土御門からの連絡がきた。どうやら聖人が来ると、ハッタリをかまして、場所を誘導したようだ。さっさと行くために走る。
(さ・て・と……さっさと見つけないと、被害が拡大するだけだっての……!)
走る。先程からずっと走っており、さすがに疲れも見えてきているようだ。息を切らしながら、横腹を押さえながら走る。先程何か食ってたのが、ここで来るとは思わなかった。吐き気を抑えながら、走る。
居た。オリアナが完全に油断してるタイミングで出会う事ができた。後ろから急に殴りかかる雪旗。奇襲、不意打ちは卑怯だが、今は気にしてる暇ではないだろう。
「!!」
さすがに気付き、防御態勢に入られる。
「っと、さすがに気付いちゃうか?」
「当たり前で……しょっ!!」
単語帳の一枚を口で取り、吹き出す。凄まじい突風が雪旗を襲う。それに勢いよく押され、一気に吹っ飛ばされる。それだけで彼女は逃げ切ってしまう。街を縦横無尽に走り回り、魔術を使い、姿を晦ます。これが彼女のやり方なのだろう。追いかけたが、すぐに姿が見えなくなった。
「チッ!! さっさと捕まえてぇのによ!!」
ガンッ!! と苛立ちで地面を勢い良く踏む。しかし、一旦頭を冷やして、冷静になる。再び走り出し、やっと、上条と合流する事ができた。そして上条と土御門が携帯電話で会話をしている。どうやら、
(たしか……夜空の光がどうのこうのって話じゃなかっけか? いや、適当な事言ったら後々面倒になりそうだから、やめとくか)
そんな事を思っていたら、インデックスと合流した。偶然に。
「イ、インデックス!」
上条が驚いたように言った。
「とうま、どうしてクラスのみんなと一緒に居ないの? 午後から競技にも出てないよね? なんで? こうじも」
ついでな感じで言われた雪旗である。
「……あー。運営委員の手伝いをしてたんだ。あれー? おかしいなメールはしておいたはずなんだけどなー。と、とりあえず、手伝いが終わったら、すぐに行くから、待っててくれ」
上条も早く戻りたい気持ちはあるだろう。こんな目に遭っていなければ、クラスのみんなと一緒に競技に出ていたんだから。インデックスが納得して向こうに行った後、雪旗が。
「おい、行ってもいいんだぜ? 後は俺達にまかせてさ」
「んな事できる訳ないだろ」
上条当麻という人間はそういう人間だ。近くに困ってる人が居たら、どうあっても、手を差し伸べようとする。かと言って、自身の危機にはあまりにも鈍感な人間なのだ。
「ったく、あんまりインデックスに心配掛けさせんなよ?」
「お前もな。なんか仲良しな女子達が居ただろ? まったくモテる男は困りますね?」
とおそらく、あのアイテムのグループの事を指してるのだと思うが、訂正しておきたい部分が雪旗にはあった。
「何言ってやがる!? モテてるなんて勘違いした日にゃ、その日で朝日が拝めなくなるぞ!!?」
が、それを無視して、土御門も言う。
「悪いな、カミやん、雪っちも」
「だから、さっさと終わらせようぜ、こんな事」
電話が掛かる。どうやらステイルからのようだ。電話の内容を聞くと、姫神がなんとか危機的状況から脱したという報告だった。
(なっ!!? あの女。俺と戦った後か? 前か? くそ、どっちにしても……!! クソがッッ!!!)
再び、地面を思い切り踏みつける。自身の知り合いや友人が命の危機に晒されれば、誰だってこれぐらいの反応はするだろう。ひとまずは危機的状況から脱したという事で、ひとまずは冷静になる。冷静にならなければ、ならない状況では冷静さを欠けば、邪魔にしかならなくなるだろう。自身の知識をフル活用して、先回りして、叩く。
その為に、できる限り、思い出す。絶対に、もう誰もそんな目に遭わせない為に。
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