「予定より少し遅れているぞ!」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第41話<最期の戦い:搬送>
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既にあたりは真っ暗になっている。境港の岸壁では砲声を背景に二人の男が周りを気にしつつ美保の司令の身体を運び出す準備をしていた。路地には既に無地のライトバンが停まり荷台が開いている。
「急げ」
「ハッ」
境水道からは相変わらず艦娘と深海棲艦と思われる敵の砲声が響く。時おり爆音と共に島根半島が砲火に染まってその姿を浮かび上がらせる。岸壁一帯にはサイレンが鳴り憲兵や班長が住民に避難を呼びかけていた。
数発の流れ弾が岸壁沿いの建物に降り注いぎ振動と共に火の手が上がる。消防車や消防団が走り回って消火活動を開始している。
路地ではボスらしき男が叫ぶ。
「積み込み完了! 直ぐ出せ」
「了解!」
軽く敬礼した手下の男は運転席へ。ボスは助手席に座る。周囲では人々が逃げ惑い町中が混乱している。ライトバンは旧市街の路地を走り抜けると幹線道路へと向かう。
やがて数分も走ると直ぐに幹線道路に出た。車は左折して東方向へ向かう。助手席のボスはタバコを取り出して呟くように言った。
「……最期は、堂々としてたな」
ハンドルを握りながら手下は言った。
「いろいろ言われてましたが美保鎮守府の司令官としては十分、立派な最期だったと言えますね」
タバコに火をつけたボスは、ため息をついて応えた。
「そうだな。最期まで海軍として誇りを失わなかった彼の姿は立派だ」
車は431号線に入る。手下は境水道大橋へと進路を取ると再び言った。
「まさか無いとは思いましたけど……万が一命乞いされたらどうしようかとビクビクでしたよ」
ボスは灰を捨てながら言う。
「フフ……もしそんな恥ずかしいことをする奴だったらオレは即刻……」
そのときボスの腕時計のアラームがなる。チラッと見た彼は少し慌てた。
「予定より少し遅れている! 時間がないぞ」
そのとき手下は「あっ」と小さく叫ぶ。ボスもその理由……大橋の入口ゲートが境水道での戦闘のため通行止めになっていることを視認した。
手下は少し恐れるようにしながら確認してくる。
「突破……ですね?」
「当たり前だ」
直ぐに決意したような手下はシフトチェンジするとアクセルを踏み込む。簡易ゲートの前で警告灯を振っていた係員が慌てて逃げ出す。バキッという鈍い音と共にゲートが飛び散りライトバンは境水道の戦闘を眼下に見下ろしながら高速で大橋を渡っていく。手下は戦火をチラ見しながら『このくらいで潰れるなよ』と思っていた。
無言でタバコを吸っている助手席のボスも恐らくは同じことを考えていたに違いない。
やがて大橋を渡り切った車は島根半島で大きくカーブを曲がると国道のT字路で出雲方面へと進路を変える。少し走ってから直ぐに手下は山道へとハンドルをまわす。後は道なりだ。
ようやくホッとした二人。ボスは吸殻を処理しながら手下に言った。
「お前、車を取りに行く途中で短銃を拾っただろう?」
「あ……」
ハンドルを握りながら手下は苦笑した。
「バレてましたか?」
「オレを舐めるなよ……まだお前らに負けるつもりはない」
手下は恥ずかしそうな表情をする。ボスは続ける。
「何だ? 証拠隠滅か?」
手下は運転しながら応える。
「それもありますけど……」
手下は答えに躊躇している。ボスは少し笑いながら言った。
「良いよ……オレはお前が何をしようと責めるつもりはない。そもそもオレは軍人ではないし、お前だって今この瞬間は独立した立場だ。自分で最善だと思った判断をすれば良いさ」
「ハッ」
ボスはバックミラーでチラッと司令の身体を見て言った。
「……なるほどね」
手下も軽くうなづいた。
「気持ちです」
「……」
ボスは頭の後ろに手を組んで言った。
「とにかく急げ」
「ハッ」
ライトバンはさらに加速しつつ島根半島の山間部を突き進んで行った。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。