「ソウだよ、司令は……」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第26話<轟沈と絆:これが『みほちん』>
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司令は立ち上がった。
「赤城さん、済まなかった」
頭を下げる司令に赤城は慌てた。
「お止めになって下さい司令、誰も司令を責めたりしませんから」
金剛も加勢する。
「ソウだよ、司令は……」
そこで彼女は言葉に詰まって静かに泣き出してしまった。赤城が静かに彼女を背中から抱きしめた。今回の戦闘中、司令もずっと無線機と海戦図を通して逐一、彼女たちの動きを俯瞰していたが、彼女たちの想いは痛いほど伝わってきた。だが無線機だけではどうしても壁のような限界を感じる。
『やはり前線に出ていた者にしか分からない世界があるな』と司令は思った。
青葉が今回の戦闘記録をめくっている。
第一艦隊
比叡(改2)が指揮
赤城(改)→大破。そのまま作戦を強行して轟沈。
鳥海(改)→中破
龍田(改)
漣(改)
山城(改)
第二艦隊
金剛(改)が指揮
那珂(改2)
北上(改2)
長月(改)
吹雪(改)
祥鳳(改)
青葉は顔を上げた。
「今回は第二艦隊は、無傷だったの?」
「……」
金剛は応えなかった。ただ第二艦隊には大きな被害が無かったからこそ彼女はダッシュして司令部に戻ってきたのだろう。
そこで司令は思った。轟沈を出した第一艦隊の比叡の方がショックは大きいかもしれないなと。
「艦隊は、そろそろ戻ったかな?」
司令が聞くと赤城は応える。
「そうですね。帰還の無線が少し前にいくつか入っていました」
司令は金剛に聞いた。
「金剛、比叡は大丈夫か?」
「……」
またしても金剛は無言だった。ただその問いかけの直後、彼女はやや苦渋の表情を浮かべた。
第二艦隊の北上はしっかりしているから仮に金剛が抜けても無事に戻るだろう。ただ第一艦隊の比叡のことが司令も心配になった。
「……ソーリー、テイトク」
金剛が呟くように言った。続けて彼女は英語で言った。
『私の悪いクセだよね。周りが見えなくなってしまって』
すると資料を戻して腕を組んだ青葉が英語で返す。
『貴女の司令を支えようとする気持ちはとても崇高だと思うけどさ。部隊組織は上下だけじゃないんだ。左右の横の繋がりも大切だよ』
記者目線で冷静な青葉らしいけど、それはちょっとキツイ言い方かな? 司令は思った。金剛は目を伏せたまま呟くように英語で言った。
『そうだよね……私いつも先頭を突っ走ってきたから左右には誰も居ないんだヨ。ただ先頭を走る司令か秘書艦くらいしか見えない』
そこで金剛は顔を上げた。
『でも青葉も赤城も、ううん比叡だって、みんな居るんだよね……』
急に日本語に変わる。
「もう私、独りじゃないんだよね」
英語は分からないであろう赤城も、そこまでの雰囲気は伝わったようだ。背中から金剛を抱きかかえるようにしながら言った。
「金剛さん、もう一人で悩むのはやめましょう。戦いは皆でするものでしょう?」
「そうだね」
その時、慌ただしく艦娘たちが戻ってきた。比叡に北上、そして那珂だった。
「お姉さま! 酷いですぅ、置いていくなんて!」
開口一番、小言を言う比叡。その表情は意外と明るかった。北上も言う。
「でもさぁアタシには『後は頼んだ!』って言って走って行ったよ」
「聞いていないもん!」
脹れているのは……那珂だった。
「ねえ司令! どう思いますかぁ? 旗艦が先に帰還……なんちゃって! きゃは!」
「ああ……そうだな」
その妙な明るさにタジタジとなる司令だった。赤城も微笑みながら言う。
「那珂ちゃん許してあげて。金剛さんも反省しているから」
「ふーん」
意外と元気そうな第二艦隊を見て司令は少し安心した。続けて赤城は言った。
「それにあの子……2号は最期に『悔いはないから、司令に有り難うって伝えて』……そう言ってました。きっと深海棲艦になんか、ならないと思う」
そこまで言うと赤城は顔を伏せた。すると金剛が立ち上がり赤城をそっと抱きしめた。
「そうだよね。わたしたちは戦うだけじゃなく戦い切らないとダメだよネ。悔いを残すような戦い方をしたらダメね」
その言葉に、その場に居る全員が何かを悟らされる心地だった。
やがて秘書艦が戻ってきた。
「司令、全員戻り……あ」
そこまで言いかけて彼女は言葉を止めた。だが赤城は顔を上げて微笑んだ。
「祥高さん『全員』無事、帰還ですね」
一瞬、考えた秘書艦だったが、直ぐに微笑んだ。
「そうですね。全員無事に帰還。負傷した者は直ぐに入渠および休息に入ります」
司令もうなづいた。
「ああ、ご苦労。みんな有り難う」
司令が敬礼をすると同時に、その場に居た艦娘たち、そしてごく自然に指令室に残っていたスタッフも改めて敬礼をした。一人のスタッフが先輩に呟いた。
「美保鎮守府って、独特ですけど良い感じですね」
先輩は応えた。
「ああ、決して優秀ではないが壁が無いというか、お互いの結びつきの強さは感じるな」
後輩は言う。
「それって絆ですか?」
先輩は笑う。
「そうだな……そうとも言うか」
後輩は続ける。
「でもこういう関係があれば轟沈しても心配ないでしょうね」
後輩の言葉にちょっと驚いた表情の先輩スタッフ。やがて腕を組んで続ける。
「……そうだな。美保は小さいことが逆に強みなんだろう。大きい鎮守府になるとどうしても目が行き届かなくなって寂しい想いを抱く艦娘が少なくない。それがいわゆるブラック鎮守府なんだ。結果的に敵を量産しているのは我々だと陰口を叩かれる一因だよな」
後輩も肩をすくめた。
「でもボクも一回、視察に行きたいですね、美保」
「今度、一緒に行って見るか?」
先輩は笑った。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。