結局、リドヴィアは知らぬ間に捕まっており、上条は上条で病院送りにインデックスに説教のようなモノを受け、さらに、さらに雪旗は雪旗で。
「ほぉ? 言いたい事はそれだけか?」
アイテムの面々に説教中。ちなみに全員が見事にキレている。まさかの滝壺までもが例外ではないという事態だ。
「超雪旗は自由行動が酷すぎると思うのですが? まさか二人に説教をしといて、自分は全然競技に出ないとは」
「サボってた訳ではなくてですね。実はいろいろとあったのですよ。うん。忙しかったなぁ」
「それだけじゃわからない」
滝壺が怖い。という感想しか抱けない雪旗が今にも涙目になりそうになっている。ここではフレンダというもしかしたら、この状況を変えてしまうかもしれないから、縋ろうとしたが、フレンダとフレメアが居たけど、二人は特に何も言わないけど、かと言って助けてくれる訳でもないという状況だ。
「す、す、すみませんでした――――っっっ!!!」
もはや、謝るしか道は無かった。というよりもそれ以外に道が用意されてない。結局、大怪我したけど、とある事情ですぐに治ってしまうので、病院へは入院はしなくても良かったのだが、毎度の如く、説教は受ける。ちなみに上条は噛み付きでも喰らってるのじゃないだろうか、と雪旗は思っていた。
「……はぁ、それで、結局今日は何してのよ?」
麦野が聞いてきたので、何の迷いも躊躇も無く言う。
「そーだな。みんなの為に頑張ってた!!」
元気良く言うが、それに対しての彼女達の反応は本当に酷いモノだ。
「超何言ってんですか? 恩着せがましい言い方ですね」
「お前がみんなのためとか似合わないな!! 女相手でも容赦ない癖に」
どうやら皆さんは傷を抉るのが大好きのようだ。雪旗は身体だけではなく、精神的にも強くなりそうであった。その後、という訳ではないが、両親が出向いてきたので、彼女達は何かを察したのか、三人だけにしてくれた。こういうところがあるから、彼女達は本当に頼もしい。
そして、三人だけの空間になったので、雪旗は気恥ずかしそうに、頬を掻く。そしてなんと言い訳を募ろうか、考えてる内に、父親の方から、行動を移して、肩に手を置く。
「お前が、どこで何をしてたのかは、聞かん! 父さんだって母さんだって心配してたが、何も言わん!! だが、これだけは言わせて貰う!」
「言わねぇんじゃないのかよ!?」
「っと、そうか……いや、やっぱり一言だけ言う!!」
「ったく……」
頭を掻き、そして真っ直ぐ父親を見据えて。
「お前は気にするな! いくらでも俺達に心配を掛け続けろ! 何も気にせず、高校生の時ぐらいだったら、父さんだって死ぬほど迷惑掛け続けてたからな! そりゃ、もうあり得ないぐらいにな、お前の十倍以上だ! だから、お前の我が儘ぐらい、いつでも聞いてやるから心配すんなよ!」
ドンドンッと背中を叩かれる。そして、その光景が前世の、自分がもう決して戻る事のできない光景を思い浮かべる。自分にとって父親という存在がどれだけ大きいか、自分にとって、どれぐらい大きい存在だったか、自分は前の親に何も報いてない。何も返せないままにしてきてしまった。それがどれだけ後悔を生んだか、今、この瞬間に悟った。
そして、母親の方も前に出てきて。
「もう、父さんが言いたい事、全部言っちゃったからほとんど言いたい事もないんだけど、ほら、また会えなくなる期間が長いから、私の方からも言っておくわ」
トンッと軽く背中を叩かれ。
「あんまり心配を掛けすぎんじゃないわよ……? 父さんもあれで結構心配症だからね」
「母さん! 俺の立つ瀬が無くなるぅぅ……」
と縋るように母さんにくっ付く両親を見て、思わず、噴きそうになるのを我慢しつつ、そして両親をしっかりと見据え。
「父さん! 母さん! 俺、頑張るよ。ここで絶対にいつか恩返しするから、それまで元気でいろよ!」
と親指を立てながら、前へ突き出す。それに返すように、父親と母親が同じ動作をして。
「当たり前だ! いつまでも元気で居て、お前を絞りつくしてやる!!」
「母さんもお願いねぇ」
そうして、両親は学園都市から帰ってく。それから数分経ち。みんなが来て、麦野が一番に話しかけてきた。
「いい両親じゃない……」
「そうだろ。俺の自慢の両親だ」
「はっ、マザコンでファザコンかぁ?」
「そうかもな」
一切の恥ずかし気も無く言うものだから、麦野も少し驚いている。そして、すぐに自分の言った事に赤面する雪旗は恥ずかしがりながらも、それでも、自分にとってはやはり自慢の両親だから、訂正はしなかった。
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