マイ「艦これ」(第9部)「提督暗殺」   作:しろっこ

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刺客にやられた衝撃で混乱する提督。だがもっと困惑することが彼を襲う。


第40話<最期の戦い:艦娘の呼び声>

『皆待っているから』

 

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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)

:第40話<最期の戦い:艦娘の呼び声>

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 吹き飛ばされたショックで意識が遠のく司令。その脳裏に金剛の声が響く。

 

『テイトクは大バカ者ネ!』

 

アイツは相変わらずだな……彼は無意識に苦笑いして思わず答えた。

 

「ああ、どうせバカ者だよ!」

 

そこで彼の意識が戻った。気を失っていたのは一瞬だけのようだ。何となく金剛の幻聴に助けられた心地だった。

 

彼は落ち着いて周りを確認する。暗殺者は自爆して粉々……辺りが夕方で暗くて良かったとつくづく思った。自爆した辺り一面には、あまり言葉では表現したくない物がたくさん散乱している。まさに修羅場……地獄絵図だ。明日この付近は大騒ぎだろうな。

 

何となく司令の服も泥や血糊のようなものがベットリと……ああ、グロい。

 

彼も艦娘が実用化されてから前線に出る機会が少なくなった。だが海軍と言えども戦場に入れば修羅場もある。つくづくこれが艦娘でなくて本当に良かったと思う。想像するのもおぞましい。

 

 彼にとっての艦娘は家族以上の存在だった。だから彼女たちが傷つく姿は二度と見たくはなかった。たとえそれが心の傷であっても同様だ。霞や大井の如く心に傷を負わせることが無いように。

 

艦娘が外的に日本を護るのなら私は艦娘の心を護ろう。彼は改めてそう決意するのだった。

 

 そのとき彼は急に艦娘の叫び声を感じた。

 

それはまるで海上で待機していた艦娘が急に深海棲艦の不意撃ちを受けたような慌て振りだ……これは何だろう。幻聴か?

 

 私は爆発のショックで頭でも打ったのだろうか? 

 

彼は改めて落ち着いて自分の体の様子を確認する。打撲傷はあるようだが外傷は特に無い。頭部の痛みも無いから特に衝撃も受けては居ないようだ。

 

だが再び彼の脳裏には艦娘の叫びが聞こえ始める。今度は、お互いに励ますように回避させたり攻撃目標を指示している。それは戦闘中の声らしい。

 

 彼が艦娘の声に耳を傾けていると突然、かん高い声がカットインしてくる。

 

『テイトク、絶対に死んじゃダメだからネ!』

 

はあ? 彼は困惑した。何だこれは……リアルな幻聴だな。

 

『テイトク……早く海へ出て来てっ、プリーズ!』

 

今度は明らかに彼を名指しで発せられた金剛の声……もともと霊感のような感性など全く無い司令にとって、この現象は理解しがたい症状だった。

 

ついに私もアタマがおかしくなったに違いない。まずいな。人は死期が近くなると幻を見聞きすると言う。

 

だが『金剛』の言うとおり今は海へ出ることが先だ。彼は歩き出そうとして足を痛めたことに気付いた。やれやれアタマではなく脚を負傷したか。

 

境水道では今もなお断続的な爆発音が続く。一方は明らかに艦娘だが相手は深海棲艦だろうか? 或いはシナかその他のどこかだろうか?

 

先ほどから聞こえる幻聴によれば状況は五分五分のように感じられた。何となく彼はブルネイ沖の戦いを連想した。だがこれは何の声だ?

 

 彼は無線機は持っていない。

 

必死に岸壁を目指して必死で歩く司令。片足が痛いのでまともに歩けない。もしまた刺客に襲われたら今度はヤバイな。

 

『テイトク……負けないで!』

 

まただ。さっきから何だろう? あまりにもタイムリーな幻聴だ。

 

 ようやく最後の路地を過ぎて、ついに岸壁と船が見えた。

 

「ああ……岸壁が見える」

 

彼は呟く。

 

『良かった……ヨカッタよ、テイトク』

 

いい加減にして欲しいな。この幻聴。ちょっとウザい。

 

 だが次の瞬間、彼は再び硬直した。最悪の事態……目の前に第二の刺客が現れたのだ。さっきの奴とはちょっと雰囲気が違う。何だろうか? あまり筋肉質ではなく、むしろ紳士のような感じだ。

 

手には何か武器のようなものを持っている。そして当然だが相手は彼が海へ出るのを阻むつもりらしい。

 

ウッカリしていた。こちらへ向かうときに短銃を拾っておくべきだった。相手が手にしているものは銃だろうか……手を上げて降伏したら助かるだろうか? そんなことを司令が考えていると、前の奴が何か目配せらしき動作をした。ハッと気がついて彼が振り向くと後ろにも似たような奴が現れた。挟み撃ちだ。

 

「もう駄目か」

 

海軍の指揮官としては下手に降伏はできない。今、境水道で戦っている美保鎮守の艦娘たちの手前もある。指揮官として下手に行動して前線兵士の士気の低下を招くことは避けるべきだ。

 

ああ……どうせ散るなら正々堂々、彼女たちにも軍神にも恥ずかしくないように散ろう。彼はそう思って腹をくくった。

 

『テイトクぅ……早く出て来て! 皆待っているからサ』

 

恐らくまだ戦闘中らしい金剛の声が頭の中で響く。分かっているが……悪いな金剛。もうお別れだ。彼はそう思った。

そして、やや片足が不自由ではあったが敵に向かって堂々と前進を始めた。

 

 敵は特に進んで攻撃はして来ないようだった。ただ彼が攻撃範囲に来るのを待っているらしい。やがて相手の攻撃範囲に達した頃、前の敵と後ろの敵が司令に接近し何かの武器を彼の身体に押し当てた。一瞬、衝撃が彼を襲う。

 

そこで彼の意識は途絶え、その体は岩壁を目前にして地面に倒れた。

 

その瞬間、金剛や寛代、青葉を筆頭に彼と縁の深い艦娘たちには何かが途切れた感覚が伝わった。

 

一斉に顔を上げたり、周囲を見回す艦娘たちだった。

 

ただその感覚には、あまり深刻なイメージが無かった。それが一体何を意味するのか?

彼女たちは全く悟らぬまま時が過ぎた。

 

 初夏の雨上がりの夕刻、境港の岩壁手前にて美保鎮守府提督、暗殺される。享年33歳。

 

 なお、物語はまだ続く。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。
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