ロムとラムが誘拐され、ニアとニヤが気絶させられた。
そのことをライから聞いたリオは大至急アイクに連絡を取り、アイクは警備兵を総動員させ、ロムとラムの捜索を行わせた。
ニアとニヤはそのまま教会の医務室に運び込まれ、未だに目を覚まさなかった。
そして、リオたちはアイクとブランに会おうと執務室へと向かった。
「そ、そう言われましても…。ブラン様に誰も通さないように申し付けられているんです…」
「えー? 私たち女神仲間ろ守護者仲間なんだし、良いでしょ?」
「い、いえ。いくら女神様と守護者様と言えど…」
だが、職員が中に入れてくれず、リオ達は門前払いを喰らっていた。
「せめて、一言謝らせてください!」
「ロムとラムが誘拐されたのは、私たちのせいなの!」
「ニアとニヤが怪我をしたのだって、俺達の責任だ!」
「お願いします!」
ライたちは目の前で誘拐され助けられなかったのが申し訳なく、そして、ニアとニヤに怪我を負わせてしまった事をブランとアイクに謝りたいと言っている。
「すでに、警備兵を総動員して、捜索させていますので…」
「なら、俺たちも手伝う。人手は多い方が」
『…帰って』
すると扉の向こう側からブランの声が聞こえる。
『…あなたたちは、いつも迷惑よ』
それっきりブランの声は聞こえなくなり、代わりにアイクの声が聞こえる。
『悪い、皆。今日の所は帰ってくれ』
そして、アイクの声も聞こえなくなる。
ブランはロムとラムが誘拐されたことにショックを受け、フラフラだった。
「ブラン……大丈夫か?」
そんなブランにアイクは話掛ける。
「ロム……ラム……私のせい…。私が姉として、もっとちゃんとしていれば…!」
「ブラン、そう自分を責めるな。何もお前だけの所為じゃない。それに、お前は姉としてしっかりやれてる。それより今は嘆いてる場合じゃないだろ」
「……そうね。なんとかしなきゃ………なんとか………そうだ!アイク、アレを使えば!」
「使うのか?まだ発表前だぞ?」
「それでも、二人を助けるにはこれしか………」
「………分かった。アレを使おう」
アイクがそう言った瞬間、執務室の扉が急に開き、ピンク色のゴスロリの服を着た少女と黒子の格好をした二人がいた。
「見ぃつけた!」
フラッシュを焚かれ、思わずアイクとブランは目を閉じる。
「…誰?」
「私はアブネス! 幼年幼女の味方よ!」
「…えっ?」
「大人気ネット番組、アブネスチャンネルの看板レポーターじゃない!知らないの?………さあ、今日も中継スタートよ!」
「…中継?」
「全世界の皆! 幼年幼女のアイドル、アブネスちゃんでーす!」
理解が追い付かないまま、アブネスは勝手にレポート始める。
「今日はルウィーの幼女女神、ブランちゃんのところに来てるぞ☆」
「おい…。テメェ、いい加減に――」
「ところで、妹のロムちゃんとラムちゃんが誘拐されたって噂は本当なのかな、ブランちゃん?」
「っ!? どうしてそれを…!」
「本当なんだ!?アブネス、心配…!で!可愛い妹を誘拐された気分はどうですか、ブランちゃん?」
ブランが動揺していると、アイクがブランを庇うように前に出る。
「おい!なんなんだお前は!誰の許可を得て此処にいる!」
「なによ!幼年幼女以外はすっこんでなさい!」
「俺は守護者のアイクだ!これ以上はブランに対する精神的侮辱として受け取るぞ!」
「あ!そう言えば、弟君のニア君とニヤ君、大怪我して今気絶してるんだよね!」
「くっ…………一体何処から、そんな情報を…………!」
アイクは苦虫を噛み潰した表情をする。
「自分の弟も守れない様で、守護者だなんて良く言えるわね。貴方、守護者失格なんじゃない?」
「こいつ…………!」
アイクは我慢の限界らしく、拳を握る。
だが、拳を握って気付いた。
もし、ここで暴力を行えば、国民は守護者を信じれなくなる。
そうなれば、シェアは下がってしまう。
その為、アイクは行動に移せなかった。
「ご覧の様にあの守護者も何も言えず仕舞い!こんな守護者に国の守護を任せてもいいのでしょうか!そして、妹たちが誘拐されたのになんの釈明も出来ない幼女女神!やっぱり、幼女に女神は無理です!」
好き放題言われてるのにも関わらず、アイクは何も出来ない自分に腹を立てていた。
その瞬間、執務室の扉が開き、そこからリオとスワルト、シオンの三人が現れた。
三人は、もう一度アイクに捜査協力を申し出ようと部屋の前までやって来て、この状態を知った。
そして、リオは行き成り走り出した。
「おっと!盛大に足が滑った!」
助走を付けて放った蹴りは黒子の持ってるカメラを直撃しカメラが大破する。
「ああー!十万以上のカメラが!」
「更に、俺の足も滑った!」
今度はスワルトが上に飛び上がり、踵落しをカメラに叩き付け、入ってるテープを破壊する。
「どう言う訳か僕の手も滑った!」
最後にシオンが持っていたライターでテープに火を放ち、カメラごと焼却する。
「な、なにすんのよ!?」
「なにすんだだ?それはこっちの台詞だ」
リオはドスを利かせた声でアブネスに近づく。
「テメーこそ、何してるか分かってんのか?」
「な、何って私は幼年幼女の為に……」
「それはその幼年幼女とやらが頼んだのか?僕たち私たちを助けて下さいって」
威圧的に言葉を放つリオにアブネスは涙目になり始める。
「テメーの勝手なエゴで!人様を陥れようとしてんじゃねぇぞ!」
「ひいいいいいいいいいいい!!?」
アブネスはとうとう泣き出し、黒子を引き攣れ執務室を去って行った。
「アイク、大丈夫か?」
スワルトがカメラの残骸を片付けながらアイクに尋ねる。
「ああ、大丈夫だ。すまなかったな、助かった」
「気にしないで、僕たちは仲間を助けただけだから」
「リオ!ブランは無事!?」
今度はネプテューヌ達が執務室に入って来て、今度こそ執務室は完全に閉じられた。
「さっきのは一体なんだったのよ?」
「一体何処から入って来たのでしょう?」
ノワールとベールがそう言ってると、ブランの体が急に傾き、倒れそうになる。
「ブラン!」
アイクは咄嗟にブランを受け止め、床との接触を避けさせる。
「急にどうしたんだ?」
「もしかして、さっきの中継をルウィーの国民が見て、シェアが下がっちゃった、とか?」
「あ、シェアが少なくなると女神は力が出なくなっちゃうもんね」
「いえ、シェアのせいじゃないと思うわ。いくらなんでも影響が早過ぎるもの」
「それに、シェアが下がったならアイクにも異変が起きるはずだ」
「そのアイクに異変がないってことは少なくともシェアの影響じゃないね」
「それじゃあ、シェアが下がった以外の理由で気絶したってこと?」
全員がブランが倒れたことを考えていると、ベールが声を出す。
「あの………皆さん。方法がありますの。ロムちゃんとラムちゃんの居場所を突き止める方法が」
ブランを部屋に寝かせ、アイクを付き添いに残し、リオ達にその方法を説明する。
「僕とベール、そしてブランとアイクはある計画を進めていたんだ。昔、人工衛星を使ったサービスが行われていたのは知っているよね?」
「お寺ビューとか言う奴か?」
「でも、確かアレは十年くらい前に終了したはずじゃ………」
リオ達と話しながらベールとシオンはシステムを弄り、人工衛星の説明を続ける
「あの人工衛星は未だに稼働を続け、映像を記録し続けでていますの。正し、低解像度なので、それを解析する為のソフトウェアをリーンボックスの研究チームが開発しましたの」
「おぉー!さっすがベールのとこは進んでるね~!」
「それで僕らはブランとアイクに持ち掛けたんだ。ルウィーが写真のデータを提供してくれたら、我が国はこのソフトを提供するってね」
「え?それってあなたたちだけが世界中の情報を手に入れられるってことじゃない!?」
「ええ!? 私たち見られ過ぎて困るじゃん!?」
「友好条約を結んだのに、それはちょっとずるいんじゃないですか?」
「いいえ。私たち、そのデータを皆で共有しようと思っていたのですわ」
「「「「「「「「え?」」」」」」」」
ベールの言葉に全員が驚きの声を上げる。
「ブランとアイクが言い出したんだよ。友好条約を結んだのだから、四つの国で等しく利用すべきだってね」
「そうなの?」
「だから、公開するタイミングをうかがっていたのですわ。サプライズプレゼントみたいで洒落てるでしょ?」
「それで言うのを渋っていたのか…」
ヴァイスが納得していると解析が終了した合図が鳴る。
「解析が終わりましたわ。これで誘拐犯の逃げた場所が――あら?この場所って…」