「「テメー、なんでここにいるんだ!!」」
突如、互いの胸倉を掴みある、リオとネプテューヌ。
「リ、リオ!?急にどうした?」
「ネプテューヌも!?行き成り、そんなことして!」
慌ててカイとティアは二人を止め、引き離す。
「なんでお前が此処にいる!?」
「それはこっちの台詞だよ!君こそ、なんで此処にいるのさ!」
二人に羽交い絞めにされながらも、リオとネプテューヌは騒ぐ。
そんな様子を眺め、アルドゥバは溜息を吐き、そして、ゆっくり近づく。
「リオ、ネプテューヌ…………いい加減にしろ」
その言葉と共に、二人の頭上にげんこつが叩き込まれた。
「じゃあ、改めて紹介しようか」
カイはそう言って、リオを前に出す。
「ネプテューヌ、コイツはリオディール。守護者候補生で俺の弟だ。口はちょっと悪いが、根は良い子だから、仲良くしてやってくれ」
「リオ、この子はネプテューヌ。女神候補生で、僕の妹。やんちゃだけど、心優しい子だから、よろしく頼むよ」
ティアもネプテューヌを前に出し、リオに挨拶させる。
「よろしくね、リオ」
「ああ、こっちこそよろしく、ネプテューヌ」
二人は笑顔で握手をする。
が、握手をした瞬間、二人は互いに力を籠め、相手の手を握りつぶそうとする。
「あはは、リオ、そんな力込めたら痛いよ」
「ははは、そう言うネプテューヌも、力込め過ぎじゃないか」
「え~、力なんて込めてないよ。むしろ、これが普通?もしかして、この程度の力が痛いとか思っちゃうわけ?」
「そんな訳ないだろ。こんなの蚊に刺されるよりも痛くないって」
「「あははははははははははは」」
笑ってはいるが、お互いの目は笑っておらず、隙あらば命を狙うような勢いで、睨みつける。
((コイツとは絶対仲良くなれないな………))
二人は心の中でそう思った。
そんな二人の心情を察して、カイとティアは苦笑した。
リオは兄のカイ、女神のティア、そして女神候補生であるネプテューヌと一緒に暮らし始めた。
リオは守護者に必要な教養を学び、力を付け、兄の様な守護者を目指し、精進していた。
それに対してネプテューヌはと言うと、勉強や訓練はサボリ、隙あらば脱走をし、街で子供たちに交じって遊びほうけていた。
真面目なリオと不真面目なネプテューヌ。
そんな二人が仲良くなるはずも無く、二人は朝から喧嘩する仲だった。
朝は、どちらかが先に起きると、相手を起こすと言う名の嫌がらせを行う。
朝食時には相手のおかずを取ったり、タバスコやわざびを投入して嫌がらせをする。
そんなある日―――――――
「リオ!私のおやつのプリン食べたでしょ!」
「お前だって、俺のおやつのチョコ食べただろ!」
ネプテューヌは空のプリンの容器をリオに突きつけ怒り、リオもチョコの包み紙を見せつけ反論していた。
「こらこら、お前達喧嘩はよせ」
カイはそんな二人の間に割って入り、喧嘩を仲裁する。
「まず、リオ。自分がされたからって相手に同じことをしていいって訳じゃないぞ。そして、ネプテューヌも。悪いことをしたらまずは謝る事。分かったか?」
「……分かったよ」
「……私も、分かった」
「じゃ、仲直りだ」
「………プリン食べて悪かった」
「……私もチョコ食べてごめん」
そう言って頭を下げる二人を見て、リオは思わず笑みを浮かべる。
「「でも、プリン(チョコ)食べたことは絶対許さない!!」」
だが、お互いが嫌いな所為で、仲直りは出来ず、二人はまたしても胸倉を掴み合い、メンチを切り、悪口を言い合う。
「やれやれ…………」
そんな二人にカイは呆れて、止めることを止めた。
「苦労してるね、カイ」
「ああ、ティア。仕事はもういいのか?」
「ううん、まだちょっと残ってる。………それで、ちょっといいかな?」
「ああ、分かった。……リオ、ネプテューヌ!」
カイはさっきよりも大きな声で、リオとネプテューヌに声を掛ける。
二人は互いの頬を引っ張り合ったまま止まり、カイを見る。
「ちょっとティアと仕事の話をしてるから、静かにね」
そう言い残し、カイはティアの仕事部屋に入る。
カイは部屋にあるソファーに座ると、ティアはその隣に座り、カイの膝の上に頭を乗せる。
「はぁ……落ち着くよ」
「そりゃよかった…………またあの案件か?」
「……………うん。反女神派がらみ」
反女神派とは女神の存在を良しとしないテロリストグループの事だ。
国の発展や文明を築くのは人間だが、それの方針を決めるのは女神だ
ティアはプラネテューヌを誰もが笑顔でいられる国を作ろうと日夜仕事に励んでいる。
そのため、プラネテューヌのシェアは、他の三つの国を抜き、トップだった。
しかし、シェアが多いからと言って、誰もがティアを支持してるわけではない。
その良い例が反女神派だった。
反女神派は、人類の行く末は人間が決めることであり女神ではないと唱え、人類の為にも女神と言う存在を無くし、誰もが国の指導者となれる世界を作ることを掲げている。
最近では、その意見に賛同する物も現れ始め、プラネテューヌで一番の問題となっている。
「………今度、反女神派のトップと話し合う事になった」
「………大丈夫なのか?」
「分からない………でも、彼等は決して悪じゃない。彼等は自分達の掲げる正義の為に行動してる。僕はそれを否定したくない。だって、彼等も彼等なりにプラネテューヌを思ってのことなんだ。だから、ちゃんと話し合えば、きっと分かってくれるよ」
そう言うティアの表情を明らかに無理をしていた。
そんなこと出来るはずがない。
異なる正義は決して交わらない。
それはティア自身も理解していた。
それでも、どうしても信じたかった。
人と人は分かり合えるのだと……………
「………ああ、そうだな。きっと分かり合えずよ」
カイはティアの気持を理解した上で、そう言う。
「うん………ちょっと疲れちゃったな。暫く、膝貸してね」
「いいぞ。おやすみ」
「おやすみ」
目を閉じ、すぐに眠ってしまってティアの頭を撫でながら、カイは窓から見えるプラネテューヌの街を見つめる。
「…………本当に、分かり合える日が来るといんだがな……………」