「今後、艦娘と仲良くできるかどうか」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第14話<当日午前:指揮官の心構え>
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長官は続ける。
「彼は元気でしたか?」
「はい。艦娘の技術実用化のために苦労していました」
それを聞いて長官は懐かしそうな顔をした。
「そう……彼、ああ見えて真面目だものね。でも彼の功績は大だわ。そういえば彼も今回の成果が認められて少将になって転勤するようね」
え? ……と思った。
「栄転ですか」
「そう。今度は内地に来るらしいわ。もちろん艦娘のスペシャリストの一人として横須賀辺りで特型関連の改良などを担当するようね」
それを聞いて私もホッとした。
「そうですか」
アイツも意外と艦娘たちには好かれていたからな。きっと新しい任務も立派にこなしていくだろう。しかし結局アイツとは昇進も同じペースで揃って上がるんだ。不思議な縁があるものだ。
長官は続けた。
「量産化も軌道に乗ってブルネイでは大勝利。この鎮守府にはまさに追い風が吹いているわ。私が着任した頃はまったく逆だったわね。私がここに居た頃はもう向かい風で……美保は風前の灯だったわ」
長官は、お茶を口にした。
「それは恐縮です」
気がつくと窓の外は茶碗を取る音が聞こえないほど激しい雨になっている。今日は荒れるな……長官は言う。
「でも全ては巡りあわせ。特に貴方は人に恵まれるわね……ブルネイの彼が居なかったら貴方、今頃は東シナ海で海の藻屑と消えていたかもしれないわよ」
「それは否定しません」
彼女は茶碗を置いてこちらを見た。
「でも貴方、美保ではうまくやっているようね……この祥高さんを始めとして艦娘たちには、とても支えられているでしょ?」
私は秘書艦や青葉、金剛……それに電や寛代たちを思い出してうなづいた。
「はい……助けられています」
長官は、そんな私を見て笑った。
「ウフフ、貴方の雰囲気で分かるわよ。まあ貴方の性格からして艦娘たちに擦り寄られても意外にフラフラしないでしょ? 結局、そこが不器用ではあるけど艦娘だけの鎮守府の司令としては良かったのね」
「はあ?」
イマイチ分かっていない私に、彼女は続ける。
「だいたいブラック鎮守府とかいうところはね、艦娘をこき使うって言うだけじゃないのよ。司令官が中身もないのに偉ぶってね。ほら艦娘って従順でしょ? 何か勘違いするよね。結局最後は変に艦娘をえこひいきするからダメになるのよ」
「ほほう、なるほど……」
おや? 今度は次官が応えている。でもそうなのか?
そもそもブラック鎮守府というものがよく分かっていない私に長官は改めて説明する。
「ある意味、艦娘は人間よりも扱いがデリケートなのよ。それをね、人間の勝手な想いで普通の女の子として扱うと、艦娘としての総合能力が著しく下がるのよ。もちろん戦果にはさほど差は出ないから、これは公式なデータではないけど……私には分かるわ。それは徐々に蓄積されてある日突然……」
そこまで聞いて私はハッとした。それは試作型の最期の姿では無いか?
艦娘を単なる兵器、あるいはツールとしてしか扱わない。気に入るのも嫌うのも人間の都合で決めてしまう。もちろんそれは法的にはまったく問題がないのだろう。しかし……艦娘を人間と同等にしか感じられない私には到底、出来ないことだ。
次官も同様に何かを悟ったようだった。そんな私たちの姿を見て長官は軽くうなづくと軽くため息をついた。
ちょっと空気が重くなった。だがその件について彼女はもうそれ以上、何も言わなかった。
そういえば彼女の姉である技術参謀たちが艦娘のケッコンについて法整備をしたことを思い出した。その背後にある計り知れない想いをフッと垣間見たような気持ちになった。
我々人類にとって分からないことだらけの艦娘、そして深海棲艦。それは単なる外的な戦闘に収まらない、もっと大きな流れ、或いは意思のようなものがあるのではないか? そんなことをも感じさせた。
長官は無言で窓を見ている。そこには、たくさんの雨滴が流れていた。人の人生、或いは歴史というものは、ひょっとした窓を流れる水滴に過ぎないのかもしれない。
彼女はおもむろに口を開いた。その表情は少し明るかったが内容はまた重かった。
「私も足が悪いのは海戦だけじゃないの。その後も美保提督時代とか本省に移ってからも何度も暴漢に襲われたのよ」
その言葉は次官も驚いたようだ。今度は彼が口を挟む。
「それは……初耳です」
長官は次官を向いた。
「今さら仕方ないけど……でも本省付きの担当官として貴方も今後は各司令官の警護について、十分に検討する余地があるわね」
次官が頭を下げた。
「はい、検討いたします」
長官は再び私たち……特に秘書艦を見た。
「秘書艦の貴女……」
「はい」
長官は微笑んだ。
「貴女の妹さん……本省のあの作戦参謀よね。彼女と羽黒には実は私、何度も助けられているの。彼女たち、ああ見えて滅法強いから」
そうなんだ……あの作戦参謀、やっぱり強いんだな。私はブルネイの廊下で寝巻き姿で次官に素手で攻撃を仕掛けた姿を思い出した。でも羽黒も強いって……線は細いのに意外だな。
そんな深刻な話にもかかわらず長官はニコニコして秘書艦を見た。この肝っ玉の太さは、やはり立場に比例するのかと思った。長官は改めて私を見る。
「だから貴方も気をつけなさい。安心できるのは鎮守府内に居るときくらいよ。戦場もそうだけど何事も確実に流れが変わったと見極めるまでは常に狙われ続けていることを用心しなさい」
その言葉に私も次官も言葉を失った。
「だからこそ艦娘たちとうまくやっていける貴方は貴重なの。今後、艦娘と仲良くできるかどうか、それが問われる時代に入る。私はそう思っているわ」
これはきっと爆弾発言だな。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。