「やはり陸のことは陸軍ですね」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第35話<境港市街戦:陸橋付近>
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雨は断続的に降ったり止んだりしている。何をするにも最悪だ。
そんな中、交差点に現れた敵の装甲車は、なおも陸橋に近づきながら発砲を繰り返す。前は戦車だったけど今度は装甲車か?
司令が思う間もなく軍用車の近くに何発も着弾し、その度に地面が揺れてコンクリートやら土砂が飛び散る。巻き込まれた周りの一般車両の人たちも車から出るに出られず立ち往生している。
それを見ながら神通は言った。
「取りあえずこの車はまだ動きますから、陸橋の反対側に逃げます」
「ああ」
さっき窓からの射撃で吹き込んだ雨のため彼女は半身が少し濡れていて艶(なまめ)かしい。だが妄想に耽っている暇はない。
それ以前に激しい運転で彼女も汗をかいている。雨で濡れた服も直ぐに乾いてしまいそうな熱気だ。神通はゆっくりとギアを入れると立ち往生している一般車の間を縫って走り始める。
なおも敵の砲撃は続いているが意外と砲手の腕は悪いのか装甲車の性能が悪いのか着弾はかなりズレている。
やがて軍用車は陸橋を乗り越えて反対側へと走り出した。そういえばさっきこの陸橋で2台ほど大破させたなと司令が思っていると、まず頂上で大破している一台を確認した。
そこで彼が気付いたのは陸橋の反対側には既に陸軍や憲兵が来ていたことだ。彼らは手際よく車両の誘導や整理、そして大破した敵の車両に乗っていたシナ人らしき人物を連行していた。
その光景を見て司令はおや? と思った。以前、米子駅から鎮守府まで乗せてくれたあの親切な憲兵も雨の中で作業をしていたのだ。彼は司令の軍用車をチラッと見て軽く敬礼をした。目ざといと言うか相変わらず人懐っこい人だなと司令は思った。
神通もそれを見ながら司令に言った。
「やはり陸のことは陸軍ですね」
「そうだね」
陸橋を降りると神通はハンドルを右に回転させ、陸橋の側道から島根半島方向の路地へ逃げ込もうとした。
だが陸橋の側道に通ずる橋脚の陰から、もう一台の敵の装甲車が現れた。こちらも驚いたが相手も隠れていて予想外だったのか、お互い一瞬、凍りついたような感覚になった。
咄嗟に神通はアクセルをベタ踏みする。敵の脇をすり抜けようとしたようだ。だが敵も慌てたように機銃を発砲する。少し薄暗い陸橋の下で発砲の火花が妙に目立つ。軍用車の脇に、かすめるように次々と銃弾が飛んでくる。その光跡はまるで花火のようにキレイだった。
神通は一瞬、躊躇しブレーキを踏む。軍用車は少しスリップして停車。だが銃弾が運転席側の天井をかすめてゴンといった感じの鈍い音が車内に反響する。司令がまずいと思った次の瞬間、敵の軍用車の真横から見覚えのある軍用車が猛スピードで突っ込んできた。
『電?』
司令と神通が同時に叫んだ瞬間、ガシャンと言う金属音と共に敵の装甲車の向きが強制的に歪められる。勢いで手元が狂ったのか敵の機銃は軍用車とは全く関係の無い陸橋の土留めに着弾して火花やコンクリの破片が飛び散る。
「境港の地図を覚えて置いてよかったのです」
突然、電の無線が軍用車の無線機に入る。そうか艦娘の無線の周波数と合わせてあるのか。だが電、気持ちは嬉しいが、ぶつかっただけでは後が続かないぞ……おまけに電は伊勢や神通ほどの運転技術は無いだろう。司令がそう思っていると案の定、敵の装甲車は俯角を取って電の車両に機銃の狙いを定める。
「電! 逃げてっ」
叫ぶ神通。だが次の瞬間、敵の装甲車の機銃が電の軍用車目がけて火を噴いた。
「伏せろっ、電!」
司令が叫ぶと同時に無線機からは叫び声のような悲鳴が聞こえてくる。電の軍用車の天井が瞬く間に蜂の巣になっていく。反射的に運転席から車外に飛び出した神通はシート脇に押し込んでいたマシンガンを取り出すと敵の装甲車目がけて叫びながら乱射する。
「電チャン!」
その時無線機からは電のかすれるような声。
「逃げて……早く」
良かった、まだ生きていた……司令が思うそばから敵の装甲車は神通の攻撃に気が付き、一旦電への砲撃を中止すると今度は銃口を神通に向ける。一瞬顔面蒼白になる彼女。
「伏せろ!」
司令が叫ぶと同時に反射的に地面に伏せた神通。直ぐ敵の機銃掃射が彼女を襲う。
「神通!」
思わず車外に飛び出す司令。無意味と思いつつ次官から貰った短銃を装甲車に向けて発砲するが……パンパンと言う乾燥した音。豆鉄砲とはこのことか? 悔しさにまみれる司令。神通は大丈夫か?
その時、激しいエンジンの回転音がして電の軍用車がボロボロになりつつも再び敵の装甲車に体当たりをする。見ると電の車の天井は半分めくれたようになり明らかに怪我をして血まみれになっている電が必死にアクセルを踏んでいる姿が見える。
「もう止めろ、電!」
司令は呻くように呟く。再度、機銃の銃口を電に向けた装甲車は改めて機銃を電の車へ連射する。だが電の車はギリギリ相手の機銃の死角に潜り込んでいるようで天井を通り抜けて反対側の地面に火花が散っている。
「電チャン!」
司令が振り返ると若干かすり傷は負っているようだが神通が道路で上体を上げた。良かった無事だったか。彼はすぐに駆け寄って神通に手を貸した。
「大丈夫です……少し足を痛めた程度です」
力なく微笑む彼女。それでも神通の片足からは血が流れていた。そうか艦娘も赤い血が流れているのかと司令は思った。
なおも装甲車と力比べをしている電に押されて敵の車体が少しずつ動かされている。空回りする軍用車の車輪から白い煙が立ち上がっている。司令に肩を抱きかかえられながら立ち上がった神通が呟くように言う。
「電チャン……」
敵は機銃を撃ち続けているが、もはや電には当たらない。やがて電は敵の装甲車を強引に押し続けて側道脇の畑にまで来た。
車輪が道路から外れたと思った次の瞬間、空目がけて機銃を撃ちながら畑に転落していく装甲車。ズズンと言う地響きがする。だが押した勢いで電の軍用車も一緒に落ちる。
「電!」
司令は叫んだ。装甲車よりも軽い軍用車は転落したあと、一回転半ほど畑の中でグルグル回ってから止まった。
「電……?」
一瞬声をかけた神通は、直ぐに明るい表情で司令を振り返った。
「電チャン、ちょっと負傷していますけど無事のようです」
司令は安堵した。
陸橋脇の側道には数台の陸軍の軍用車両と装甲車がやって来る。それを見て改めてホッとした二人だった。
だが次の瞬間、陸軍の先頭車両が突然、何かに弾き飛ばされたようにしてひっくり返った。
「あっ」
神通が叫ぶと、路地からもう一台の装甲車が出てきた。なんてしつこい奴らだ。陸軍の車列は先頭車両が邪魔をして身動きが取れなくなった。
「司令、早くお車へ!」
神通が叫ぶ間もなく新手の装甲車は二人目がけて機銃を撃ってくる。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。