雪旗は雪旗でいろいろと大変だったりする。とりあえず、外に居る連中をすべて寝かせる事に成功した雪旗はやっとの思いで中に入る事ができた。雪旗が中に入ると、氷の鎧が多数襲い掛かってくる。それを一人一人相手にしつつ、上条達の場所を探そうとしている。だが、とにかく数が多い氷の鎧の武器を破壊して、体を破壊して、突き進む。
(どうやら、全体的に氷でできてるから、脆いっちゃー脆いな……)
そんな事を考えながら、とにかく敵を倒しまくる。艦隊の中にはどうやら一室一室があるらしく、その中を一つ一つ調べていく。そんな中でどうやらシスタールチアとアンジェレネが居た。その二人がどうやら囚われている状態のようだ。
(あぁ、そういえば脱獄しようとしてたんだっけか……ここは助けるべきだよ……な?)
そのまま物音を立てずに扉を開こうとしたところ、彼はなんと転んでしまい、扉に一気に突っ込んでしまう。
「……ははは、お邪魔します」
焦りすぎて、日本語で話してしまった訳だが、向こうは一切わからないに決まってる。彼らは魔術を使って、どこかへ連絡しようとしたのだろう、しかし雪旗はそんなものを許さない。一瞬で懐まで潜り込み、思い切りアッパーを顎に喰らわせ、そのままもう一人の魔術師を巻き込ませ、両方気絶させる。
「あなた……一体?」
ビクビクしているアンジェレネはルチアの後ろに隠れている。そんな中でルチアは一切、臆せずに言う。
「いや、まあ助けに来た?」
「……あなた確か、法の書の時の……」
どうやらあの時の事件を思い出しているようだ。結構影が薄かった気がするが、どうやら覚えて貰ってはいるのだろう。そうしてそのまま、話を続けようとしたら、彼女二人はどうやらこちらを警戒して止まないようだ。
「あの、俺ってそこまで信用無いですかね?」
今まで、信用というものを勝ち取った事が無いような気がしたりしてる雪旗は今も精神的にボッコボコにされているという事だ。ここではどうやら、信用を勝ち取らないと、今後の事で影響が出るだろう。それでも上条達ならば、なんとかするだろうが。
「まあ、とりあえず座れよ。いきなり襲ったりしないから、そこまで心配するなら手足縛ってもいいぜ?」
「い、いえ……まぁ、そこまではしません」
と若干引き気味になってるルチアに釈然としない雪旗。別にそういう趣味がある訳ではないのだが、と胸中で呟く。
「それで、あなたは一体何が目的でここまで来たんですか?」
「いや、それが俺自身よくわからなくてよ? これって何なんだ? デカい艦隊ってヤツなのか? 外でこれと同じヤツがいっぱいあったりしたけど、どういう事なんだ?」
「あなたは本当に何も知らないんですか?」
「ああ、知らん」
「……まあ、私自身もよくわからないんですが、これは女王艦隊の護衛艦の一隻です……。私達はなんとかここから抜け出そうとしたのですが、それも失敗してしまいこういう事になってるんです」
「脱獄ねぇ? 二人してどうやって……?」
「そんな事、言える訳無いでしょう?」
「やっぱり、そこまでの信用は得れて無いと?」
「はい、あなたが何を考えてるか、まだ読めてませんから……」
どうやら二人とも、疑心暗鬼に陥っているようだ。だったらどうすればいいのだろうか。雪旗は今は二人の事を考えて動くつもりだ、上条達もこちらに来るのだろうからここで彼女達を引き入れれば、後々の作業が楽になるのは確かだ。だから極力、警戒心というものを除外しておきたい。
「……そこまで信用できないかなぁ? 俺って結構わかりやすいヤツなんだけどな……?」
「当たり前です……。あなた方の所為で……私達がどんな目に……」
憎んでいるような顔をして、こちらを睨みつけるルチア。それに対して雪旗は飄々とした感じで。
「お前、それはお門違いってヤツだろ……お前達がしてきた事は決して良い事とは言えないんだからよ……」
と言い返す。そのまま彼女はグッと口を噤む。
「……それにお前の脱走を手伝ってやったって良いんだぜ……? 見たところに拠ると、その頭のヤツで行動が制限されてるんだろ? まあ、俺の手じゃそれは破壊できないけど、手伝いぐらいはできんだろ」
「だから言ってるでしょ……信用に値しないと」
「まあ、信用ってのは大事だよな……後ろから襲われちゃたまんねぇし、それで……? どうするんだ。お前らはここで腐ってるだけで誰も助けずに終わるのかよ? 誰一人助ける事ができずに、ただここでお前らの脳の構造を破壊されて、それでいいのか?」
「なっ、どうしてそれを……!」
と、つい身構えるルチアだが、雪旗の態度は変わらない。
「どうするかって聞いてるんだ。お前らは抗うのか、どうする事もできないと嘆くのか……!!」
「ッッ!!!」
それを聞いて、二人の表情が一変する。そこまでの事を言ったのだろうか、と雪旗自身少しだけ驚きを露にするが、どうやら二人の決意は決まったようだ。
「癪ですが、利用させていただきますよ」
「そうかい、じゃあ、利用されてやりますか……」
そしてポケットに手を入れると、チョコレートがあるのに気付く。
「ん? チョコか」
そんな事を思ってたら、アンジェレネがこちらを見て、目を輝かせていたりする。どうやらこのチョコにしか目が入っていないようなので、このチョコレートをあげる。目を爛々とさせて、チョコレートを頬張るアンジェレネを見て、とある白い修道服のシスターを彷彿とさせた。
(なんか、餌付けしてる気分だ……)
「シ、シスターアンジェレネ!! シスターたるもの、食べ物で釣られてはいけません!!」
「す、すみません。シスタールチア」
と謝っているアンジェレネに対して、雪旗がアンジェレネの前に立って。
「まあ、まあ、育ち盛りだしさ。その辺は許してやれよ」
「ッ……! まあ、いいです」
とりあえずアンジェレネには信用を得られたようだ。ルチアの方は半信半疑といったところか、それでも今の段階ならば、問題ないだろう。そのまま雪旗は小さくため息を吐き、この一室から出て行き、そのまま上条達を探しに行こうとしたら、足音が聞こえてきたのだが状況的に考えて、敵の可能性があるので、一気に突撃してやろうと思ったら。
「あれ? 上条……?」
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