「牛乳が飲みたいのです」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第13話<電:いつ何が起こるか>
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午後からの雨は、さらに激しくなった。遠雷も響いている。電は名前と裏腹にカミナリが嫌いだった。
物知りの青葉が『イナヅマっていうのは稲作をする農家には、とてもありがたい物なんだよ』と教えてくれたことを思い出していた。いつも食べているご飯は地上で農家の人が作ってくださっていることは良く分かっている。でもピカッとかゴロゴロというのは電には、やっぱり苦手だった。
「私は海軍なのです」
そう言い聞かせていた。
でも海上でも悪天候ほど奇襲作戦はしやすくなるという話も……青葉さんだったかな? 電は記憶を手繰り寄せた。
「地上なら良いけど海上ではやめて欲しいのです」
電はいつも思っていた。
今の司令は、そういう無理な作戦は立てないと思う。でも今後、美保鎮守府が前のような大規模な合同作戦に加われば、どうなるか分からない。
前回の合同作戦でも久しぶりに大破して大変だったけど。でもあれは昼間の戦闘で雨も降っていなかった。それがもし激しい雨になったら……ゾッとする。
そういえば以前、利根さんと日向さんの部隊が日本海で雨の中、対潜作戦を実施したことがあった。あの時は利根さんがとても大変そうだった。重巡や戦艦でも大変なのに……でもやっぱり身長と体力も必要か。
「牛乳が飲みたいのです」
そう言いながらあの大山の牧場を思い出しながら車庫に着いた電だった。
そこで改めて自分が乗るはずの軍用車を見た。少なくとも地上では車に乗れば直接雨に濡れることも無い。車外に出ても傘も差せる。合羽もある。
「あれ?」
そこまで考えて電は恥ずかしくなった。
「それでは、この車が可哀相なのです」
そのときだった。
「ええ?」
地面の方から声がした。夕張さんだなと電は思った。
「なぁに? 電ちゃん」
作業中らしい夕張の声が聞こえた。電は応えた。
「あの本省から来た、お二人を空軍の美保基地まで送るから準備をするのです。今日の夕方、入間までの定期便が出るから、それに間に合うように16:30で準備をお願いします」
電が言うと、また下のほうから声が聞こえる。
「OK、どれも問題ないから、基本的なチェックだけして」
「はい」
電は自分が乗る軍用車の周りを確認してから運転台に乗り込んで、計器類、電装品のチェックをした。いつもなら庫内でエンジンもかけるのだが、今日は雨も降っているし、夕張さんも問題ないって言っていたから……。
「エンジンはかけなくても、きっと大丈夫なのです」
そう言ってボンネットは開けなかった。運転台を降りると、夕張が立っていた。
「今日は天気が悪いから、ちょっと早めに出たほうが良いかもね」
油で汚れた手をタオルで拭きながら夕張は言った。その姿を見て電は言った。
「そうなのですか?」
夕張はうなづいた。
「作戦と同じだよ。ダメな場合を想定して、いろいろな方法を考えておく。まあ空港に送るだけなら問題ないだろうけど今日の相手は要人だからね。しかも入間へ飛ぶ飛行機が本当に出るのか? 欠航しないか? ってことも考える」
電は目を丸くした。
「夕張さん、凄いのです」
褒められた彼女はちょっと恥ずかしそうな顔をした。
「ううん、私も誰かの受け売りだよ」
そして夕張は続ける。
「ここには普通のが2台とトラックだけど……例えば電チャンが出るとしても、残りの2台もいつでも出せるようにしておくんだ。いつ、何が起こるか分からないから」
彼女は普通に言ったのかも知れない。だが電には、夕張の最後の言葉が妙に心に引っ掛かるのだった。
『いつ、何が起こるか分からないから』
頭の中で、その台詞だけが何度も繰り返していた。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。