駄文ですが、温かい目で見ていただけると、幸いです。
学生の本分は、本来……勉強である。当然、雪旗硬地だってそれは忘れてはいない。だがしかし、そんな本分を忘れさせるようなイベント事は必要だとも思う。それが『一端覧祭』である。
『大覇星祭』が体育祭と言えば、こちらは文化祭なのだ。いくつかのグループが出来上がり、話し合いを再開している。
「っつか、高校の一端覧祭って中学の時とは何か違うんかいな。予算とかいっぱいもらえるといろいろやれる幅も広がったりするんやけど」
「にゃー、ぶっちゃけ学校見学会やオープンキャンパスも兼ねたりしてるから、そういうのに積極的なトコじゃないと予算はいっぱい出ないにゃー。ウチの高校はそういう欲が全然ない平凡高校だから思いっきり地味そうだぜい」
「金の話とか結構生々しいな。おい……」
正直、雪旗にとっては、中学時代というのが存在しないため、少し楽しみでもある一端覧祭。実際、雪旗が通っていた中学も別にそこまで文化祭に力を入れてるような場所ではなかった。特に楽しいイベントなど特になく、結局友達とサボったりしてるような、そんな感じだった気がする。
(ま、実際一端覧祭ってそこまで記憶に無いんだよな……。なんかその時に起きてたのって確か、トールとか出てきてたか? そういや、アイツの能力って超チートだったよな、絶対に取りたい所だな……)
結局、関係無い方向へと思考を向けている。そんな事に思考を集中していながら、別の方向にもキチンと思考を向けている雪旗。それは紙相撲だ。今、上条当麻と雪旗硬地は戦っているのだ。紙相撲で――。
するとそこにデコ広い巨乳実行委員長吹寄制理は腕組をしながら、フンと鼻を鳴らして。
「世界最大の文化祭一端覧祭が近いという事は、ようやく私の季節が来たという訳ね、貴様達も時間を無駄にしてないで、少しは有意義な使い方をしてみれば? 特にそこの紙を折って、紙相撲をしてる、上条当麻と雪旗硬地!!」
指摘された二人は綺麗に揃って、ビクッと肩を震わす。
「え、いや……ほら、やっぱりさ、俺達ってこういうキャラじゃん? だからやっぱり今まで通り、こうしてこういう時間は何かで暇を潰すみたいな?」
「余計な事は言わなくて良いッ!」
結局こうしてブチ切れられるのが、日常って言えば、日常なのだろう。
今日も特に何かするなんて事はせずに、授業も学校も終わって、ブラブラしていたら、急遽、携帯電話から電話が入る。雪旗は携帯の画面を見ると、土御門という文字が出ている。これだけで結構、嫌な予感が過ぎる――というか、多分これしか無いだろう。
「はい?」
雪旗は出ると、土御門が短く言う。
『今からイギリスに行け』
はぁ、とため息を吐く雪旗は、わかっていながら、応答する。
「ちなみに拒否権って言う、基本的な人権は?」
『もちろん、無いぜよ? 飛行機はこっちで用意しといたから、第二十三区に着いたら、国際空港の第三受付にあるクロークサービスで三二九三番のロッカーの荷物を受け取れにゃー。パスポートとか必要な物は全部、そこに入ってるから、学園都市のIDがそのままクロークの番号札代わりになってるから、受付に雪旗硬地って名乗れば、荷物は出てくるぜい。ちなみに上やんも同じ状況だにゃー」
「わかっとるよ、勘弁ってのは、お前は知らないからな……」
そう言って、携帯を切った瞬間に、背後から何者かの気配を感じ取る雪旗。即座に攻撃態勢に入ろうとしたが、それよりも先に動きを封じられ、雪旗は何かの薬品を嗅がされて、そのまま眠ってしまった。
目が覚めると、そこは空港のロビーだった。なんというか、隣にはまだ眠っている上条当麻とインデックス。ついでに三毛猫のスフィンクスまで居る。
「おい、大丈夫か」
雪旗がそう呼びかけながら、上条をゆさゆさと揺らすと上条はとぼけた声を出しながら、目を覚ます。そして、辺りを軽く見回して、呟く。
「今回はいろいろとダイナミックすぎねーか」
そんな事を呟いたら、上条は手元にメモがある事に気付く。それを見ると、まあ言ってみれば、どう頑張ってもこの状況から逃げれないよと書かれていたのだ。ちなみに雪旗もまったく同じ状況のようだ。
「さて、楽しい旅に行きますか」
「そーだな……」
インデックスを起こして、上条は肩を降ろしながら、荷物を取りに行く。
「上条当麻さんと雪旗硬地さんですね。三二九三番の荷物をお預かりしております。こちらでよろしいでしょうか」
受付のお姉さんがそんな事を尋ねてきたが、知るかよと心の中で悪態をつきながら、適当に頷いてデカいスーツケースを受け取ると、パカッと明けて、中身を確認する。
中にあるのは、紙幣とパスポート、フライチケット、いかにも指令所っぽい紙束、後は激安チェーン店で買ったんだろう着替えが数日分。
雪旗と上条はフライチケットを手に取り、そこに表記されてる内容を読んで、上条は呻き、雪旗はハァとため息を吐く。
「どうやら、本気……みたいだな」
「あぁ、本当にロンドンの空港の名前が書いてある……」
ちなみにインデックスは事情を一切知らないので、ちんぷんかんぷん状態である。雪旗は先程眠らされた所為か、頭がフラフラして、よく理解できない。
「なんか、イギリスでデカい魔術的なトラブルが起きたみてぇだな、それでインデックスが必要って感じかぁ」
「そうだな。なんか、よくわからんけど」
おぼつかないような口調で、むにゃむにゃと言う上条に続けて、さらに言う雪旗。
「で、現状のインデックスの保護者役が上条だから、行かなきゃ、いけないってなー。俺はそのさらに付き添いみたいな感じか……」
「とうまに保護されてるってのは、心外な評価なんだよ!」
「そういうのは毎日ご飯を作ってもらってる子の発言じゃありません。はぁ、行くしかねぇのか、ぶっちゃけ面倒臭いなぁ」
「俺はそのさらに面倒臭いのですが……」
わざわざインデックスを召喚するという事は、それだけ大きな事と言う訳だ。それだけを考えると、憂鬱という事にしかならない。
「それで、私達が乗るひこーきってどこにあるの?」
「ん? 土御門のヤツが特別に手配してるって……」
「もしかして、アレか?」
最大時速七〇〇〇キロオーバー。日本と西欧をおよそ弐時間で突っ切る怪物飛行機。
その瞬間、二人は真っ青な顔になる。
「なあ、インデックス、雪旗。あれは諦めて、キャンセル待ちでもいいから、次の飛行機に乗ろう。もっと普通の人体に影響がない飛行機に」
「私はとにかく、ご飯が後ろに飛ばなければ、なんでもいいかも」
そんな事情を知らない雪旗は何がなんだかわからないという感じだった。
スカイバス365。上条、インデックス、雪旗が三毛猫を見捨てて、乗り込んだ極めてゆったりとした大型旅客機だった。座席部分は二階建てで、座席面積も大きい。一番安くてこれだ。これは十分ゆったりできる。まさに最高というヤツだ。
ただ一つの問題を無視すれば。
「まさか、ロンドン行きが一つも無いとはな」
まさか一杯になってるとは、思って無かった。結局、イギリス行きだが、スコットランドのエジンバラ行きの飛行機に乗って、そこから乗り換えをするという事になった。
(ただ、お財布ケータイってクレジットカードだからな、後で請求書見て、悲鳴あげなきゃいいけど……)
そんな心配をしている上条。そんな心配を露知らず、インデックスは飛行機に夢中で、雪旗はさっそく眠っていた。ちなみにインデックスは安全ピンだらけのあの修道服じゃ無理だったので、ワンピースに着替えている。
「と、とうま! なんかボタンがいっぱいついてるよ!」
「確かにボタンはいっぱいあるけど、ゲームじゃねえぞ、それ…………ッ!? お前、それは有料チャンネルだっ!!」
即座にインデックスを止めに入っていた。
「うるせぇ……」
そして、その茶番に対して、小さく文句を垂れる雪旗だった。
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