「大淀さん!」
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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)
:第42話<最期の戦い:司令部の葛藤>
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美保鎮守府の作戦指令室では秘書艦の祥高と補佐艦の大淀と同2号が詰めていた。司令を乗せたはずの霞はまだ戻らず先に夕張が鎮守府に戻った。霞は司令を乗せたままどこかを走っていることしか分からない。
何度か無線で呼び出しをかけるが霞からの応答は無い。司令は無事なのかそれとも無線に出ることもままならないのか?
司令を出迎えるべく境水道や美保湾に展開した金剛姉妹や伊勢、扶桑姉妹からも司令確認の報告は入らない。霞は何処を走っているのか?
やがて境水道に達した金剛たちの救援部隊は大破状態だった敵の上陸艇を撃沈した上で、その場に展開していた敵駆逐艦と交戦状態に入った。境水道の敵は金剛たちを待ち伏せしていた。それは無線傍受を許した秘書艦の作戦の立案ミスでもあった。
ただ解せないのは数時間前から美保や境水道に展開していた敵の上陸艇がなぜ1隻を残してすべて轟沈していたのかということだ。悪天候ぐらいで沈むはずは無い。
一体誰が? 陸軍か? だが陸軍には敵に対抗できる火力は無いはず……もしかしたら陸軍は強力な対艦ミサイルでも開発したのだろうか?
祥高はやきもきしていた。焦っても仕方が無いのだが情報が足りない。
青葉が先ほどから主体的に指令室に来て部屋の隅に設けられた特殊無線傍受端末をいじっている。その脇では寛代が外部無線および外部アンテナと自分を接続して、その他の情報が拾えないか検索を繰り返している。
この二人は恐らく半分は指令室に入り浸る目的があるだろう。それでも自発的に動いてくれるのは助かる。
逆に大淀さんは2号が着てからちょっと落ち着かないと祥高は思った。特に今は霞が音信不通状態だから、なおさら焦っているのかも知れない。
とはいえ司令部は人体で言えば頭脳だ。感情的なことで任務の遂行が左右されてはいけない。
「祥高さん、すみません」
大淀が秘書艦に声をかける。
「美保湾と境水道に展開していた敵の艦船ですが……」
祥高は振り返る。
「どうしました?」
メモを見ながら大淀は言う。
「まず敵の上陸艇です。美保湾と境水道に2隻ずつ居たはずですが私たちの部隊が展開する頃には美保湾では全滅。そして境水道では1隻が既に轟沈、もう1隻は大破していました」
祥高は思った。美保湾の敵には距離もあるため陸軍は手出しはできない。そこが全滅したのか……境水道は島根半島もあるので、まだ陸軍が挟み撃ちで攻撃した可能性はある……黙って聞いていると大淀が続ける。
「上陸艇以外に境水道には敵の駆逐艦も多数展開していて金剛さんたちと交戦状態になりました。駆逐艦は撃退したのですが境水道にはさらに敵の潜水艦が数隻潜んでいたようで比叡さんが魚雷を受けて中破。続けて金剛さんも狙われたのですが敵の潜水艦が謎の爆発……状況から考えると上陸艇を失って焦って自爆した可能性もありますが……」
そこで祥高が制止した。
「大淀さん個人の分析ではなく事実だけ伝えてください。また報告は同じことは繰り返さず要点だけを簡潔にお願いします」
釘を刺された大淀は慌てたらしく、あたふたした。
「す、済みません……」
すると壁の端末に向かっていた大淀2号が振り返る。
「秘書艦は、ご存知でしょうが先ほどから司令が消息不明です」
祥高は2号を向いて応えた。
「知っています」
2号は軽くうなづくと続ける。
「第三部隊が最上を中心に探照灯と索敵機を飛ばして岸壁をくまなく探しているのですが司令は何処にも居ません。境水道で戦闘が始まったため海上や上空からの索敵も限界がありますが……実は陸軍からの協力の打診があったためこれを受諾。一緒に探索してもらっていますが……」
ここで2号も詰まった。
「どうしました?」
祥高がその先を促すと今度は大淀が応える。
「岸壁に近いところで多数の散乱した遺体が……いえ、司令かどうかは分かりませんが……」
ここで秘書艦は机を叩いた。
「大淀さん!」
1号はビクッとして直ぐに頭を下げた。
「はっ……済みません」
事実だけを……と、自分に言い聞かせるように呟く大淀。
そのとき陸軍の無線を傍受したらしく青葉と寛代が慌ただしくなる。青葉が振り返りつつ叫んだ。
「霞ちゃんは敵に追われていたようですが陸軍の応援で制圧されたようです。なお霞ちゃんの車両は431号線で信号機と接触して大破、自走不可です。司令は同乗していません。陸軍からは怪我をした霞ちゃんをいったん陸軍病院へ収容して宜しいですか? ……との確認無線が来ています」
祥高は応える。
「青葉さん、陸軍には直ぐ返事……病院への搬送を依頼して下さい」
青葉は軽く敬礼。
「了解! あと大破した美保の車両は陸軍が搬送して下さるそうです」
青葉の返事のあとで秘書艦は、ため息をついた。今回は陸軍に恩を受けてばかりで海軍としてはちょっと悔しい思いだった。それでも彼女はテーブルのお茶を含んだ後で呟くように言った。
「結局、今の今まで霞からは何も言って来なかったのですか? 大破するまで」
記録を取っている大淀2号が直ぐに答える。
「はい……」
それを受けて秘書艦は大淀に言った。
「大淀さん、霞ちゃんは報告をし無さ過ぎます。しっかり指導して下さい」
ややイラついたように言う祥高。大淀は泣き出しそうだった。すると後ろ向きで他の無線傍受や受信記録の整理をしていた大淀2号が振り返って大淀の手を握った。大淀は応えた。
「ありがとう……うん、もう大丈夫だから」
それを見ていた青葉は呟く。
「ああ……私も助手が欲しいなあ。期待していた秋雲は蒸発しちゃうし」
それを聞いた祥高は表情を変えずに黙っていた。
青葉はそんな秘書艦をチラッと見た。彼女は時おりステルスモードよりもさらに特殊な周波数の無線を受信しているらしい。しばしば目を閉じて何かに聞き耳を立てる……そのしぐさは寛代も同様だった。
秘書艦と二人でほぼ同じタイミングで耳を傾けている光景は興味深い……だがそれに気付いているのは青葉だけだった。
情報知りたがり屋の彼女は、ふと『私もあの無線……欲しいな』と思うのだった。すると急に秘書艦が青葉に言った。
「青葉さん」
「はひ!」
突然指名されて驚く青葉。
「貴女に任務です」
「はい!」
何となく面白い気配……青葉はワクワクした。
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。