電話で聞きつけ、すぐさまその場所へ行く。幸い、地下街からそう遠くない場所だったので、すぐに辿り着く事ができた。第七学区での交戦だ。
だが時間帯が時間帯だけに人通りが少なく、特に気にする人達も居なかった。絹旗を見つけ、そのまま麦野の元まで行った。
「……!!」
倒れている麦野にトドメを刺そうとしてる垣根に竜王の息吹を放った。
身体から大量の血が流れ出るが、気にしない。垣根も一瞬のことで多少、遅れを取ったが、翼で一気に空へと駆け上がる。
黙ったままだ。黙ったまま、雪旗は麦野に近づき、抱える。
そのまま絹旗の所へ行こうとするが、途中で垣根が翼で衝撃波を巻き起こすが、能力でなんとか留まる。そして絹旗の所へと着く。
「麦野を病院へ連れてってくれ」
「ちょ、超一人で戦うつもりですか!?」
「……あぁ」
「無茶ですよ!! 私も!」
「いいから行けって、心配するな。それに麦野を早く病院に連れて行って欲しいしな」
といつもの調子で言う雪旗。それに対して、納得いってない様子の絹旗だったが。
「麦野を病院に連れて行ったら、すぐにきます」
「おう、頼むわ」
そう言って、麦野を抱えて、絹旗は病院まで走っていく。そして雪旗は垣根の方を見て言う。
「……おい、垣根帝督っつったか」
「あぁ? つか、テメェ何してくれんだ? 俺の獲物をよ? つかさっきのなんだ?」
「知るか。さっさと降りて来いよ」
「バカか? こっから狙い撃ちするに決まってんだろ!」
そう言いながら、翼で衝撃波を巻き起こす。
それに飛ばされないように能力を使い、そして衝撃波を撃ち終わったら、一気にジャンプして垣根の所まで飛ぶ。
「!?」
「どうだ? 驚いただろ……俺の力だ――よッ!!!」
垣根の顔面目掛け、思い切り地面へと叩きつけるように殴りこんだ。
垣根は重たい衝撃を受けながら、地面へと急降下。
思い切り地面へと叩きつけられ、血反吐をぶち撒ける。
そして頭上を見上げ、相手の出方を伺おうとしたら、もう既に傍まで来ており、顔面に踵が叩きこまれていた。
そのまま再び、地面へと叩きつけられる。
「どうだよ? 気分は最高か?」
「あぁ、最低だよ!!」
翼を使った打撃だ。六枚の翼が逃げ場無く迫ってくるのを見て、雪旗は小さく呟いた。
「――程度を知れよ。雑魚が」
六枚の翼を受けきり、そのまま翼ごと垣根の体を持ち上げる。これほどのパワーを発揮したのは初めてだ。
それほど、今の自分は際限なく能力を使っているという事になる。そしてそのまま一気に地面へと叩きつける。
翼がある以上地面以外に飛ばしたところで大したダメージは与えられないだろうから地面へと何度も叩きつけていた。
「チッ! この俺が!! テメェごときに!!!」
「所詮、その程度って事だよ」
そのまま翼を持って、遠くへと投げ捨てる。
「ハァ……まだ……当然無事だよな? ボッコボコにしてやるから覚悟しろよ」
「ハッ! 調子に乗ってられるのもここまでだよ!!」
垣根の能力。未元物質は強力だ。
相手がどれだけ強くても、原理自体は物理法則に従っているので、たとえば炎を使った攻撃をしたとしても、未元物質によって遮られてしまうだろう。
だがその点、雪旗は自身の身体能力を上げる能力の為、無効化されない上に、魔術を扱う戦法だ。
いくら未元物質を使えるとしても、原理が不明なモノをどうにかする事はできないだろう。
だから戦法を変える垣根。一旦垣根は全速力で逃げ出す。
「あ、待ちやがれ!!」
雪旗は能力を使い、駆け寄ろうとするが、それでも飛んでる相手には届くことができない。
そのまま逃がしてしまい、まず場所が割れている麦野と絹旗の所へ急ぐことにした。
病院に到着し、まず麦野がいる部屋へ行くことにした。麦野が寝ている部屋に絹旗も居た。
すぐ来ると言っていたが、なんだかんだで心配だったのだろう。雪旗がそのまま病室に入ってく。
「ッ!? まさか倒したんですか?」
「いや、逃がした。もしかしたらここに来る危険性もあるから一応来たんだけど、杞憂だったか?」
「いえ、第二位が狙っているのが私達である以上、こちらに来る危険性が超あります、が雪旗を逃がしたという事は第二位を追い詰めはしたということですよね、ということはここに来るまでに超敵が増える危険性があるか、もしかしたら滝壺さんとフレンダが超狙われるかもしれません」
「そうか……敵増えるかぁ、面倒なことになってきたなぁ……」
そんな事を言っても仕方ないのは雪旗が一番良くわかってるし、それに追い詰めかけたのに、一瞬の油断で取り逃がしたのも自分の所為だ。
その所為で自分の身近の人物に危険が迫っている。
雪旗は少しずつ焦ってきていたが、それでも一応二人が無事という事がわかり多少は落ち着きを取り戻していた。
「それじゃ、まずは滝壺さんに連絡を取りましょう。滝壺さんの力を使えば、第二位の場所も特定できるはずです」
「うっ……!」
「どうしましたか?」
「い、いや……多分、あっちから襲ってくる可能性が高いと思うぞ? ヤツは無駄にプライド高そうな感じだから、逃げたままってのは一番嫌なはずだ。
だから滝壺の能力を使うまでもない」
雪旗は滝壺が能力を使う事が何を意味するかわかっていた。
あれは自分を破壊しつつ能力を行使している。
そんな危険な方法をわざわざ選ぶ必要は無いしわざわざあんな状態にする必要は無い。
「……そうですか、ですが一応念の為に……」
「大丈夫! 心配するな。俺は大丈夫だから! な!?」
「は、はい……」
絹旗は圧倒されながら、なんとか納得してくれた。これでこれ以上使う事はないだろう、彼女の意思でも無い限り。
「じゃあ、絹旗はできる限り麦野の近くに居てくれ、寝込み襲われたら、ヤバいしな」
「ちょ、それはさすがに危険すぎますよ! いくら雪旗でも相手は学園都市第二位ですよ!!?」
「大丈夫ー大丈夫ー。死んだら死んだでそれまでだ。まあ最低でも共倒れ程度にはしとくからよ」
雪旗はそんな軽口を叩きながら、病室から出て行く。
(垣根帝督……そこまで嫌いなヤツじゃなかったんだけどな……俺の仲間に手を出したらどうなるか、思い知らせてやる)
雪旗は今までにない程、ブチ切れていた。
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