そのまま地下街から上に上がることができた雪旗一行。どうやら、風斬よりも早く着いていたようだ。しかし今、インデックスがゴーレムに襲い掛かっている。
「インデックス――ッッ!!!」
雪旗が叫び、そしてゴーレムに竜王の息吹を喰らわそうとしたら、グイッと腕を掴まれる。
「テメェはそこで大人しくしてろ……。ようはアイツをボコボコにしてやりゃ、いいんだろ?」
「アイツ? いやいやいや。石像の方をお願いします」
「そーか」
なぜか不機嫌な麦野は放っておいて、雪旗はインデックスの方へと行く。
「大丈夫か?」
「こうじ。とうまは?」
「多分、今……別の戦いをしてると思う」
そのままインデックスを保護しながら、とりあえず、安全な場所まで連れて行き、そして雪旗は走り出し、ゴーレムに向かう。
「麦野! 絹旗! お前らはとりあえず、ゴーレムの動きを止めてくれ、後は俺が決める!!」
「えぇ? 超良い所取りですか?」
「じゃあ、逆に聞くが。お前らでなんとかできんのか?」
そのまま膨れっ面のまま、雪旗の腹をボコボコ殴る。結構痛い。いやマジで。
「……さてと……じゃあ、行くぞ!」
絹旗が窒素装甲をまといながら、相手の動きを封じる為に、右腕を動けなくさせる。麦野は原子崩しで左腕を破壊する。
「よし……」
雪旗がゴーレムの目の前まで行くと、竜王の息吹を放つ。そうして、風斬氷華が辿り着くと同時に雪旗が完全にゴーレムを破壊した。
「あ、確か……風斬だっけか? お前の……友達……確かに……助けたぜ?」
そのままバタッと倒れこむ。どうやら今日だけで魔術を使いすぎたようだ。それも、『竜王の息吹』。これだけ強力な魔術を使いすぎればこうなるのは目に見えて明らかだった。そのまま雪旗の意識を失った。
目が覚めると、そこは病室だった。とっさに体を起こすと、『アイテム』の面々が居た。
「な、俺は?」
「やっと起きたか……」
足を組みながら、イスに座ってる麦野。映画の情報誌を読み耽ってる絹旗とボーッとしてる滝壺とフレンダはサバ缶を食ってた。
「おい、フレンダ。ここで食べていいもんなのか?」
「え? 知らないって訳よ!」
「はぁ」
そのまま体をベッドに預ける雪旗。そして周りを見渡すといつも通りの日常が広がっていた。どうやら今度は上条ではなく、雪旗が病院に世話になる番のようだ。逆に今日上条は病院にはいないし。窓の外を眺めていると、いろいろ思い耽ることも多かった。今日はやりすぎたなとか思ったり、とにかくいろいろだ。
「……ねえ、俺ってさ……わりと羨ましい日常を送ってるよね?」
「は? 何言ってんだ? 今の状況からそんなことを言うなんて……マゾ気質でもあんのか?」
「いやいや、そうじゃなくてですね? ほら、あの……そう! 女の子の集団に俺一人とか!」
「……」
「……」
「……」
「わたしはそんなせつきは応援できない」
そんな腐ったゴミを見るような目で見られて、一部の業界ではご褒美です状態になってる。ちなみに一部の業界の人じゃない雪旗にとっては、後悔しかないという。
「……ごめん、あの……ほら、つい」
「はぁ、変なこと言ってんなよ」
麦野がため息混じりに言うと続けて、絹旗が言う。
「やっぱり雪旗は超雪旗って訳ですねっ! 気持ち悪さ超世界一ってことですね!」
「はぁ、後悔しかないって訳よ」
「大丈夫。そんなせつきを私は応援しない」
力強く否定されてしまった雪旗はそのままベッドに横になったまま、空を眺めながら物思いに耽っていた。
「また変態的な思想で私達を超襲ってるんですね! キャー襲われるー!」
「やめぃ!!! 誤解を招く言い方はぁ!! つか、ガキに興味ねぇよ!!!」
それを聞き、絹旗が本気で切れる。そのまま捲くし立てるように言う。
「超雪旗の癖に生意気なこと言ってンじゃねェぞ!! あァァ!!?」
ガタガタと体を震わせながら、枕を盾にする雪旗。しかしそんなモノまったく意味を為さず、そのまま追い詰められる雪旗。
「チャンスをあげます。私は超総合的に見れば超スタイル超いいですよね?」
「はい……それはもう超いいです……」
ガタガタ体が震えたまま言う雪旗だったのだ。それからしばらく経ち。次は上条とインデックスと風斬氷華が入ってきた。
「よぉ、上条。お前は随分と侍らせてるね?」
「何言ってんだ?」
上条が意味のわからないと言った感じである。鈍感、朴念仁。さすがである。どうして気付かない? 俺だったら確実に気付くね。いやマジでこれは確定事項。そんなことを考えてたら、上条は自信満々な感じでこんなことを言った。
「俺は今回、入院をしなかった! これって成長だよな?」
「いいや、そもそも入院しないのが普通だ」
そう言って。雪旗は体を起こして、そのまま地面に立つ。
「おい! 無理するんじゃ」
麦野が言うと雪旗は制止して、そのまま病室を出て行こうとする。
「どこ行くんだ?」
「ん? カエル顔の先生の所だよ? 俺はもう大丈夫と報告してくるんだぜ。つか、もう平気だしな」
そのまま雪旗が病室を出て行くと、カエル顔の先生と出くわす。
「あれ? 君は絶対安静のはずだったんだけどね?」
「大丈夫っすよ。もう退院して良いですか?」
「まあ、大丈夫なら居る意味もないしね」
「先生の腕が良いからっすねぇ、じゃ、そういうことで」
そのままカエル顔の先生と会話を終え、もう一度病室に戻ると、いつのまにか風斬がいなくなっていた。
「あれ? 風斬は?」
「……あぁ、どこかに行っちまったんだ。でもまた会えるからさ……」
上条が言う。そう彼女は物理現象。今回の件でそれは痛いという程わかった。とりあえず今回はひとまずの別れ、しかし今度、また会える日が絶対に来る。それは誰一人として疑わなかっただろう。『友達』だから。
「よし、んじゃ、帰るか」
着替えを済ませ、全員で寮へと戻った。ちなみに二人の寮へは戻らず、『アイテム』共同で使っている場所があるらしい。羨ましいと思ったりしたが、とりあえず別れた。今日は厳しい一日だったと、改めて思った雪旗はまたいつも通りの日常へと戻るのだった。
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