上条と合流した後、雪旗から二人の説明があり、とりあえずは警戒せずに話しを進める事ができた、それで雪旗が話の本題に入る。
「……さてと、俺達はお前達の脱獄に協力するけど、お前らはどうやってやるんだ?」
雪旗が言うと、ルチアとアンジェレネは手を合わせて、それを前に突き出す。すると、艦隊に穴が生じる。雪旗と上条が驚く。
「すげぇ」
「ほぉ、これで脱獄したのか」
「氷で使った造船術式の亜種で空洞をあけられるのです、これを応用し、海底を凍らせて海底コースターを造りあげるのです」
と言った途端だった。彼女達の頭についてるものが光りだし、苦痛に顔を歪める。
「どうした!?」
雪旗が言うと、どうやらこの術式を使う事も違反だと追加されたようで、それに反応しているようだ。だが手順に則り縫目を壊せば拘束衣服の一部は壊せるようだ。
「壊す……」
と上条が自分の右手を見て言う。
「だったら手っ取り早く俺の……」
それに続く言葉はなかった。なぜならば、即座にオルソラが腹部に肘打ちをしていたからである。それもそのはず、そんな事をしたら二人まで素っ裸だ。ルチアとアンジェレネは何をしているのかわからず怪訝な顔を浮かべるが、雪旗は理解して、少しばかり呆れる。
そんな些細なやり取りがあった後、アンジェレネが聞く。
「あの、シスターアニェーゼとはいつ合流できるんですか?」
「悪い……アニェーゼは多分……来ない」
と上条はバツが悪そうに言う。
「お前達を助ける為に陽動に出ると言ってた。この女王艦隊の機関に行ってるみたいだけど……」
と言った途端。
「冗談ではありません!」
ルチアが叫ぶように言う。
「この女王艦隊は大規模魔術アドリア海の女王の儀式場を守るためのものです!!」
「アドリア海の女王?」
上条が疑問そうに聞くと。
「わかっているのは同盟の機関で行われる事、その発動キーとして、刻限のロザリオという別の術式が関わっている事、そしてその刻限のロザリオにシスターアニェーゼが使われる事……!」
「ど、どうなるんだ!?」
「詳細はわかりません。ですが、脳は確実に破壊され、心臓を動かすだけの存在になる……と」
上条が驚きながら、その話を聞く。上条が聞いていた事とは全然違う。だから上条は奥歯を噛み締め、悔しそうな表情をする。雪旗も同様、さすがにそんな話を聞かされて、見過ごせるようなヤツではなかった。すると艦隊全体が揺れだす。どうやら他の艦隊から一斉に砲撃を受けているようだ。穴があき、その衝撃に全員が吹っ飛ぶ。
「何のつもり……だ?」
その後、この艦隊は完全に落とされた。
上条が目を覚ますと、そこには心配そうに見ているインデックスの姿が。
「んー? インデックス?」
「体は平気なの? とうま」
そんな会話をしていると、そこから現れたのは建宮斎字だ。
「建宮?」
「おう、天草式十字凄教教皇代理さんだ、今は手前にイギリス清教所属ってつくけどな」
それを聞くと、すぐ傍に居た五和がおしぼりを。
「どうぞ」
「あ、ども」
「いえいえ」
そのやり取りを終え、そのまま足早に去っていく。
「……? あ、そんな事より! オルソラ達は!?」
「ん、大丈夫だぜ?」
と言ってきたのは、雪旗だ。どうやら上条よりも先に起きていたらしい。
「一応全員拾っておいたのよ、まあ、雪旗の功績は結構大き目だと思うのよな?」
「……?」
上条が怪訝な顔を浮かべると、どうやら雪旗は全員を担ぎこんで来ていたようで、そこで天草式と合流したようだ。
「そ、そうなのか、助かった」
「いや、そもそも助けてくれたの、コイツらだしな。俺って何もしてないような……」
と言う。
「さてと、続き続き」
と雪旗が急かそうとすると、先に上条が疑問を問う。
「あのさ、ここって天草式の秘密基地みたいなものなのか?」
と上条が聞くと、建宮が笑い、そして少し退いて言う。
「ここは建物の中じゃないねぇーのよな」
「あ? ってことはまさか!?」
「潜水艦と言いたいところだが、そこまで高性能じゃねぇのよな。せいぜい上下艦ってところよな」
そう言うと、天井が開きだす。
「引越しの手伝いするのに、ここまで持ってくるのか?」
と上条は呆れ気味に言うと、建宮が否定するように言う。
「我らが武器を懐に持つのは当たり前、そしてわれわれが最も得意とするのは、海上戦よ!」
向こうには女王艦隊の護衛艦が大勢見られる。そちらを見ながら、小さく呟く上条。
「アニェーゼ……」
それを不機嫌そうに見るのはインデックスだ。
「ど、どうした?」
「別に! これからどうするにしても、まずは詳しい話を聞かないとね」
「なら、俺よりルチアとかアンジェレネの方が……」
と言い、さらに不機嫌な顔をするインデックス。もちろん一部始終知っている雪旗はそれを少し笑いながら、という訳にもいかない。何故だと言いたいところだが、どうやらここには『アイテム』も居るようで。
「おいおい、お前何笑ってんだ?」
と聞いてくるのは麦野だ。なぜここに居たんだ。という疑問の方が大きいが建宮から聞いた話では、どうやらインデックスと一緒に合流したようで、よく考えたら、面識自体はあったし、この五人が一緒に行動するのは些か問題があるような気もしたが、気にしない。
「まったく、雪旗はいつでも超雪旗ですね」
と絹旗に、それに続いて久々にフレンダとフレメアにも、言われる。
「にゃあ! 超雪旗って大体何?」
とフレメアがフレンダに聞いていると、フレンダも肩を竦めながら。
「超雪旗ってわけよ」
と説明になってない説明をしていた。雪旗自身、このやり取りの久々さにまた笑みを零して、また先程のようなやり取りをするという結局何も変わらないやり取りを終えると。
「あ、ラッキースケベ」
と雪旗が言うと、そのラッキースケベを行ってた上条自身は目をぐるぐる回しており、どういう状況かと言うと、インデックスとの諍い中に五和にぶつかってしまってという状況だ。
「すげぇな。健在って訳か」
と上条のこういう体質を些か羨ましがるのは雪旗だったが、それすらも見破られた。結局ボッコボコにされて、あたふたしていると、アンジェレネが全員が話を聞いてくれない状況に、すごい行動に出る。
「ちゅうもーくっっ!!!!」
と言い、ルチアのスカートをバサッ!! と捲る。それを見た雪旗の一言。
「パンツだ……」
次の次こそ、凄まじい閃光が迸った。無論、麦野が発生させたものだ。
全員で食事をする。と言っても天草式は決まった食事作法をしなくてはいけないので、食事をしてないが、そして前も思ったのだが、アンジェレネはやっぱり食事に執着が強いようだ。それを見て、雪旗はやっぱり白い居候シスターを彷彿とさせてしまう。すぐそこにいるが、視線をそちらにずらすが、インデックスは気付かない。
そしてまたも、おしぼりを持ってくるのは五和だ。
(またやってんのか、しつこすぎないのがポイント……?)
「何見てるの?」
と滝壺が久々に声を発する。
「ん、いや、おしぼり作戦は成就するかなって……」
「おしぼり……?」
と顔を傾げる滝壺のしぐさにキュンッと来たのは秘密だ。
(麦野にもやってもらいたいところだ。ギャップ萌えっていいよね……)
と内心思ってる雪旗。
「それにしても、どうしてアドリア海の女王が術式の名前になってんだ?」
と上条が聞くと、オルソラが答える。
「その昔、ヴェネツィアとローマ正教は相当に仲が悪かったのでございますよ」
それに続いてインデックス。
「ローマ正教がヴェネツィアを一撃で葬れるように整えたのが、アドリア海の女王なんだよ」
「葬るって……爆弾か何かなのか?」
上条が聞くと、インデックスはさらに詳しく言う。
「破壊されるだけじゃない。その歴史や文化そのまで全部奪われるの」
「全部……」
と上条が呟くと、アンジェレネは言う。
「シスターアニェーゼはきっと何も知らないと思います、知っていたら黙ってるはずがありません!」
「ようは、その魔術が発動する前にアニェーゼ=サンクティスを助け出せって事だろうけどよ……かなり難問なのよな」
そう言うと、ルチアが立ち上がり言う。
「それでもいかなくてはなりません。このままではシスターアニェーゼが廃人になってしまいます!! それを黙ってみてろというのですか!?」
それに続いてアンジェレネが。
「私はいつもシスターアニェーゼに助けてもらっていたから、このままお別れなんて絶対に嫌です!」
「だが……敵は厄介だぜ?」
「海底コースターを使えば艦隊の動きが止められるかも!」
「動きを止めた程度でどうにかなるとも思わんのよな!」
アンジェレネが弱々しく。
「そ、それは……」
そこで入ってくるのは上条だ。
「なあ、建宮、もういいんじゃねぇのか? 俺達が議論するのは、アニェーゼを助けたいか助けたくないか……それだけなんじゃねぇのかよ? アイツはわざわざ自分を逃がすチャンスまで棒に振って、仲間を助けた。このままじゃアイツの思いは利用されて破壊されちまう。ヴェネチアの破壊だって何もかも、アイツを助けりゃいい!! お前はアイツを助けたくなくないのかよ!!?」
と言った瞬間だ。コソコソと麦野が耳打ちする。
「なあ、あんな熱血野郎なの? アイツは……?」
雪旗がそれに対して。
「あぁ、アイツはああいうヤツだよ。ああいう熱血ヒーローだよ」
と言う。麦野とはあまり仲が良くなりそうにないタイプだな。と思いながら、建宮だって当然同じ考えだ。そこはクリアしている。あとはこちら次第だったという訳だ。
「我らが教皇から得た教えは!!」
と言った瞬間。天草式の全員が。
「救われぬものに救いの手を!!」
と声を揃えて言う。全員が準備を整えて、氷の戦艦へと向かおうとしてる。
「では、はじめんのよ……」
と紙を取り出す。向こうも異常に気付いたようだ。向こうから砲撃が来る。打ち落とそうとしているようだ。しかし、それはすべて無人艦隊。本当の狙いは下から、と思わせておいての、それも囮だ。
そして全員が氷の戦艦に入り込む事が成功した。目指すは女王艦隊。そこに待ち構えていたのは大勢のシスター達。勿論全員武具を持っている。すべて魔術的なものが含まれているだろう。と思った途端、上条達の上から車輪が放たれ、それが爆散する。そしてそのまま大半のシスター達がその衝撃で倒れる。上条達がその隙を突き、進もうとしたが、それを残りのシスターが許さない。
砲弾。そんなシスター達を容赦なく打ってくる。このシスター達だって結局は囮のようなものだ。その程度の価値でしかない。
そのままアンジェレネが魔術を使用し、全員を守ろうとしたが、それに砲弾を打ち、氷の塊がこちらに落ちてくる。
「チッ、クズ野郎が……っ!!」
雪旗が忌々しそうに奥歯を噛み締めながら、竜王の息吹を使おうとしたら、麦野が。
「あんなもん、簡単に吹っ飛ばしてやるよ!!」
超能力。それはやはりというべきか、凄まじい。迸る閃光で氷の塊が粉々になる。だが粗い。所々に大きい氷の塊もある。雪旗はその大きい氷の塊を飛んで、殴り粉々にする。
「いえーいっ!」
と雪旗がそれに対して麦野が。
「はぁ……」
とテンションが低めで返す。だが、パチンッと二人でハイタッチ。ハイタッチは許容してくれたようだ。そしてシスター達は一応無傷のようだ。
「はぁ……ったく、本気でぶっ飛ばす……」
雪旗が沸々と闘志を燃やす。
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