アイテムはマンションに住んでいる。そこは昔アジトとして使っていた場所なのだが、今ではそこに普通に住んでいる。特に引っ越す必要もないのだろう。全員、一応高レベルの能力者なので、お金の心配などは一切無いし、特に助け合いというものをしてるイメージは無い。
そして彼女達はいつも行ってたファミレスに居るのだ。
「はぁ、暇ね……雪旗も呼んでくりゃ、良かったわ」
「超どうしてですか?」
「ドリンクバー係」
「あぁ、今呼びます?」
「いや、いいわ」
「サバ缶はやっぱり最高って訳よ!」
「……」
そんな感じで緩い四人組である。結構長時間入り浸っているのである。今日は学校自体も早く終わり、特にすることもなくなっている彼女達は結局、こうして緩く過ごしているのだ。
そんなこんなで彼女達は別々に行動する事自体はそんなに多くない。フレンダは友人が多いらしく、結構別行動を取っているが。そんなこんなで、彼女達は今日も集まっていた。
「さてと、どうする?」
「超何がですか?」
足をパタパタさせながら、麦野の問いを聞く絹旗。
「いや、予定だよ。暇すぎて腐りそうなんだけど、何か楽しいことないの?」
「麦野ってそういうキャラでしたっけ?」
「何よ、キャラって」
「いえ、では超映画を見に行きましょう」
「「「却下」」」
全員が声を揃えて言う。
「なんですか!!」
「アンタの趣味に付き合うつもりは無い!」
そんなこんなでゆるい空気に見舞われていた四人だった。その後、ファミレスを後にして、適当に歩き回っていた。交通機関を利用したりはあまりしない四人組なので、特に遠出らしい遠出もしないのだ。四人で歩いている最中に何度かナンパまがいなことをされたが、彼らは運が悪かったとしか言い様がない。
そうしてる内に人通りが少ない場所へ来ていしまっていた。このまま行っても意味が無いので、引き返そうと思った四人だった。
「ていうか、麦野は超何をしたかったんですか?」
「いや、なんだろう。暇だからって慣れないことはするもんじゃないわね」
「……」
少し呆れ気味の絹旗だった。
瞬間だった。何かが降ってくる。
「!!?」
全員が一斉に散りばる。絹旗は一瞬の判断で滝壺を抱え込みつつ、散る。
「……なんだ?」
麦野が言うと、そこから現れた人影には見覚えがあった。
「……学園都市第二位……垣根帝督……!?」
「あぁ、第二位だ。よく知ってるな? さすが第四位だ」
『未元物質』を扱える彼に、まともな攻撃はまず通用しない。そして『スクール』のリーダーである為、他の連中も居るかと、絹旗は辺りを見回すが。
「他の連中はいねぇよ。今回は俺だけだ。お前らの始末を頼まれちまってな。お前ら……生きて帰れねぇぜ?」
ひとまず、フレンダと滝壺は逃がし、麦野と絹旗のみで交戦する。翼を扱い、衝撃波を生み出す。その衝撃を受け流しつつ、麦野は原子崩しを放った。ただの光線だが、これを受ければ、ただでは済まないだろう。だが垣根はそんな原子崩しを受け流すどころか、消し去ってしまった。
「っっ!?」
「俺の『未元物質』に常識は通用しねぇ」
二対一だと言うのに、戦況は圧倒的に麦野達が不利。超能力者と大能力者が組んでるというのに、超能力者一人にこの始末。どうやらよっぽど相手が悪いようだ。近距離戦では最強に近い絹旗だが、翼が邪魔で全然近寄れない上に麦野の攻撃は未元物質で消される。八方塞がりだ。どうすることもできない麦野はそれでも諦めなかった。至近で放てば、と麦野は一気に近づこうとする。絹旗は近づきながら、窒素装甲を使うが、だが、能力そのものを消され、そのまま衝撃波で吹っ飛びそうになるのを麦野がキャッチ。だが垣根が翼を使って、麦野を叩きつけた。
「ガハァッッ!!?」
「麦野!!」
どうすることもできずに、麦野を連れて、走り出す絹旗。動けない麦野を抱えながら、絹旗は必死に逃げる。車などがあれば、もっと早く逃げられるが、彼女は運転ができない。どこかに居る雪旗に助けを求めるために彼女は走り続けた。自分と麦野が死んだら、次に狙われるのはフレンダと滝壺だ。交流が深かった彼女達を殺されたくない絹旗は必死に逃げる。無様に逃げ続ける。垣根は頭を掻きつつ、追いかける。
「まったく俺は悪者か?」
そんなことを言いながら、必死に逃げる絹旗を追いかける。垣根には余裕があった。満身創痍の二人相手に遅れを取らないし、そもそも二人が万全の状態でも敵わないのだ。この状況で負けるはずがないという慢心を生んでいた。そして建物が多く立ち並ぶ場所へ逃げられ、少しばかり面倒だと思った垣根。
「チッ、まぁいいや……」
そして空高く飛び上がり、場所を確認する、一瞬で見つけ、そちらに一気に向かい、絹旗と麦野の前に立ちはだかった。絹旗は麦野を抱えている。
「さてと、さっさと終わらせてやるよ」
翼を使って、至近で打撃を喰らわそうとした、至近距離でさっさとやっちまおうという気持ちがあったのだろう。抱えられている麦野は動けないし、絹旗も近距離戦を得意としているが、特に気にする必要もなかった。さっさと終わらせたいという気持ちの方が強かったし、それにこの二人以外にも殺らなきゃならない連中が居るので、さっさと終わらせにかかった。その慢心が生んだのだ隙を二人は見逃さなかった。
「麦野!!」
と抱えられていた麦野が抱えられたまま、原子崩しを発射した。
「なっ……!!?」
至近距離からの原子崩し、さすがにあの一瞬で避けることはできないと思った。閃光が何度も瞬いた。そうして何度か発射するとガス欠状態のように、彼女は全身に疲労感が襲ってきていた。
「はぁ、はぁ、はあ……」
そこには人影はなかった。蒸発したか。それとも避けられたか。前者であってほしいと二人は願った。だが、現実は非情だった。空高く、若干焦げたスーツを身にまとう垣根が居た。
「……さすがにさっきのは危なかったぜ。次は慢心はしねぇ。さっさと終わらせるぜ」
翼を扇いで、衝撃波を生み出す。情け容赦の一切ない一撃だった。とっさに絹旗が窒素装甲でガードするが、吹き飛ばされ、地面へと叩きつけられる。
「……っ!」
麦野はすぐさま、絹旗を起こして言う。
「絹旗! 最近携帯電話買ってたよな?」
「え、はい……」
「それで雪旗を呼べ、私はアイツをなんとか食い止めるから……」
「ちょ、超麦野らしくない一言です」
「仕方ないわよ。もうどうする事もできないからね……逃げながら、電話した方がいいわ!! 早く!」
「は、はい!!」
そのまま電話を掛けながら、絹旗は逃げ出す。少し後ろを見ると、なんとか麦野もギリギリのところで耐えている。そして絹旗は雪旗に電話するのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想、批判。大歓迎です。