先に動いたのは、オリアナ。単語帳を一枚、咥えて、吹き出すと、空気の塊のようなモノが襲い掛かってくる。上条はそれを右手で殴り、破壊しようとしたが、どうやら簡単には消えてくれなかったようだ。
「上条! 伏せろ!!」
上条がとっさに反応する。そして、光線の如く、光の粒子が風を消し去る。どうやら竜王の息吹の威力調整もできるようになっているようで、風だけを綺麗に消し去る。身体から噴水のように血が吹き出るが、それらすべてを無視して、血まみれの状態でぶっ飛ばしにいく。かなり不気味で恐怖を煽る状態で走り出すから、オリアナの方も少し、引いているようだ。
「それでも、あの聖人はやっぱりこないようね?」
どうやら、それだけは常に気にしてたようだが、雪旗だって、聖人レベルまで行かなくても、能力で身体能力は凄まじいモノになる。それを駆使しつつ、魔術も扱えるのだ、身体に負担はかなり大きいが、この際気にしない。
一気に駆け抜けると、オリアナが先に向かった上条に蹴りを喰らわせる。腹部に喰らわせた後、横腹にも食らわせ、横へ大きく吹っ飛ばす。雪旗は接近戦では勝てないと思ってるようで、常に何かの魔術で近づけないようにしている。
(チッ、厄介だな!)
「てめぇ!! 何が目的だが、いまだによくわかんねぇけど! こんなふざけた真似したんだ。そのツケはかなり大きいぜ!!」
雪旗が魔術を無視して、猪突猛進する。それを見て、大きく後退するオリアナに対して、雪旗はブーストのように、地面に蹴りを入れて、速度を上げ、一気に一発叩きこむ。
「くっ!!」
軽い防御体制に入られたが、それでもダメージは大きいだろう。能力込みでの初殴り、彼女的にもそこそこ効いているようだ。上条もさらに追撃するように殴りかかり、ダメージをさらに食らう。
「くっ!」
「こんな使途十字だの、ふざけた真似しやがって、絶対にこんなふざけた事は止めるぞ!」
「あら、ふざけた事だなんて、これは科学と魔術の壁を取りさげ、世界中の人々を幸せに導く事ができるかもしれないのよ?」
上条は反論するように、言う。
「いいな、それ。それがなんとなく言い事ってのは、わかった。だけど! 俺が困るのは! ここで今、大覇聖祭が潰されちまう事なんだよ!!」
「お前は知らないだろうが、この大覇聖祭がどれだけ、みんなにとって大事か。これを奪う権利は誰にも、お前にも無いんだよ!!」
「その程度じゃ揺らがないわよ? それくらいで傷つくようなら、はじめから動いて無いわよ」
きっと向こうにも向こうなりの正義というモノがあるのだろう。だけど、それでも、彼女は失敗を犯している。無関係の一般人を傷つけるという失敗を犯してしまっている。つまりは結局のところ、それじゃ意味が無いのだ。それだけだと彼には通じないのだ。
「それ、お前が傷つけた姫神の前でも言えるのか?」
それに一瞬だけ彼女の何かが見えた。おそらく彼女も彼女で好きでやった訳じゃないというのは、知ってる。だけど、それでもやってしまったのだ。だからこんな事は止める。こんなモノしか生まないのならば、絶対に止める。
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