肉体強化があるから、すぐに追いつける……さすがに二人一緒に降ろそうとしたら、負担が掛かって無理だから……俺が一人で行く」
そう言い残し、そのまま穴へ降りていく。
「あ、雪旗!!」
上条が叫ぶのを無視し、そのまま下へと降りると。
「やっと見つけた……」
「ったく、手間かけさせやがって」
「超疲れたって訳ですよ」
「結局、私達が必要って訳よ!」
アイテムの四人がなぜかそこに居た。
「な、何してんだ……お前ら……」
「何してんだって? お前が勝手にどっか行くから、私達が来たんだろうが……!!」
後ろから閃光を迸らせる麦野。雪旗は若干怯えながら、自分の行こうとしてる方向と逆の方向を指す。
「そ、そうか……今、上に警備員がいるから……とりあえずそっちに」
「おい……テメェふざけてんのか?」
ビームを発射させると、それを紙一重で避ける。
「な、なにしやがっ……!!!?」
「お前が今どういう状況か知らねぇが、私達に頼まないってのはどういう事だぁ。あぁ!!?」
胸倉を掴まれ揺さぶられる。
「私達がテメェの邪魔になるからか? 思い上がってんじゃねぇぞ!! 言っとくが、私達は手伝うからな……」
そのままポイッと胸倉を離され、ドサッ! と地面に尻餅をつく、雪旗。そのまま思わず笑いがこみ上げてきた。
「何、笑ってやがる?」
「いいや、俺は……随分と好かれてるんだなってな……」
「……なっ!!」
顔を真っ赤にして、麦野は原子崩しを放ちまくる。
「ギャァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!! 死ぬ!! 冗談抜きでェェェええええええ!!!!」
避けまくりながら、叫びまくる。そして一息吐いて、雪旗が改めて言う。
「わかった……じゃあ、行こうぜ。俺が思い上がってただけみたいだしな……!」
そして、『アイテム』+『雪旗硬地』がシェリー=クロムウェルとゴーレムをぶっ飛ばしに行くことになった。
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