リオたちがズーネ地区へと向かった後、ライとネプギアはバルコニーで空をずっと見つめていた。
「ネプギアちゃん、ライ君」
するとそこにロムとロムの後ろを無言で近づいて来るニヤが現れた。
「大丈夫?」
「へっ?あ、うん。私は大丈夫だよ。でも、お姉ちゃんたちが心配で」
「俺も同じ感じかな」
「ネプギアちゃんのお姉ちゃんとライ君のお兄ちゃん、あんまり強くないの?」
「ううん、そんなことない。本気出したらすっごい強いよ。こんなにも弱い私をいっつも守ってくれてるもん」
「兄さんも、普段はやる気なさそうにしてるけど、やる時にはしっかりやる人だし、強さだって、プラネテューヌのではかなう人のいないぐらいに強い」
「でも、なんでかな。今日だけは胸騒ぎがするの……………」
ネプギア同様、ライも胸騒ぎを感じていた。
(兄さん………大丈夫だよね………)
夜風は体に良くないと言うし、四人は部屋の中へと戻る。
戻ると、アイエフは誰かと電話をしており、丁度その話が終わった所だった。
「やっぱり思った通りだったわ」
「何か分かったんですか?」
「ショッピングモールで見かけた鼠、見覚えがあったから諜報部の同僚に調べてもらったの。そしたら、案の定、各国のブラックリストに載ってたわ。要注意人物、と言うか要注意鼠としてね」
「ええ!?あの鼠さん、悪い人だったです!?悲しいです………」
アイエフの言葉にコンパは驚き、ショックを受ける。
「しかも、数時間前にズーネ地区へと船で渡っていることも分かったの」
「それってまさか……!」
「推測だけど、ズーネ地区の廃棄物処理場にモンスターが現れたのも裏があるかもってこと。今なら引き潮に間に合う。私、様子を見に行ってくるわ」
コートの裾を翻し、部屋を出て行こうとするアイエフにネプギアとライは声を掛ける。
「あの!私も連れて行ってください!」
「俺もお願いします!」
「え?駄目よ!ネプギアとライまでも危険にさらす訳には」
「どうしても気になるんです!」
「お願いします!アイエフさん!」
調後その頃、リオ達はズーネ地区へと辿り着いていた。
「見えてきましたわよ」
「あれがズーネ地区だ」
「けっ!うじゃうじゃ居やがる!」
「台所に居るアレを思い出すな」
「数は多いけど、大したことない奴ばっかじゃない」
「俺たちで掛かれば一瞬だな」
「それでも、一体でも街に渡ったら大変なことになるわ」
「早めにケリを付けるぞ」
全員がズーネ地区へと降りようとした瞬間、地面から四体の二門の砲塔を持ったモンスターが現れ、リオ達に向け、発砲する。
全員武器を出し、攻撃を弾きつつ、接近する。
「このデカブツが真打か!」
「中々にいい威力のモン持ってるじゃねぇか!」
「相手に不足無しですわね」
「最近暴れたりなかったし、ちょっと派手に行こうかな」
「おあつらえ向きに一組一体!」
「何処の国が早く片づけられるか勝負と行くか!」
ノワールとスワルトは変身したことに寄り、やたら好戦的にそう叫ぶ。
「抜け駆けはさせねぇ!」
「その話乗った!」
一気に島へと接近するノワールとスワルトに続いてブランとアイクも接近する。
その後ろをベールとシオンも黙って続く。
「ちょっと待って!ここはセオリー通りに全員で一体ずつに……!」
「ネプテューヌの言う通りだ!バラバラになるのは!」
「腰抜けの台詞ね!」
「なんなら、お前らだけ俺らが終わるまで待ってればいいだろ」
そう叫ぶノワールとスワルトにリオとネプテューヌは溜息を吐く。
「どうして皆、変身すると好戦的になるのかしら」
「普段の様子からは想像できないな」
そして二人はにやりと笑う。
「まぁ、俺たちも似たような感じか」
「違わないわね」
そして、リオとネプテューヌも島へと向かい、モンスターを相手する。
島で戦いが始まってる最中、アイエフとネプギア、ライの三人は島へと続く道を走っていた。
アイエフの操縦するバイクの後ろにネプギアが乗り、バイクに早急に取り付けたサイドカーにライが乗っている。
「いい、ネプギア、ライ。絶対無理はしないで少しでも危険を感じたらすぐに撤退だからね」
「うん、ありがとう!アイエフさん」
「わかりました」
「レイシーズダンス!」
「セルリアンスラム!」
ノワールとスワルトの必殺我が当たり、モンスターが消滅する。
「私たちが一番みたいね」
「そうだな」
「テンツェリントロンペ!」
「ディメンションスタンピード!」
スワルト達に続き、ブランとアイクの方も終わらせる。
「チッ!二番かよ」
「少し遊び過ぎたな」
「これで二体目か」
「残るはあっちね」
全員が未だに戦っているベールとシオンペア、リオとネプテューヌペアを見る。
「レイニーラトナビュア!」
「アインツェルカンプ!」
「クロスノヴァ!」
「クロスコンビネーション!」
丁度、四人は当時に必殺技を放ち、ほぼ同時にモンスターを倒す。
「引き分けね」
「どっちも最下位と言う言い方もできるな」
「私たちの方がほんの少しだけ早かったですわよ」
「僕たちは最下位じゃない」
「はいはい、私たちが最下位でいいから」
「順位とかどうでもいいって」
ネプテューヌとリオが呆れ気味にそう言うと、地面から突如生き物のように動くコードが現れる。
「ノワール!ブラン!」
「スワルト!アイク!」
四人の名前を叫ぶが四人は既にコードによって動きを制限されていた。
そして、ベールとシオンもコードに捕まり、ネプテューヌとリオも捕まってしまった。
「これは一体!?」
「くっ、動きが……!」
「くっ、ざけんなよ!」
「気持ち悪いわね!」
「こんなモノ!」
なんとかコードを引き千切ろうとしていると、その光景を眺めてる一人の黒衣を纏った女と、その隣でフードを目深に被ってる男が居た。
「あれが黒幕?」
「この距離なら………!」
リオは無理矢理腕を動かし、銃口を女へと向ける。
「悪く思うなよ」
そして、引き金を引く。
弾丸が女の頭へと向かう。
だが、その弾丸は当たる直前で横の男が剣を抜き、防いだ。
「女神、そして守護者たちよ。我がサンクチュアリへと落ちるがいい!」
十字の赤い結晶をケースに入れ、それを八人の頭上へと投げる。
すると、地面にも仕掛けられていた三つの結晶とも反応し、八人を三角錐の結界に閉じ込める。
「この光は!?」
「力が……抜け………!」
結界が発動した瞬間、全員の力が抜け始め、コードによって縛り上げられる。
「あれを破壊すれば……!」
ネプテューヌは渾身の力を振りしぼり、剣を頭上のケースに向け投げる。
だが、剣はケースに当たる直前で消え、破壊することは出来なかった。
そして、とうとうネプテューヌも強く縛られ、動けなくなった。
「シェアエナジーを力の源にしているものは、その機械に近づくことはできん。それが武器であろうと、女神自身であろうがな!」
女が高らかに声を上げる。
「どういうことですの……?」
力が抜けゆくなか、それでも疑問を口にするベールに、女は満足げに答えた。
「その機械にはアンチクリスタルと言う石が仕込んであってな。シェアクリスタルとおまえたちのリンクを遮断し、力を失わせる石だ!」
「アンチクリスタル……?」
ネプテューヌの疑問は突然のシャッター音にさえぎられる。
見れば、ネズミ型の小型モンスターがカメラで捕らえられた女神たちを撮影していた。
「う~ん、いい写真っちゅね~!これは世間に大旋風を巻き起こすっちゅよ!」
響くシャッター音に、女神たちは悔しげに顔を歪める。
「こんなこと…… ただじゃ済まさないわよ!」
「すぐにぶっ飛ばしてやる!」
「さてどうかな?アンチクリスタルの結晶の中では、女神と守護者は力を失っていく。お前達の勝ち目は刻一刻と無くなるのだ、ハッハッハッハッハ!」
女が笑う中、リオはずっと男を見つめていた。
何故なら男の動作に、リオは見覚えがあった。
剣を抜く時、内側に柄を巻き込むように力を込める動き。
剣を鞘に収める時、右に大きく振ってから収める動き。
剣を振る時の足の動かし方、移動の際の足さばき。
その全てに見覚えがあった。
「………おい、そこの男。…………アンタは誰だ?」
リオの問いの男は答えない。
「答えろ!」
リオがそう大声を上げると、男はゆっくりとフードを取る。
「久しいな、リオ」
その声にリオは懐かしさ感じ、そして驚愕した。
驚いたのはリオだけじゃない。
ネプテューヌでさえ、その男の姿に驚いた。
リオは声を震わせながら、その名を呟いた。
「アルドゥバ…………師匠…………!」
「リオ、随分と逞しく立派な守護者になったな。師としてこれ以上の喜びは無い。だからこそ、俺はお前を殺さなければならないんだ」