ズーネ地区に到着したアイエフは島が異様に静かなことに違和感を感じた。
本来なら戦闘音が聞こえてもいいはずなのだが、それが聞こえない。
しかし、女神四人に守護者四人。
あれだけの数が出撃したのだから、もう終わっていてもおかしくない。
そう思い始めた。
だが、次の瞬間、目の前に巨大なモンスターが現れる。
それを見た瞬間、アイエフは素早く銃を抜き、発砲する。
弾丸を食らい、モンスターは消滅する。
「どういうことよ!?まだいるじゃない!」
「アイエフさん、あそこ!」
ネプギアが指を差した方を見ると、そこの場所だけ何故か淡い光を放ち、光っていた。
そして、接近して、その光景にアイエフだけでなくライとネプギアも目を疑った。
何故なら、女神と守護者全員が捕まり、結界の中に閉じ込められていたからだ。
「ブラックハート、ホワイトハート、グリーンハート、そしてその守護者たちよ。お初にお目見えする。私の名前はアルドゥバ。かつてプラネテューヌの教会の職員にして、そこにいるネプテューヌとリオディールの戦闘指南役を務めた老いぼれだ」
アルドゥバは膝を降り、忠誠を誓うかのように自己紹介をする。
「私はマジェコンヌ。四人の小娘と四人のガキが支配する世界に、混沌と言う福音をもたらす者で「オイラは悪チュー。鼠界№3のマスコットっちゅ」
マジェコンヌの台詞を遮り、悪チューが喋る。
「おい……鼠……いい所で邪魔を」
「何を言うっちゅか。ラステイションの洞窟とリーンボックスの海底からアンチクリスタルを掘り出したのはオイラっちゅよ」
「私がプラネテューヌの森で一つ目を見付けたのが始まりだ。ルウィーの教会から盗むと言う大仕事をしたのも私ではないか!」
「ルウィーの教会……!」
「アイク!ブラン!まさか、君達あの石の事を知っていたんじゃ………!」
シオンが尋ねると、アイクとブランは苦虫を噛み潰したような顔になり、頷いた。
「ああ、そうだ。厳重に保管してあったが誘拐事件の後、消えていた」
「…………どうしてそれを話してくれなかったんだい?」
「そう何個もあると思わなかったんだよ」
「ラステイションの洞窟ってまさか!」
「あの時のか!」
あの時、洞窟内で変身が解けた時の事をノワールとスワルトは思い出し、声を上げる。
「ノワール!一体何が!」
「スワルト、心当たりがあるのか!」
リオとネプテューヌが何かを言おうとした瞬間、二人の体が光り、変身が解けてしまった。
「ねぷぅっ!?変身が!?」
「どうなってんだよ!」
二人の変身が解けると同時に、他のメンバーも変身が解け普段の姿へと戻る。
「言ったはずだ。結界の中にいる限り、お前達は力を失っていくと」
変身が解け、女神化と守護者化の時より、力が落ちたリオ達はより強くコードに絞められ、苦しそうに声を上げる。
「お姉ちゃん!」
「兄さん!」
その光景にネプギアとライは思わず声を上げる。
「ネプギア!?」
「ライも!?アイツ等、どうして………!」
リオとネプテューヌが二人とアイエフに気付くも、残っていたモンスターたちが三人目掛け襲い掛かる。
「くっ!ネプギア!ライ!逃げるわよ!」
「でも、お姉ちゃんたちが!」
「ネプギア!」
移動しようとしないネプギアにライが叫ぶ。
ネプギアはそれに驚き、ライを見る。
「今ここで俺達に何が出来る?それに、アイエフさんと約束したろ。無理はしないで危険を感じたら撤退だって…………逃げるんだよ」
ライは拳を強く握り締め、ネプギアに言い聞かせる。
ネプギアはそんなライを頷き、アイエフのバイクに乗って撤退をする。
「逃げられるっちゅよ?」
「構わん。まだ変身も出来ない女神の妹と守護者の弟など」
撤退をしリーンボックスの教会に戻ったアイエフは真っ先にイストワールに報告をした。
「一体どういうことなんですか?」
「よくわからないんですが、アンチクリスタルがどうとか。恐らくそれがネプ子とリオ達の力を奪ってるんです」
「アンチクリスタル?」
「イストワール様、調べてもらえませんか?」
「もちろんですけど、三日掛かりますよ?」
「できるだけ、巻きでお願いします」
「分かりました。では、ネプギアさんとライさんはプラネテューヌにお帰り下さい、他の皆さんもお国に帰られた方がいいでしょう。それでは」
イストワールはそう言い残し、通信を切る。
「そう言う事だから「待って!」
アイエフの言葉を遮り、ユニが叫ぶ。
「帰れって言われて大人しく帰れる訳ないでしょ!」
「兄さんたちが捕まったってどういうことだよ!?」
「ちゃんと説明してくれよ!」
「兄さんは危険なのか?」
「いつものお姉ちゃんなら、一撃なのに!」
「お姉ちゃん、死んじゃうの……?」
ユニとヴァイス、ニア、ニヤ、ロム、ラムが口々に騒ぎ出す。
そんな中、ネプギアとライは沈んでいた。
「だ、大丈夫ですぅ。女神さんと守護者さんがそうかんたんにやられる訳………」
「でも、力が奪われたって!」
「ごめんなさい」
そんな中、ネプギアは声を出して謝った。
「別にギアちゃんだけが悪いわけじゃ」
「買い物の時、拾ったあの石、あれがアンチクリスタルだったんです………」
「やめましょう。そんな話、今したって」
「どうしてあの時、眩暈がしたのかちゃんと考えていれば…………!」
ネプギアは体を震わせ、涙声で話す。
ライはそんなネプギアの肩に手を置き、話す。
「気付いてたんだ。あの石が、危険なものだって気付いてた。でも、確信があるわけでもなかったし、俺の推測でしかなかった。でも………石の事を兄さんに言ってれば………!」
「ネプギアとライのバカ!」
するとユニが声を上げる。
「お姉ちゃんは……私のお姉ちゃんは凄く強いのに………アンタ達の所為で………二人が捕まればよかったんだ!」
ユニのその言葉はライとネプギアの心を大きく貫いた。
ユニは涙を流しながら、そのまま部屋を出て行く。
「ユニ!………たっく!」
ヴァイスはユニの後を追おうと、走り出すが、途中で止まり、ライとネプギアの方を振り向く。
「ライ、ネプギア。ユニは本気で言ったわけじゃない。だから、気にしないでくれ」
それだけ言い、ヴァイスも部屋を出る。
部屋にはアイエフとコンパ、ニアとニヤ、ロムとラム、そして悔しそうに唇を噛みしめるライと涙を流すネプギアだけが取り残された。