「大淀さんが二人?」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第21話<数ヶ月前:演習と出撃命令>
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「どう考えても榛名さんの方が進捗が早いよね」
「そうですね」
司令は秘書艦祥高と共に鎮守府の埠頭埠頭にパイプイスを持ち出して双眼鏡で演習の模様を見ていた。
今日は快晴で風も弱く演習にはもってこいのコンディションだ。漣がマメにお茶を取替えに来てくれる。頼むからメイド服で給仕するのは止めて欲しいなと司令は思っていたが……本人が嬉々としてやっているので止めづらかった。
そんな美保湾の沖合いでは、金剛に指導されて榛名が演習をしていた。
「違う!もうっちょっと右ネ!」
「はい!」
司令は頭につけたヘッドセットで艦娘の通信をモニターしている。しかし榛名って一生懸命な感じが良いよなと彼は思っていた。
ちょっと離れた沿岸に近い海域では瑞穂が最上と伊勢の指導を受けていた。共に新人の面倒見が良い二人だったが瑞穂はキャーキャー言うばかりでイマイチ。彼女はあまり最前線向きではないなと司令は思っていた。
この頃は美保鎮守府も艦娘の着任が相次ぐ。その本人に聞くと彼女たちの多くは量産型だった。もう各地に廻されているんだなと司令は思った。美保に着任しただけでも千歳、球磨、鳥海、祥鳳(敬称略)。みんな量産型らしいが中央で気を遣ってくれているのか? 新人ではなく全員が(改)での着任だった。
その日は比叡も美保湾に出て彼女たちを指揮して模擬戦闘訓練を行っていた。艦娘は個々に独特だが、さっきから「クマー」とか「私だって空母です!」とかその他諸々いろんな発言が聞こえていた。今回初めて艦娘の演習風景を間近で見ている司令は改めて不思議な光景だなと思っていた。
とはいえ新しい艦娘たちは即戦力で助かる。同時に司令は嫌な予感がしていた。ここまで事前の底上げをするのは、きっと裏がある。たとえば大規模作戦が近く発令されるだろうと予想されるのだ。
ただ大淀が溜め込んだ資材のお陰で美保でも訓練時間が増えて全体的な錬度が上がっていた。それ以上にブルネイの一件があってからは美保鎮守府も、ようやく一人前の鎮守府として認知されつつあるようだった。それは軍隊としてはベストだが今まで実験部隊ということですり抜けてきた遠征にも駆り出されるのだろう。
そんなことを考えていた司令の後ろから「司令……」と声がした。彼が振り返ると大淀が青い顔をしていた。珍しい。
「どうした?」
聞くまでも無く彼は目を疑った。
「はぁ?」
彼女の後ろに隠れるようにして立っていたのは、もう一人の大淀だった。
「大淀さんが二人?」
祥高も絶句している。
「司令~、ほら!見てください」
長い髪を揺らしながらニコニコして走ってくる赤城も二人居た。それはシュールな光景だった。
……これは、また悪夢か?
大淀は、やや青ざめた表情のまま軍令部からの着任指令書を司令に手渡す。珍しく手が震えている。そこには美保鎮守府新規着任命令書とあり、
(一)大淀
(一)赤城
司令部機能も持つ大淀と、まさかの赤城? しかも共に量産型か? 防衛次官もついにネタ切れでダブリで寄こして来たのか? と司令は思った。
だがこの組み合わせは明らかに実戦を意識している……。
青ざめている大淀と、やや隠れ気味の大淀2号……こっちは性格もおとなしそうだ。一方の量産型の赤城を従えてニコニコしている二人とは、対照的だった。
司令は新しい2人に声をかける。
「私が美保鎮守府の司令だ。よろしく頼む……そうだな、これから一緒に昼食を食べようか?」
「はい」
明るく返事をしたのは赤城ペア。大淀ペアは、うなづくのが精一杯だった。
昼食後、艦隊司令本部より新たな指令が発令された。美保鎮守府への北太平洋前線海域への出撃要請だった。
それを聞いた司令は思わず愚痴った。
「日本海側から出撃か?」
祥高も応える。
「かなり大遠征になりますね」
今までは弱小かつ実験隊的な位置づけで原則的に作戦行動からは除外されていた美保鎮守府だったが、ついに正式に出撃命令が下ったようだ。軍人は戦うのが本分だから命令に従うばかりである。
艦隊司令本部も量産化技術の実用化のめどが立って油断したのかオリジナルの艦娘を美保に廻しすぎだと司令は思っていた。それは他の鎮守府の艦娘たちが減っていることになる。
だが量産化が実用化され各鎮守府には相次いで工廠が設置されていた。この美保にもいずれ建造のための工廠が設置されるのだろう。それが、いつになるか不明だったが。
さて本部の命令と併せて防衛次官からの私信も届いていた。「無理はしなくて良い」との但し書きがあった。彼的には可愛い艦娘が犠牲になるのは忍びないという下心も見え見えだけど本来の任務を越えて私信をくれる気持ちが嬉しいと司令は感じた。
……いや実は彼だけではない。最近何度も作戦参謀や技術参謀も心配して私信をくれていた。それによると今回は複数の鎮守府が合同で戦闘を行う。原則他の鎮守府と入り乱れることはない。艦隊の編成はすべて各鎮守府の提督に一任される。当然、勝つための編成が絶対だ。
遠征の場合は基本的に、すべての経費は艦隊司令部が直接管理する。チェックも厳しいが運用の実務面で不足すると言う心配は不要だ。今回は大淀も二人居るので、後方支援は彼女たちに任せて祥高も一緒に前線司令部へ一緒に行くことになりそうだった。
第一作戦海域では連合艦隊を編成し制海権を奪取する事が求められる。また戦闘の結果によっては新たな資材や資源、そして何よりも仲間を取り戻すことも可能だ。これは量産化実用化に伴って散見されるようになった現象でブルネイでの『復活現象』を連想させるが、あれとは違って『ドロップ』と呼ぶ。
他の鎮守府では、美保よりも前線での戦闘回数が多いため、必然的に『ドロップ』して来る艦娘が多い。しかもなぜか工廠での建造同様、既に所属しているはずの艦娘が重複して『ドロップ』してくることも多い。
司令は、こんなに美保に着任が相次ぐのは、その影響かと思った。
そこで彼はハッと気づいた。
今回着任した榛名や瑞穂は、もしかしたらその『ドロップ』組ではないか? そういえば他所から来たにしては経験値が無さ過ぎる。何となく変な感じはしていた。
ただ本人に改めて確認するのは可哀相な気もするし……でも、別に彼女たちは気にしないのかな? それはまた祥高に相談してみるかと司令は思うのだった。
今回、榛名はまだ戦艦としては練度が低いため出撃しないが赤城2号は最初から練度が高く、二人の赤城が揃って出撃することになった。
それは司令には、ちょっと不安もあったのだが……。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。