後日、朝になり雪旗は目を擦りながら、小萌先生の下へ、行こうと、着替える。何だかんだ言って制服が一番動きやすいので、制服で向かうことにした。しかし途中で、まさかな出来事に遭遇してしまった。
「まさか、貴様が、『ヤツラ』と関係があるとはな……」
黒い修道服の魔術師だ。
「……アンタか。一体何の用事だ? 言っとくが、俺はアンタと用事がある人物とは、一切関係ないと思うぞ?」
「嘘を吐くつもりか。貴様は昨日、ステイルと会っていたではないか!!」
「……アンタ。まさか、インデックスに用事があるのか?」
驚愕の表情をする。フリであるが、しかし毎回、見事に勘違いされる。自分はそういう星の下に生まれてしまっているのだろうか。
「インデックス……ヤツらとは、また違った方法を私は……!!」
そのまま、彼は本を取り出す。
「簡単に手に入れられなかった! 『
「そうか、お前もインデックスの……」
インデックスには沢山の人達が一緒に居てくれた。しかし彼女は一年に一回。記憶を消さなければ生きられない。呪いのような魔術が施されていたのだ。それの所為で彼女は未だに、恐怖におびえ続けているのだ。彼もインデックスの為に、ここまで頑張った。
彼もまた、英雄なんだろう。自分とはまったく違う。本物の英雄。だったら、それを止める権利は自分にはあるのだろうか。ここは譲るべきなんだじゃないのだろうか。彼は『原典』に支配されている。凄まじい程の激痛が伴っているだろう。
(俺は……アイツを止める? 本当に? なぜ? 彼は本当に救えるかもしれないだろ? 今回は上条じゃなくて、彼が救えば? 記憶が消えなくてすむかもしれない。……俺はどうすればいいんだ?)
思考がまとまらない。雪旗はどうすればいいか、しかし、彼は気付く。
「……ダメだ。お前じゃ、彼女は救えない」
「何?」
「……その原典じゃ、アイツは救えないんだよ。絶対に、それはわかってる」
「そ、そんなのやってみなくては……!!」
「無理だ。断言できる。お前の苦労はわかるさ、激痛が体を巡ってることもな」
「……ッ!」
彼は小さく呟く。
「彼女を助けるには、絶対に『アイツ』じゃなきゃ、ダメなんだ。アイツ以外、今の時点では無理なんだよ……」
そのまま黒い修道服の男はひざを突く。
「だったら、俺の今までの苦労はいったい!!!?」
「…………」
下手な慰めは逆に失礼だろう。だから簡潔に告げる。
「お前にしか、できないことを探せ、それが、現時点でお前がすべき、最良のことだろ? それぐらいしか道はないよ」
「……最良の答え」
彼はフラフラと、どこかへ向かう。
「……俺は諦めない。また別の……いつか、絶対!!」
そのまま彼はどこかへ向かっていく。おそらく『学園都市』から、出て行くつもりだろう。
「……いや、アイツはどこか勘違いしている。あと少しでインデックスは助かるしな……まぁ、知らない方が良い現実ってヤツが存在するのだろう」
そのまま、彼は髪を掻きあげ、ため息を吐く。
「結局。誰一人救えないじゃねぇか……俺ってやつは」
そのまま、彼は小萌先生の所へとようやく着く。
チャイムを鳴らし、出てくる上条当麻。とそれに齧り付いてる、インデックス。
「……はあ、何してんだ。お前ら」
体が一気に脱力するのを感じる。そのまま軽く笑う。ここの状況はさっきまでとは、全然違う。良い感じだ。先程はピリピリした、嫌な空気を感じたが、ここは楽しい空間のようだ。何かほんわかさせられる。
「はい、はじめましてー。俺は雪旗硬地って言いまーす」
「…私は、インデックスって言うんだよ」
「インデックスねぇ」
白い修道服に安全ピンを付ける少女と自己紹介を終えると、そのままいろいろと話したり、小萌先生が買い物から帰ってきてから、さらに盛り上がり、最終的に銭湯に行くことになった。
「……上条。どうしてこうなった?」
「さぁ? まぁ、インデックスもテンションだいぶ高いし、いろいろ楽しみなんだろ」
「おっふろーおっふろー♪」
傍から見てもわかる通り、かなりテンションが上がっている。イギリスはユニットバスが主流らしいし、おそらく大きい風呂場には、驚きを隠せないのではないだろうかなどと、その状況を思い浮かべ、少し噴き出しそうになる。
「こうじ? どうしたの?」
「いや、なんでもないよ。ただ面白くてね……」
そのまま、少し笑う。
「???」
意味がわからないという感じで、頭に疑問を浮かべていた。
「そういや、イギリスはユニットバスが主流だしな、驚くぞー。きっと」
「私はそういうのは、よくわからないんだ」
「は? なんでわからないんだよ」
「私って気付いたら、日本に居たの。だから、イギリスのこととか、よくわからないんだ。記憶が無いから、なのに、魔術師とか、インデックスとか、必要悪とか、そんなのばかり、ぐるぐる回って……すごく怖かった」
インデックスは少し、悲しそうな顔をして、言う。それに上条が、少し、上条にとって、歯痒いモノだった。
「……ん? どうしたのかな?」
「いいや、なんでもねぇよ」
つい、口調が強くなる。
「むっ。何を怒ってるのかな?」
「別に、怒っちゃいねぇよ」
「何? 怒ってるフリして、私を困らせようとしてるの? 私、とうまのそういう所、嫌いかも」
「……別に、好きでも無いのに、んなこと言ってるじゃねーよ。それに、お前にそんな、ラブコメ展開を望んでもいねぇっつの」
その言葉が仇となった。
「とうまなんか…………」
涙目の上目遣いで、勢い良くインデックスは上条に齧り付いた。
「大ッ嫌い!!!!」
ギャーッッ!!! という上条当麻の断末魔が鳴り響いた。
「あ、インデックス!!」
黙って見ていた雪旗がやっと口を開く。
「はぁ、お前ってやつは……反省してろよ。バカ野郎」
あきれ気味に、雪旗はインデックスを追いかける。上条は呆然としていたので、しばらくその場から動けなかった。
「……はっ!」
上条もさっさと付いて行こうと思ったが、直後、異変が起こった。人の気配が一切、消える。
「……? あれ? なんだ……人通りが急に……?」
そこに現れたのは、奇抜な服装の人物だった。それは身の丈と同じぐらいの刀を所持していた。
「神裂火織です。もう一つの名は語らせないでください」
彼女、神裂火織が現れた。
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