(……何処だ………ここは?)
リオは一人、暗闇の中を漂っていた
辺りを見回すが、周りあるのは一面に広がる、暗い闇だけで何もわからない。
そして、自分が何故こんなところにいるのか思い出した……
(……確かアンチエナジーに呑まれたんだっけ……死んだのか?)
リオは暗闇の遠くを見つめる。
(ま、俺みたいな守護者にはお似合いの最後だな………)
自虐気味に笑い、リオはライのことを考える。
(あいつなら大丈夫だ。まだまだ四分の三人前ってとこだが、ネプギアもいる。きっといい守護者になってくれる………だから……………大丈夫だ)
(いや、違う!俺は死なない!まだ、死ねないんだ!ライたちが、必死になって俺たちを助けようとしてくれてるんだぞ!こんな………こんな所で、諦めてたまるか!)
その時だった。
リオは自分の掌が温かくなるのを感じた。
(この温かさは……?)
(俺だよ、リオ)
(スワルト!?俺の声が聞こえるのか?)
(ああ、ばっちりとな)
(おかげで目が覚めたぜ)
(そうだね。彼らがここまで必死にやってくれてるのに、僕らが一番に諦めてたらいけないよね)
アイク、シオンと二人の声も聞こえ、温かさが掌から全身に渡るのを感じた。
(その通りだ)
(俺たちはまだ終わってない)
(皆で戻るんだ)
(あの場所に)
((((俺たちはまだ生きてる!))))
そして、アンチエナジーで満たされた結界の中に、四つの光が灯り出した。
「………終わったな」
アルドゥバはゆっくりとライに近づく。
「女神と守護者は死んだ。残るはお前らのみ。お前らを殺せば、俺の目的は果たされる。せめてもの慈悲だ。苦しまず、葬ってやる」
そして、アルドゥバの拳がライの頭上に下ろされようとした。
その時、ライの目にある光景が飛び込んできた。
それはアンチクリスタルの結界だった。
アンチエナジーで満たされたその中で光が灯っていたのだ。
その光はどんどん増えていき、数が八つでとまった。
それを見た瞬間、ライの中で力が湧き上がるのを感じた。
ライは手を上げ、アルドゥバの拳を受け止めたのだ。
「なに?」
「まだだ………まだ兄さんたちは……………死んでない!」
ライは落ちた大剣を握り締め、アルドゥバの体を切り裂く。
アルドゥバは咄嗟に後ろに下がったことで、肩から脇腹までを軽く切り裂かれる程度に止まった。
「何!?」
アルドゥバ背後の結界の中で光り輝く八つの光を見て驚きの声を上げる。
「兄さんたちはまだ生きてる。あの中で必死に戦ってるんだ!」
「俺たちだって!」
「まだ戦える!」
「屈したりなんかしない……!」
「言ったはずだ。アンタは、俺たちが倒すって!」
ライとヴァイス、ニア、ニヤの体が光を放ち、それが大きくなる。
「まさか……シェアエナジーの共鳴!?」
その光景にアルドゥバは目を見開く。
「はああああああああああ!!」
ヴァイスは双剣を手にアルドゥバに切りかかる。
アルドゥバも剣を手に応戦するが、ヴァイスの一撃がアルドゥバの剣をへし折る。
「なっ!?」
「サーキュラーファング!」
身体を左に捻り、螺旋回転するように突進し、左の剣を振り上げ斬り、そのまま体制を崩し、防御の体勢が取れないアルドゥバに、時計回りに旋回する体の慣性と重力を余せず乗せ、左上からアルドゥバを切り裂く。
「ぐおっ!?」
ここに来てアルドゥバは初めて痛みに声を上げる。
その隙を逃さず、ニアは鎌を振り、鎌の刃の内側を使い、アルドゥバを手前に引き込む。
「グレイブロード!」
至近距離からの攻撃に、アルドゥバはなす術なく切られると、今度はニヤがトンファーを構え、怒涛のラッシュを体に叩き込む。
「ツェアシュラーゲン!」
四肢にトンファーを叩き込み、最後に心臓めがけトンファーをたたき付ける。
アルドゥバは両手を交差させ、心臓への攻撃を防御するが、ヴァイスとニアの攻撃で体力を消耗し過ぎたため、その場で踏みとどまれず、そのまま背後のアンチクリスタルの結晶に体をたたき付ける。
「がはっ!?」
肺の中の空気が一気に吐き出され、空気を求めようと体が無理矢理呼吸をする。
そのため、アルドゥバは反撃ができない。
「ライ!決めろ!」
「「ライ!」」
ヴァイスとニア、ニヤの言葉を聞き、アルドゥバは前を見る。
「うおおおおおおおおおお!!」
既にライは眼前に迫っていた。
それを見たアルドゥバはただ呆然と立ち尽くし、そして、穏やかに笑った。
「ディザスターファング!」
ライの必殺技がアルドゥバに直撃する。
ライの攻撃はそのままアルドゥバの背後の結界を破壊した。
そして、結界の破壊と同時に、爆発が起きた。
「ネプギア……そっちも終わったんだな」
「うん」
ネプギアたちも見事、女神化したマジュコンヌを倒し、ちょうどライがアルドゥバを倒したとき、ネプギアたちも同じように結界ごと倒した。
「でも……お姉ちゃんたちが………」
爆発の跡地には何もなかった。
アルドゥバもマジュコンヌも、そして、リオたちの姿も。
「お姉ちゃん……何処なの……?」
ネプギアは今にも泣き出しそうに呟く。
全員が悲しそうな顔をし、泣き出しそうになる。
ライも目をそらし、涙が出そうになっていた。
「くそっ……兄さん………」
「ここよ、ネプギア」
「こっちだ、ライ」
その言葉に、ネプギアとライは顔を上げる。
上空には女神化したネプテューヌと守護者化したリオがいた。
他の皆も変身しており、朝日によって輝いていた。
「お姉ちゃん!」
ネプギアは涙を流し、ネプテューヌに抱きつく。
「よく頑張ったわね、ネプギア。ありがとう」
そんなネプギアを抱きしめ、ネプテューヌはほめる。
「「お姉ちゃん!」」
「「兄ちゃん(兄さん)!!」」
ロムとラムも飛び、ブランに抱きつき、ニアとニヤも抱きつく。
「お姉ちゃん、会いたかったよ!」
「よかった…無事で」
「兄ちゃああああああん!」
「よかった……本当によかった……」
「たっく、子供みたいに泣くなよ……心配掛けたな」
「やれやれ、成長したかと思えばコレだもんな………本当によく頑張った」
ブランとアイクは自分たちの弟と妹を抱きしめ、褒める。
「お姉ちゃん……」
「……だいぶ成長したじゃない、ありがとう」
「……ッ!お、お姉ちゃん!」
ユニは自分を認めてくれる初めての言葉に涙を流し抱きつき、ノワールは優しく頭を撫でる。
スワルトは無言でヴァイスの前に立ち、頭をなでた。
「ヴァイス……よくやった。流石は俺の弟だ」
自分のことを誇ってくれるその言葉。
それにヴァイスは涙を流し、頷いた。
「ライ、よくやった。これでもう半人前とは言えないな」
「四分の三人前、でしょ?」
「そうだな。それで………」
リオは自分のソフトハット帽を外し、ライの頭に乗せる。
「これで五分の四人前だ」
「………一人前じゃないのかよ」
「ああ。その帽子が似合うぐらいりっぱな男になれ。そうなったら一人前だ」
「……うん」
ライは嬉しそうに被せられた帽子を目深に被る。
「…ふぅ」
「…はぁ」
ベールとシオンは少しだけ寂しそうな眼をしながらため息を吐く。
そんな二人の元にネプギアとライがやってきて、笑いかける。
「ベールさん、お疲れ様…」
「シオンさん、お疲れ様です」
「「ッ!……ありがとう」」
労いの言葉をかけられたベールはネプギアを抱きしめ、シオンはライの頭を撫でる。
「……まったく、今日だけだからね、ベール?」
「……ま、たまにはいいだろ」
朝焼けに染まる空を見ながらネプテューヌとリオは顔を見合わせ笑いあった。
こうして、長い長い夜が明け、次世代を担う新たな若木が成長をした…………