「ぷ、ぷるるん?」
「ろ、ろうろ?」
プルルートとロウロの変貌に、リオとネプテューヌは思わず引き気味に、二人の名前を呼ぶ。
だが、二人は呼びかけを無視しして、プルルートはぬいぐるみを踏み続け、ロウロは何度も何度も地面を踏む。
その度に、二人の周りのクレーターは徐々に形を変えて行く。
「なんで~……アイエフちゃんを~……そこまで~……いじめるのかなぁ……?」
「怨みでも……あるのか~い?」
「ひ、人質を私の好きにして何が悪い!」
マジェコンヌは二人の異変に驚きながらも、負けじと言い返す。
「そう言う事言っちゃうんだ~……」
「じゃあ………」
「「しょうがないよね~♪」」
プルルートとロウロは獰猛な笑みを浮かべる。
その笑みに、マジェコンヌはビビり、アルドゥバは表情にこそ出さないが、冷や汗を掻き出し、リオとネプテューヌは口を開け固まり、ライとネプギアは恐怖し一歩下がる。
そして、二人の体が光り、その光が二人を包む。
光りが収まるとそこには女神化したプルルートと守護者化したロウロがいた。
ネプテューヌに負けないくらいのグラマラスボディにボンテージ衣装を着たプルルートと、血が染み込んだような真っ赤なコートに一本のロングソードを手にしたロウロ。
その姿は女神や守護者とはかけ離れた様な姿だった。
「私も好きな様にやらせてもらおうかしらねぇ」
「さぁ、楽しい拷問の時間だ」
「き、貴様!何者だ!」
「女神化と守護者化だと!?」
マジェコンヌとアルドゥバは二人を指差し、叫ぶ。
「私ぃ?私はアイリスハートよぉ」
「吾輩はブラッドナイト。さぁ、良い声で鳴いてもらおうか」
「それと、私達の名前は覚えなくていいから。でしょ、ロウロ」
「無論だ。名前とは脳に覚えさせる物じゃない。体に恐怖と言う物で刻む物だ」
そう言い、二人は一気に飛び出し、マジェコンヌとアルドゥバに攻撃を仕掛ける。
ロウロは剣を鞘に収めたまま、アルドゥバを攻撃し、殴り飛ばす。
アルドゥバは足でブレーキを掛けながら止まり、ロウロを見る。
「貴様……なんのつもりだ?今の一撃、鞘から剣を抜いていれば、確実にダメージを与えれていたはずだ」
「斬ったらつまらないではないか。吾輩は、貴様を甚振り、体と心を衰弱させ、死んだ方がマシだと思えるぐらいまで追い込む。だからこそ、斬りはしない。安心しろ、殺しはしない」
そう言い、ロウロは素早くロウロの背後に回り。回し蹴りを入れる。
「くっ!?」
「その代り良い声で鳴いてもらおうぞ」
アルドゥバは蹴りを食らいながらも、拳を握り掌底をぶつける。
ロウロは避けようとせず、逆に拳に掌底をぶつけ、威力を相殺させる。
予想外の反撃と、予想以上のダメージにアルドゥバは痛みに顔をにじませる。
ロウロはアルドゥバの胸倉を掴み、そのまま勢いよく持ち上げ地面に叩き付ける。
「ぐっ……!?」
「ほほう、今ので悲鳴一つ上げぬとは………これは甚振る甲斐があるものだ」
ロウロはにやっと笑い、剣を振り上げる。
「さぁ、鳴け」
「な、何アレ?」
ロウロの戦いぶりにライはそう呟いた。
「戦いを楽しんでるって言うより、あれは人を甚振ることを楽しんでる。変身させたくないってのもうなずけるぜ」
リオはそう言いながら変身する。
「ネプテューヌ、行けるか」
「当然よ」
女神化したネプテューヌは頷き剣を構える。
「俺とネプテューヌでナスモンスターと麻婆スライムを片付ける」
「二人はアイちゃんをお願い!」
「うん!」
「わかりました!」
リオとネプテューヌは剣と銃を手に、モンスターを倒し始め、ライとネプギアはアイエフを助けに向かう。
プルルートことアイリスハートと、ロウロことブラットナイトの攻撃は容赦がなく、アルドゥバとマジェコンヌは地面に倒れていた。
「もうちょっと楽しめるかと思ったけど、所詮は負け犬ね?」
「もっと良い声を聞かせてほしい物だが、貴様の声には聞き飽きた」
「くっ……油断しただけだ! ……お前らの存在を知っていれば!」
「随分と………舐められたものだな……」
「負け犬っていい訳ばっかりするのよねぇ、キャンキャンキャンキャン耳障り……」
「言っただろ。貴様らの声は聞き飽きた。なら、もう終わりにしよう」
「そうね。トドメと行きましょうか」
ロウロはとうとう鞘から剣を抜き、プルルートも蛇腹剣を構える。
「ぷるるん待って!」
「ロウロもだ!剣を下げろ!」
二人をリオとネプテューヌが止める。
「これ以上はやり過ぎだ。流石に許されないぞ」
「リオの言う通りよ。これ以上は止めて」
「あらあら、二人とも甘ちゃんねぇ……こういうのはきっちりお仕置きしておかないとわからない物なのよ?」
「吾輩はもうコイツの声に飽きた。なら、もう不要だ。後は犬の餌にでもすればよかろう」
詰まらんと言わんばかりに溜息を吐くロウロにリオは確信した。
(こいつ………超が付く程のドSだ…………)
その時、マジェコンヌが急に笑い出す。
「まさか、私たちに奥の手がないとでも思ったか?もっと紫色と赤色の恐怖をアジ合わせてやる。見るがいい!これが我らの新たな力だ!」
「この力、使いたくは無かったが止むをえまい」
そう言うとマジェコンヌの体が紫色の光に包まれ、アルドゥバの体が麻婆豆腐と一体化していく。
やがて光は大きく膨らみ始め、上昇し、四人の目の前まで来ると、光が一際大きく膨らんだのを皮切りに弾けるように霧散した。
そして、リオ達の前に現れたのは、巨大なナスとなったマジェコンヌと、某映画の巨神兵を彷彿させるような格好になった麻婆の塊となったアルドゥバだった。
「私はナス力を取り込んでナスと一体化となった……人呼んでナスコンヌ!!」
「俺は麻婆力を取り込み、麻婆と一体化となった……人呼んで麻婆ドゥバ!!」
その姿にリオ達はただ冷たい目を向けていた。
「………なんだ、その薄い反応は?」
「そこまで大きいとナスって感じがしないわ、紫の物体ね」
「なっ!?」
「師匠………今の自分の姿を鏡で見てください」
「リオよ……言われなくとも分かっている……だが、今私は何故か非常に高揚している。この愉悦感は一体………」
(そう言えば師匠………麻婆大好きでしたね………)
「まぁいい。リオよ。今こそ、麻婆の力、受けて見よ!」
麻婆ドゥバは口に麻婆を溜め始め、そして、一気に撃ち出す。
リオは間一髪、麻婆を躱すが、麻婆砲があたった所は爆発し、辺りを麻婆で濡らす。
「見たか。これぞ麻婆の力だ」
「…………師匠。それ、もう麻婆じゃないです」
「………何?」
「麻婆と認識できない以上………怖くは無いですよ」
「なんだと!?」
「それに師匠。俺はアイエフをあんな目に遭わせたあなたを許せない。それと、ナスと麻婆を戦いに持ち込んだこともな!」
リオは銃を抜き、構える。
「ライ!ロウロ!手伝ってくれ!」
「わかった!」
「ふはははははは!リオよ、やはり貴様は面白い!いいだろ、この麻婆の化け物を潰すのに手を貸してやろう!」
そして、三人は同時に麻婆ドゥバに攻撃をする。
先程の砲撃は撃つのにチャージが必要らしく、アルドゥバは反撃できず、攻撃を食らい、最後はドロドロと体が崩壊していった。
「麻婆に一片の悔いなし!」
アルドゥバは最後に意味の分からないことを残し、倒れた。
「師匠、今更ですけど、貴方の麻婆、味は良いんですが辛過ぎて苦手でした」
ちなみにそう遠くない、小屋でコンパに迫るワレチューはプルルートとロウロが丁寧にお仕置きをして、懲らしめた。
無事、アイエフも救い、プラネタワーにリオ達は帰って来た。
変身の解けたプルルートとロウロは変身中の事はよく覚えてないらしいのだが、覚えてないならそれでいいと言うことにし、絶対変身させないようにしようとリオ達は誓った。
「アイエフさん、もうお身体はよろしいんですか?」
「はい。怪我もありませんし、大丈夫です」
「それにしてもマジェコンヌにアルドゥバ、恐ろしい敵ですね」
イストワールは腕を組み、そう言う。
「でも、今日はもっと恐ろしい人が居たけどね……」
「ああ、ある意味強敵だったな」
「え~、なぁに~、ネプちゃん?」
「リオもどうした~?」
「「なんでもないよ!」」
「ご飯出来たですよ~」
すると、コンパとネプギア、ライが夕食を持って現れ、皆が席に着く。
そして、テーブルに置かれたメニューを見て、リオとネプテューヌは声を上げる。
「ねぷぅ!?麻婆茄子!?」
「俺とネプテューヌの嫌いなものがミックスされてやがる!?」
「あんなことがあった後なのにどうして?」
「ピーシェちゃんとルーク君に頼まれたですぅ」
「昨日食べて気に行ったらしくて」
「だから、二人の好きな物を混ぜて見たんだ」
「ナス!ナス!」
「麻婆……!」
ピーシェははしゃぎ喜び、ルークはローテンションで喜ぶ。
「ねぷねぷとリオ君もナス嫌いと麻婆嫌いを克服したって聞いたですよ」
「いや、別に克服した訳じゃなくて……」
「そうそう。火事場のバカ力的な奴で……」
「ナスと麻婆怖い!」
するとアイエフが声を上げ、震えだす。
「ナス怖い!ナス嫌い!麻婆も怖い!麻婆嫌い!麻婆と茄子食べたくない!」
「アイエフさん、しっかりして下さい!」
「アイちゃんも、ナスと麻婆嫌いになったですぅ?」
「まぁ、仕方ないかも……」
「生でナス食べさせられた麻婆を無理矢理流し込まれたらね………」
「おお!流石アイちゃん!」
「アイエフ!お前は俺達の心の友だ!」
全員が騒がしくしてる中、ピーシェとルークは黙々と麻婆茄子を食べていた。
「ナスおいし!」
「麻婆……うま……!」
次回はオリジナルストーリーとなります。