「提督……行かないで」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第33話<当日夕刻:ロビー騒動>(改)
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神通からの緊急無線を受けた秘書艦は直ぐに司令に伝えた。長官を空軍基地に送った電の軍用車がエンストしたらしいと。
「どうされますか? 青葉か他の艦娘に行かせましょうか」
「いや……私が出よう」
司令はすぐに立ち上がる。
「もう一台は直ぐ出せるかな?」
「はい、昼の戻りもありましたし夕張さんがスタンバイしています」
片手を上げると司令はロビーへ降りた。だが青葉や金剛など神通の無線を傍受できる艦娘が司令の前に立ちふさがった。
「どうした?」
ロビーで立ち止まる司令。金剛は不安そうな顔をして訴える。
「提督……行かないで」
珍しく日本語で……司令は困惑する。
「どうしたんだ? 単なる送りだよ……天気は悪いけど」
金剛は頭を振る。
「違う、今日だけは行っちゃダメ」
いつもの能天気な金剛とは違って鬼気迫る雰囲気に司令はちょっと引いた。
そのとき誰かが司令の腕をつかんだ。
「うわ!……ビックリした」
振り返ると寛代だった。彼女は無言で頭を振る。
「おいおい、どうしたんだ? みんな……」
すると青葉が近づいてきて言う。
「司令が出なくても……私で構わなければ……」
すると2階から降りてきた秘書艦が言う。
「いえ、今日は司令に出て頂きます。これは命令です」
その言葉に青葉も引き下がるが、金剛だけは抵抗した。
「No!」
そう言うなり彼女は司令の背中に張り付いた。危うく倒れかけた司令は踏ん張った。
普段だったら笑いが起きそうな場面ではあるが金剛の真剣さに誰も笑うどころではなかった。
「おお……お姉さま?」
比叡もどうして良いのか分からずオロオロする。
「比叡さん、手伝ってください。時間がありません!」
秘書艦に言われた比叡は、お姉さまゴメンナサイと言いながら秘書艦と一緒に金剛を引き剥がしに掛かる。
「Nooo!」
結局青葉も手伝って、やっと金剛が剥がれた。さすがに剥がれた彼女は恨めしそうな目をしながらも抵抗するのは諦めたようだった。
司令はそんな金剛の肩に手を当てて言った。
「有り難うな、金剛……」
「……」
彼女はまだ口惜しそうに唇をへの字にして司令を見ている。ただ皆がいる手前か涙を必死に堪えているようだ。それが彼女のせめてものプライドなのだろう。
司令は顔を上げてロビーに居る艦娘たちに言った。
「みんな……本当に君たちには感謝している。少なくとも美保の艦娘は全員、私にとっては家族以上の存在だよ」
それは司令からの最大の賛辞だろう。数人の艦娘たちは感極まっていた。ただそれでも送りに出掛けようとする司令に向かって青葉は念を押すように言った。
「司令……でも、本当によろしいのですか?」
彼は制帽を被りながら言った。
「ああ『兵士とは死へ向けた行軍だ』ともいうけどね。でも大丈夫だ。私は絶対に帰って来るから……」
そこでふと立ち止まった司令は再び皆を振り返る。
「そう、這ってでもね」
青葉は反論しようと思ったが止めた。時間がないのは事実だから。
車庫へ向かう司令の後姿を見送りながら彼女は横須賀へ行った日向を思い出していた。あの人ならきっと無言で運転を代わるか、あるいは強引にでも軍用車の助手席に収まっていただろう。
でも自分は皆が居る場では理性が邪魔して、とてもそこまで出来ない。そんな点で彼女にとっては金剛は羨ましかった。
「はあ」
彼女は涙を堪えてジッと立ち尽くす金剛を見ながらため息をついた。もし自分が艦娘でなかったらここまで葛藤しなかっただろう……そんなことも考えるのだった。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。