マイ「艦これ」(第9部)「提督暗殺」   作:しろっこ

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軍用車が停車する。慌てる電。しかし……。


第6話<電と神通:故障>

「……はい、エンストで」

 

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オトナ「艦これ」「提督暗殺」(みほ9ん)

:第6話<電と神通:故障>

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 踏み切り前でそれは起こった。電は思わず呟いた。

 

「あれ?」

 

電が運転していた軍用車のエンジンが止まった。おかしい。クラッチを踏み間違えたハズはないんだけど。

 

「どうした?」

 

本省の防衛次官が後ろから声をかける。

 

「すみません……エンジンが止まってしまったので」

 

そう言いながら電は何度も再始動を試みるが反応がない。

 

「珍しいわね……」

 

後ろの『女王』が呟くように言った。もちろん電には、その呼称は大げさで相手に失礼に当たることは分かっていた。しかし心の中ではつい、そう称してしまうのだった。他の艦娘たちもそう呼んでいたから。

 

「あなたがこの車のメンテもしているの?」

 

『女王』が聞いてくる。

 

「は、はい! 始動しないので、エンジンを見て参りますなのです」

 

慌てすぎて変な日本語になった。恐らく司令よりも次官よりも、ずっと上の立場に居る『女王』に声をかけられて、つい焦ってしまう電だった。

 

助手席に居た神通が口を開いた。

 

「電ちゃん、点検は5分で終わらせなさい。それで無理なら直ぐに言って。私が秘書艦に連絡するから」

「はい」

 

軽く敬礼しながら電は自分一人だったら慌てて、パニックになっていただろうなと思った。すぐにボンネットのロックを解除すると、傘とライトを片手に豪雨が降り付ける車外へと出て行った。

 

 外の雨は冷たい。それでも早くしなきゃ……5分か。呟きながら電はボンネットを開けてライトで照らした。ええ? ありえない状況だった。

 

 車内では神通が女王と次官に詫びながら、取り急ぎ司令部へ無線を打つ。彼女は極秘の緊急無線周波数を持っていた。電は持っていない。

 

神通には今回、車に乗る前から嫌な予感がしていた。恐らくこのトラブルは電のミスではない。そしてVIPでもあるこの女王と次官を絡めて、誰かが何かを狙っている。だから点検も5分で切ったのだ。

 

珍しく胸騒ぎがする。こんな感覚は……遥か昔の記憶を呼び起こすかのようだ。

 

 ただ自分には秘書艦のように物事の裏まで見通すだけのスキルが無い。それは悔しかった。いや、今は任務を果たすことに集中しよう。そう思った。

 

 無線が通じた。彼女は秘書艦と話し始めた。

 

「秘書艦ですか? 済みません神通です。……はい、エンストで境線の手前で止まっています。時間がありませんよね……はい。代車を出してください。……え? いえ、何となく……そうですね。はい、分かりました」

 

 思わず即断で代車を要請した。恐らくこの車はもう動かない。そしてこの緊迫感は秘書艦も感じていた。彼女も直ぐに同意して鎮守府から代車が出る。

 

 空軍の定期便のフライト時間も迫っている。今日は悪天候だからなおさら急いだ方が良いだろう。下手をすると欠航になる可能性もあるのだ。

 

「あの……」

 

電から無線が入る。音が少し割れる。

 

「ごめんなさい、神通さん……」

 

やっぱりダメだな、神通はすぐに返事をした。

 

「電チャン、ご苦労さん。もう良いわ、早く戻って。代車を要請したから」

「……」

 

 一瞬絶句している電だった。あなたの気持ちも分かるけど今は優先順位があるのよ。そう思いながら神通は少し苦しくなった。その感情には自分でも驚いた。すると急に後ろから声を掛けられた。

 

「神通さんでしたか? 的確な判断よ。貴女が気に病む事はないわ」

 

女王だった。この人はかなりの高官らしいけど艦娘の気持ちも直ぐに汲んでくれる。理想的な指揮官の一人なんだな。神通は改めてそう思った。そしてなぜ司令を降りたのか? ちょっと疑問にも感じたのだった。

 

 すぐにボンネットを閉める音がして電が戻ってきた。全身ずぶ濡れだった。

 

「ご苦労さん」

 

直ぐに神通は持っていたハンドタオルを差し出した。すると女王もハンカチを差し出してきたので、神通は丁重にお断りした。すると意外にも次官が言った。

 

「俺もハンドタオルあるよ、使いな」

 

そう言ってやや大きめのタオルを出してきた。準備が良い人なのね。

 

「ありがとうございます……」

 

 エンジンを止めた責任感と、上官たちの優しさに電は何かがこみ上げてきた。タオルを受け取って濡れた上着を拭き、頭や顔を拭ったが涙は止まらなかった。でも少し恥ずかしかったので、しばらくタオルで顔を抑えていた。

 

神通はその姿を優しく見つめていた。この艦娘もイロイロな経験と人の心に触れて成長していくのね。

 

 素直な電の姿は頼もしくもあった。一人ひとりの成長が、私たちの鎮守府を支えていく伝統になるんだ。私も戦闘能力だけでなく、心も成長させていきたいな……ふとそう思う神通だった。

 




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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/
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PS:「みほ9ん」とは
「美保鎮守府:第九部」の略称です。
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