とある雪旗は転生者   作:三十面相

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長い期間空いていたので、二つ連続で出すつもりでしたが、思ったより時間が掛かってしまいました。すみません。

駄文ですが、温かい目で見ていただけると幸いです。


黒い翼vs竜王の息吹

 蹂躙。

 

 それはすべてを飲み込む程の総量だった。それは垣根帝督という人間を殺すにははっきり言って、十分だった。いやむしろ十分すぎたのだ。だからこそだろうか。

 

 雪旗の体は勝手に動いていた。『竜王の息吹』。雪旗は『黒い翼』を『竜王の息吹』で受け止めていたのだ。垣根はその場で気絶していた。

 

 雪旗は凄まじい力の黒い翼を竜王の息吹でなんとか対処しきれている。黒い翼は凄まじい。あれは進化をすると『白い翼』になり、ユーラシア大陸全土をぶっ壊す程の力を有している。

 

 今はまだそこまでいっていない。というかそこまでだったら、この学園都市なんて一撃なんじゃないだろうか? そんな無駄な事を考えつつも、雪旗の手は一切緩めていなかった。

 

 雪旗は本当にとっさに垣根を守っていた。垣根は未遂とはいえ、『アイテム』を殺しかけたヤツだ。そんなヤツを助けるなんてどうかしてると思う。

 

 だが雪旗はその先の事を考えていた。そう、つまりここで貸しを作っておけば、垣根は『アイテム』に手を出せなくなるのだ。結果としては上々だ。垣根がバカでかい冷蔵庫みたいな機械に放り込まれて、ただただ『未元物質』を作るだけの機械にならなくても済むし、垣根は『アイテム』に手を出せなくなるし、一方通行が復活した『白垣根』にいろいろされなくなる。

 

 もう万々歳じゃん。たったこれだけの事で――今、考えたんだけどね。と雪旗は付け加える。これさえなければ、完璧だったのだが、やはり雪旗も後先考えないタイプの人間だった。

 

 それに一方的に不利益を被るのが、なんと完全に雪旗だけという、別に雪旗は一方通行に何か攻撃を仕掛けようとしている訳ではない上に守っている相手は垣根と来ている。それに一方通行にも一応黒い翼による後遺症が残るだろうが、それでも雪旗がおそらく、この後の重症に比べれば、絶対に安いモノだろう。

 

 いやもしかしたら結構酷いヤツなのかもしれないけど、雪旗はいろいろと考えを巡らせたのだが、わからない事はわからないので、雪旗はとりあえず必死に受け止めようとしている。

 

 あと少しだ。あと少しで打ち止めがやってくる。雪旗はそれまでの時間稼ぎで良い。これまで時間稼ぎをやってきた事がない訳ではない雪旗だ。一方通行戦だと必ず、時間稼ぎになっている気がするが、仕方ない。相手が相手なのだから。そう割り切って、雪旗は自身の状況を一度、確認する。

 

 酷いものだった。頭から血が流れでて、腕から血が噴出していて、足からも流れている。これだけの出血量で死なないのが逆に不思議だった。おそらく雪旗自身、何かが少しでも欠けていたら、そのまま死ぬような状態なのだろう。死ぬのは怖くない。これは本心から言える。だが、他人を死なせるのは、自分が死ぬよりも嫌だった。

 

 耐えられなかった。だからこそ、自分はこのような状態になっても尚立ち上がる事が、立ち続ける事ができるのだろう。

 

「コヒュー……コヒュー……」

 

 静かに雪旗は息を整えながら、雪旗はある提案を思いついた。それは『肉体強化』で体を頑丈にするということだ。魔術は能力者が使うとこうなって、体の節々が徐々に破壊されていく。

 

 だったらその体自体を強化させれば、どうなるのだろう。これを少しでも和らげる事ができるだろか? 試してみて損は無い。失敗してもそこまで損は無い。逆に成功すれば、雪旗はその後の魔術を使うのにも、絶対に役立つようなヤツだった。

 

 そしてそれは成功された。よくよく考えれば、土御門だって、能力と併用して使っていたし、失敗する確率の方が低かったのだ。それにしても、これは非常に良い結果だった。

 

 そして雪旗は二つの力を使い、そろそろ体力的に限界に近づいてきていた。いくら不死身だろうが、体力が無限な訳ではない、もうそろそろ、黒い翼でぶっ飛ばされる事も考えに入れないと――と考えた瞬間だった。

 

 

 

「やっと見つけたんだよ。ってミサカはミサカはゆっくり言ってみる」

 

 

 

 やっと、本当にこっちから言っても、やっとの事現れてくれた。

 

 

 

 

 

 

――最後の希望(ラストオーダー)だ。

 

 

 

 

 

 二言三言、打ち止めと会話した一方通行は徐々に黒い翼が無くなっていく。どうやら打ち止めが冷静にしてくれたようだ。雪旗もやっとの事、安心できる、雪旗はその場に倒れた。

 

 

 雪旗はまたまた病院だったりする。はっきり言って、垣根の時よりも酷い格好だ。全身包帯とか本当にあるんだな。と雪旗は本当に漫画みたな状態になってしまった。

 

 

 よくよく考えたら、魔術の過剰使用で死んだりするのだ。それを考えれば、雪旗が生きている事自体、普通に考えたら、不自然なのだろう。こんな事をしていたら、『アレイスター』に目をつけられたりしないだろうか。安易に口に出してはいけない名前、トップ10に入るな。

 

 

 そんな風に雪旗がウーン、ウーン唸っていると、ガラガラと扉が開く。そこにはなんというか、今までに見た事ない顔の『アイテム』がいた。なんて言い表したら良いか。とりあえず怒ってるというのはすぐにわかる顔だった。

 

 

 雪旗は顔を真っ青にしながら、軽く笑顔で。

 

 

「……よっす! 俺、雪旗。全員……大丈夫!?」

 

 

 バヂンッ! と雪旗の頬に鋭い痛みが走った。そして全員の顔が泣き顔になっていた。あの麦野と滝壺ですらだ。雪旗は凄まじい罪悪感に襲われると同時に、必死に言葉を探す。はっきり言って、雪旗は女の涙に弱いなんて話じゃない。もうあたふたして、どうしようもなくなってしまう。というか一方通行の黒い翼と戦ってるときよりも狼狽している雪旗。

 

 

「え、あ……あぅ……あぁっと……その……」

 

 

 狼狽して何もする事ができない雪旗はとりあえず、一旦深呼吸。そして渾身の土下座は包帯に包まれていてできないが、とりあえずこれならば、できる。

 

 

「すみませんでしたァァァァ!!!」

 

 

 とりあえず、しばらくして、全員が泣き止んでくれた。ちなみに今の雪旗は心臓がバクバクしている。怯えだ。泣き止んだ後っていうのは必ずと言って良いほど、何か雪旗が痛い目を見ている。おそらく今回もあるのだろう、何か痛い目が。ビンタなんて非ではない何かが。だがその前に、雪旗も雪旗で気になっていた事があった。

 

「なぁ、その……悪いんだけどさ……なんで、俺が来た時にお前ら、ボロボロだったんだ? 垣根にやられたのか?」

 

 雪旗がもしも垣根がやっていたとしたら、次こそ本気で潰すプランも用意しなくてはならなくなる、無論、奴隷的な意味で。

 

「あ、あれはなぁ……」

 

 麦野が若干、歯切れを悪くする。そして四人は一斉一箇所に集まって、コソコソ話だ。

 

「(ど、どうします。超どうします。麦野! 雪旗が倒されたから、本気でキレたって超本人の目の前で言うですか!?)」

 

「(しょ、正直に話すのは絶対、嫌って訳よ! 全然、私のキャラじゃないって訳よ!)」

 

「(し、仕方ないわ。どうにかして、誤魔化すのよ!)」

 

「(賛成……)」

 

「……?」

 

 無論、そんな事情を知らない雪旗は疑問符を浮かべるばかりだ。

 

「あ、あれよ……その、第一位と第二位の戦いがあまりにも酷くて、私達が止めには入ろうとしたら、あぁ、なったって感じだよ。クソがッ! 言いたくなかったんだけどよぉ……!」

 

 と麦野は本気(の演技)でブチ切れているようだった。

 

「そ、そうだったのか……なんつーか、情けなく気絶して、悪かったな」

 

「……いいや、確か、中学一年生ぐらいの女の子を助ける為に頑張ったみたいじゃないか……」

 

「あぁ、まったく雪旗はいつも超雪旗としか言いようがありませんね」

 

「な、なんだ。その言い方。まるで俺が中学一年生に好かれたいが為に頑張ってたみたいじゃねぇか」

 

「まぁ、あながち間違ってないんじゃないかと私は思うんだけどねぇ……」

 

「そ、そんな訳ねぇだろ……?」

 

 一応、涙の件もあるので、強く言い出せないでいる雪旗。

 

「……ふーん」

 

 結局、アイテムは軽く、お見舞いの品を雪旗にあげて、帰っていった。

 

「アイツらは本当に……」

 

 そこには、高級フルーツがあった。やはり金の使い方はどこぞの常盤台のお嬢様と変わらないようだ。上条みたいな事は言わないが、雪旗的にも、お手製って言うのに憧れていたりしていたり、していなかったり。

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます。



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