『でも次官の独断もかなり入っていますね』
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第11話<数ヶ月前:航空戦艦と次官>
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ブルネイでの量産実験によって建造された航空戦艦『伊勢』と航空巡洋艦『最上』。以前、美保に居た日向の推挙で試作型でありながらも敢えて日本へ連れて来られた。
さらに彼女たちは、美保鎮守府にはオリジナルが居なかったこと。また試作実験で生まれた為、もともと艦籍が無かったことを幸いとして、そのまま美保での建造登録及びそのまま着任となった。
実質的な戦艦クラスの艦娘の移動にも拘らず本省や艦隊司令部からは、特に物言いは付かなかった。恐らく試作型だから軽く見られたのだろう。
しかもこの移行の背後には、日向の個人的な想い入れも強かったと想定される。相手が試作型であっても彼女にとってはブルネイで共に戦った仲間である。特に姉妹艦でもある伊勢に対しては、普段から物言わぬ彼女が格別な想いを抱くのも無理も無い。
このような感情的な結びつきが見られるのも、また艦娘の大きな特質といえる。
その期待に応えたのか、来日してからの彼女らは短期間で驚くべき成長を見せた。気が付けば直ぐに実戦でも投入できる練度にまで到達していた。これには当時の提督や秘書艦も驚いた。
彼女たちは通常の戦艦や重巡と同等の基本性能を有しながらも航空機運用スキルも加えた『ハイブリッド』型である。基本的に艦娘本人にある程度の器用さがないと、とてもこなしきれない。
後に航空戦艦となる扶桑や山城がその火力は絶大ながら、いまひとつ戦果が伸び悩むのは、こういったバランス感覚にあるとも解釈できる。もちろん、これは本人たちの前では絶対に口に出来ないことではあるが。
いずれにせよブルネイにおける試作段階では駆逐艦を除いて不安定な試作型艦娘が多かった。そんな中で彼女らが現行量産型やオリジナルと同等の安定性を有していたのは先天的なスキルが高かった事もあるのだろう。
また日向の功績が大きい。彼女が推挙した手前もあるだろうがスキルアップの機会にも恵まれた。
1)ブルネイでの防衛戦:艦娘が少ない中、参戦。
2)本土への帰還作戦(通称:オデッセイ作戦)において日向が小隊長となり彼女たちを逐次指導しながら積極的に参戦した。
3)本土帰還後:日向が美保を経つ直前まで彼女たちに集中して鬼のような特訓を実行。
特に3)におけるシゴキにもしっかり耐えた結果であろう。美保鎮守府において横須賀へ移動した日向の置き土産とも言うべき彼女らは戦力の要となっている。
総括:ブルネイの量産化技術は試作実験の段階で既に高いレベルに達していたと考えられる。ただ『あと一歩』という何かが足りなかった。それが本省の技術参謀と美保の艦娘たちが合流した段階で突如、完成へと至った。そこに何があったのか? 実はこの点については不明である。
いずれにせよ完成されたレシピは習得された。その情報は直ぐに主要鎮守府に伝達され艦娘量産化は速やかに実行に移された。
当時敵である深海棲艦側に押され気味であった、わが国の防衛ラインは、この量産化技術により勢力を盛り返すことが出来た。
結論:ブルネイ及び美保鎮守府の功績は大である。
防衛次官 記す
読み終えた大淀は顔を上げた。
「いつもの次官の雰囲気に似合わず、文章は、お硬いですね」
次官はニヤけた。
「だろ? オレだって文書作るときは役人のフリをするんだよ」
ああ、この人には何を聞いても、いつも人を煙に巻くような感じなんだ……本当は嫌味も込めて『次官の独断がかなり入っていますね』
って言おうとした大淀だったが聞くだけ無意味な気がした。
彼女はちょっとため息をつくと机の上の書類をまとめ始めた。
「まぁ私も人のことを、とやかく言える立場ではありませんから」
つい感想とも独白とも取れる台詞が出た。あれ? 私は何を言っているのだろう……と思った。
しかし窓の外を見ていた次官は何食わぬ顔で振り返る。
「でも、いつも貰ってる美保の報告書って君や祥高か、或いは霞ちゃんの三人が交替で書いてるんだろ? だいたい文面で誰が書いているのか想像付くからオレ、本省では勝手に誰が書いたか一人クイズしてるけど」
もう悪趣味な……何処まで人を小ばかにするのかしら? この人は。半分呆れた大淀は軽く咳払いをして応えた。
「最近は青葉さんにも書いてもらうことがありますけど」
軽い反撃のつもり。でも次官は構わず腕を組んでニヤニヤしている。
「いや、それでもね、一番硬いのはやっぱり……」
そこまで言って次官はハッとした。大淀が上目遣いで睨んでいるのに気づいたのだ。さすがに本人を目の前にして、これ以上言うのは不味い。
正直このマジメな大淀を更にからかいたい。ウン、この堅物な大淀も好きなんだが……いや止めておこう。この娘は切れると怖いから。彼はそう思った。
「……あ、そうそう。司令のメモから、こんなのも作ったんだよ」
慌てて話題を変える彼だった。
次官に差し出された文書を受け取る大淀。あら意外とこの人はマメな所もあるんだな。そう思いながらも改めて書類に目を通し始めた大淀。でも内心彼女は思った。
『こうやって彼のペースに乗せられてしまうのもいつものことか』
この次官とのバカみたいなやり取りも大淀にとっては新鮮であり、いつの間にか楽しいひと時になっていたようだ。
だが今は文書に集中しよう。その内容は、まだ提督が亡くなる一ヶ月以上前の日付になっていた。
艦隊司令部及び軍令部から共同指令が下された。いよいよ美保鎮守府は正式に大規模作戦に合流する。
これまでは弱小ということで大規模な遠征作戦があっても軍令部からは自動的にスルーされていた。だが今回は一定の基準を満たすと判断されたようだ。
美保も以前より錬度はもちろん戦艦や空母も増えた。全体的な打撃力や防御力もかなりアップしている。また実力のある艦娘たちも順調に育っている。これでようやく美保も普通の鎮守府としての実力と位置を認められたのだ。今回はブルネイから来た伊勢や最上たちもギリギリ参加出来そうだ。
あともう一つ驚くべきことがあった。これもまた即戦力である。呉から軽巡『那珂』という新しい艦娘が移動してくることが急きょ決定したのだ。神通によれば姉妹艦である。着任する彼女は初めから「改2」ということ。着任早々作戦に投入できるレベルだ。
ただ神通に言わせると那珂は相当自己中心的で感情の上がり下がりが激しいようだ。改2と言っても実際は差ほどでもないらしい。
最近は轟沈率も鎮守府の評価基準に入るらしい……おや? この最後の文章は提督のものではないと大淀は感じた。
大淀は今度こそ言った。
「でも……次官の独断もかなり入っていますね」
「そうか?」
それは否定しない。次官は思った。祥高が音頭を取って編纂しているこの一連の文書は、恐らく本省にはフィードバックされないだろうという彼なりの読みもあった。
「赤城さんのことには触れませんか?」
大淀はつい聞いた。次官は窓の外を見ながら応えた。
「ああ……そうだね、断片から少しずつ書き起こしているんだけど」
その時大淀は、初めて次官が真剣な顔をしているのに気づいた。赤城轟沈の件は亡くなった司令も前線でかなりショックを受けていたと聞いていたが……その一報を受けた次官も実は同じだったのか?
大淀は赤城の件は聞くべきでなかったと反省した。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。