「……やはり金剛かな?」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第39話<最期の戦い:刺客と爆音>
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これ見よがしにエンジンをふかすと霞の軍用車は大通りへと抜けていく。通りを曲がってしばらくすると、すぐに敵らしき車に追いかけられて行ったようだ。
「はあ……」
思わず司令はため息をついた。急に荒野に投げ出されたような孤独感を覚えた。そういえば着任以来、ほとんど艦娘と一緒だったなと思った。
軽く制帽を持ち上げて被りなおすと彼は歩き始めた。今居る場所は実家の近くだからほとんど岸壁に近い。15分も歩けば海に出るだろう。
まだ夕食時であるが、この時間帯になると表通りから入ったこの辺りは人も車もほとんど来ない。司令は歩きながら考えた。電や神通、あるいは夕張などは多少温度差はあるとしても、いずれも一生懸命さがにじみ出ている。ところが霞は、どちらかと言うと冷静だ。悪く言うと醒めている印象を受ける。
大淀も含めた事務方ならそれでも良いのだろう。ただ艦娘である以上は有事の際には前線に出る必要がある。秘書艦もブルネイで前線に出た。また以前、境水道付近に敵が来た際にも、あの大淀が自ら部隊を率いて出たくらいだからな。
だが霞は自尊心の高そうな子だから自分から誰かに相談するとか自分から心を開くことはしなかったのだろう。何かのトラウマか真面目過ぎるゆえの葛藤。誰かに聞いてもらいたいが言い出せない悩みがあったのか?
彼女は司令部に居てずっと孤独だったのか? もしそうなら申し訳ない。仮にそうなら、それは何となく分かると司令は思った。彼もそんな部分はあるから。あの大井のように霞もいろいろ考えていたのだろう。ただその気持ちを誰にも打ち明けられなかった。彼女が他の駆逐艦と交流している姿もあまり見なかったな。
そうこうしているうちに商店街のある通りに出た。ここは時々自動車が通り抜ける。そういえばここは一方通行だ。日向や夕立と逃げ込んだな……そんなことを思い出しながら彼は通りを横断してハタと気づいた。
秘書艦は知ってるだろうか?
司令が軍用車を降りて歩いて岸壁に向かっていること。霞が囮になっていること。
司令は艦娘ではないから無線機は持っていない。連絡手段が無い……どこかに公衆電話でもあれば別だが、そもそも彼は美保鎮守府の電話番号を覚えていなかった。いつも艦娘が連絡してくれるから。
やれやれ……彼は苦笑した。鎮守府に戻ったら私からも秘書艦に謝って叱れれば済むか。彼は肩をすくめた。
そして裏路地に入ったときだった。急に異様は雰囲気……殺気のようなものを感じた。見ると路地の反対側に妙な雰囲気の人間が居た。
「シナ……ではない。刺客か」
彼が呟くと相手も軽くうなづく。司令は鳥肌が立った。やみ雲に襲って来ない相手と言うのはむしろ厄介だ。そういう連中は明確な思想や目的観に徹して攻撃してくる……いうなれば十字軍みたいな集団だ。無差別ではないが下手に説得して通じる相手ではない。
やれやれ……この期に及んで厄介な敵……結局人間相手か。司令は思った。
お互いに今、間合いを取っている。彼は日向を思い出した。彼自身は短銃を持ってはいるが、それを取り出す間に相手は襲ってくるだろうか。
だが敵はゆっくりと体勢を整えると腰の辺りから刃物を取り出した。なるほど……丸腰の相手は襲わないと言うことか。それを悟った司令もまた、ゆっくりと銃を取り出した。
敵は刃物を構えて祈るような格好をした。司令はやはり日向を連想した。
ああ、日向か龍田さん相手に格闘技の練習でもしておけば良かったな……彼がそう思った次の瞬間、敵は刃物を持って襲い掛かって来た。
迷わず発砲する司令。命中したはずだが敵は怯むことなく突っ込んでくる。さすが暗殺者。彼は銃の即射性……神通の言葉を思い出して銃を連射した。相手も武器は持っているとはいえ刃物相手に銃とはフェアじゃないなと彼は一瞬罪悪感を覚えた。
数発の銃弾を受けた敵は一瞬立ち止まった。彼の体からは血が流れている。ああグロい。だが彼はやや長い刃物をもう一度振りかざして襲って来た。
なんてタフな奴……当然か。だが敵もそれなりにダメージを受けたらしく動きは鈍い。振り下ろされた刃物を避けた司令は必死に相手の腕をつかんだ。
お互いに武器を持ちながらも取っ組み合いながら均衡した。敵の顔はマスクされているが瞳が見えた……やはり根っからの悪人ではない。妙に澄んだ瞳……ただ主義思想が違うだけなのだろう。そう考えた司令。
撃たれながらもこの怪力……銃が無ければ一発で殺られていたな。彼がそう思った瞬間、突然岸壁の方から爆音が響いた。
艦娘に何かあったか?
その気の緩みが二人の均衡を崩す。相手が有利な体制になり、司令の銃が手から落ちる。すぐさま刃物が振り下ろされるが間一髪で司令は避ける。
その弾みで敵は刃物を司令の背後にあった石塀のスキマに挟んでしまう。一瞬抜けなくなった。怯む間もなく司令は敵に廻し蹴りを入れた。相手は暗殺者だから司令ごときの蹴りでは致命的ではない。それでも、ある程度の効果はあったようだ。
彼は刃物を手放した状態で反対側によろめく。司令が地面に落ちた銃をチラッと見ると同時に敵は体勢を整えて司令に突進してくる。
そのとき再び岸壁から爆音……何が起こっているのか?
考える間も無く司令は再び敵と取っ組み合いになる。今度はお互いに素手だ。その間にも立て続けに爆音……境水道で戦闘が行われているようだ。
そっちも気になる……
そのとき司令は『おや』と思った。変な臭い。火薬のような……まさか境水道の爆発の匂いがもう漂ってきたのか? いや、雨上がりで風は無い。
ハッとする司令。ニタリと笑う刺客。まさかと思った司令は日向のように脚で思いっきり相手を蹴飛ばした。
次の瞬間だった。
相手が爆発した。司令は目が眩むと同時に、それが突然起きたたた身構える間もなく爆風で吹き飛ばされた。それに呼応するように境水道からは何度も爆音が響いていた。遠のく意識の中で彼は艦娘を心配していた。
「境水道に居るのは……やはり金剛かな?」
彼は彼女のかん高い声を思い出した。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。