かちこめ! 花子さん   作:ラミトン

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そのにじゅうさん 恐怖?友の絆と異変の兆し!

 

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 太郎くんへ

 

 

 こんにちは。今日は嬉しいお話があります。

 

 フランちゃんがね、帰ってきたの! 私、嬉しくて嬉しくて、今もごきげんなんだ。

 

 太郎くんとも、一度だけ大ゲンカをしたよね。泣きながら謝った私を、太郎くんが笑いながら許してくれたこと、今でも覚えているよ。

 

 ケンカをしちゃうと悲しいけど、仲直りすると全部飛んでいっちゃう感じは、こっちに来ても同じでした。

 

 私はもうすぐ紅魔館を旅立つんだけれど、その前に、とってもすごいことが起こりそうです。

 

 もしかしたら、私の名前が幻想郷の歴史に乗ってしまうかも。いい意味では、ないんだけどね。

 

 暖かくなってきたし、トイレが臭い始める季節だね。太郎くんにとってはお家なんだから、ちゃんとお掃除してね。

 

 それでは、またね。お元気で。

 

 

 花子より

 

 

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 紅魔館の新たな伝説の一つとなったカリスマ・ハザードから、早三週間。人里近くで桜が満開になった頃、フランドールは帰ってきた。

 帰宅の知らせを聞いて、花子は一目散にレミリアの部屋を飛び出した。いつもは遠慮がちに歩いていた廊下も、今日は全力疾走だ。

 階段を飛び降りて、曲がり角を急カーブし、妖精メイドとぶつかっても一言謝るだけで走り抜ける。テラスから飛べばよかったと気づいたのは、玄関の大扉を開けてからだった。

 門の前で、美鈴が立っていた。寺の住人、雲居一輪と話している。

 

「美鈴さん!」

「おっと、やっぱり花子さんが最初でしたか」

 

 予想通り、と美鈴が言う。花子はその場で、周囲を見回した。探す姿はただ一つだ。

 見つけた。門から少し離れた場所にいる水蜜の背後に、桃色の日傘が揺れている。こちらの様子を恐る恐る伺っていた。

 サイドテールの金髪も、姉と同じ紅の瞳も、何もかもが懐かしく感じる。たった数週間しか離れていないというのに、どうしてこんなにも――

 水蜜が、フランドールの背中を押した。一歩前に出て、隠れるところがなくなったフランドールは、上目遣いに花子を見つめる。

 

「……花子」

「フランちゃん」

 

 呟いて、花子は胸のうちからこみ上げてくるものを感じた。体いっぱいに広がっていくそれを、止められない。

 泣かないと、決めていたのに。歯を食いしばっても、我慢できなかった。フランドールもまた、日傘の下でポロポロと、涙を零している。

 初めにどんな言葉をかければいいのか、どう謝ろうか、花子は三週間の間、ずっと考えていた。それらはこの瞬間、全て無駄になってしまったようだ。

 

「フランちゃんっ……」

 

 もう、止まらない。花子はフランドールに飛びついていた。彼女の反射神経なら簡単に避けられただろうに、日傘を少し持ち上げて、片手で受け止めてくれる。

 フランドールの温度が、抱き返してくれる優しい腕が、嫌われていないのだと信じさせてくれた。

 二人は揃って、その場で盛大に泣き喚いた。真昼間からの大音声だが、美鈴や一輪と水蜜、後からやってきたレミリアと咲夜も、それを止めようとはしない。

 耳元で、ごめんねだとか会いたかったとか、これが大人の男女であったならそのまま恋愛喜劇になりそうな台詞を、恥ずかしげもなく囁きあった。

 さんざん泣いて、二人はほぼ同時に落ち着いた。フランドールの首に腕をからめたまま、花子は鼻も耳も真っ赤になってしまった顔で、照れくさそうに笑う。

 

「えへへ。……フランちゃん、おかえり」

「……ただいま、花子」

 

 にっこりと、フランドールは花子がずっと見たかった顔を見せてくれた。

 咲夜と美鈴は、一輪と水蜜を相手に菓子折りを渡しながらひたすら謝罪している。今回の騒動で一番苦労したのは、きっと彼女達だろう。

 花子がフランドールから離れると、それを待っていてくれたらしいレミリアがやってきた。フランドールが再び顔を俯ける。

 

「フラン、まずはお帰りなさい」

「ただいま、お姉さま。……あのね、私、ごめんなさい」

 

 唐突に謝られ、レミリアは妹とお揃いの日傘をくるりと回した。

 

「自分がどういうことをしたのか、分かっているかしら」

「……うん。高貴な一族の名を汚す、恥ずべき行為……だったと思うわ」

「よろしい。ちゃんと反省はしてる?」

 

 レミリアの顔は、今も厳しい。

 花子としては、できればこれ以上フランドールを責めないで欲しかったが、姉として言わねばならないことなのだろう。じっと見守ることにする。

 日傘があるのであまり大きくは出来なかったが、それでもフランドールは頭を下げた。

 

「反省してるよ。もう、勝手に飛び出したりしません」

「お姉さまと、お父さまやお母さまに誓える?」

「誓えるわ。ちゃんと言うこと聞いて、立派な吸血鬼になります」

 

 そこまで聞いて、レミリアはようやく満足そうに頷いた。彼女だって、フランドールに会いたかったに違いない。実際、花子はレミリアが寝言でフランドールを呼んでいるのを、何度か聞いている。

 ずっと遠慮していたらしい一輪が、ようやく菓子折りを受け取ってくれたらしい。咲夜は土下座せんばかりの勢いで頭を下げている。それよりいくらか柔和にだが、美鈴も一輪に礼を述べているようだ。

 フランドールが、門の前に広がる林――正確にはそのもっと奥だろう。館の外を名残り惜しげに見つめる。彼女の自由は、今日で終わってしまったのだ。

 しかし、レミリアはきっと、近い将来フランドールが自由に外出することを許してくれるだろう。花子はそう信じて疑わない。レミリアは、彼女がそうだと思うよりもずっと、妹思いのいい姉なのだから。

 

「それでは、私達はこれで」

「また何かあったら、いつでも言ってくださいね」

 

 咲夜の謝罪を受けきったのか、一輪が美しく一礼し、水蜜が片手を上げた。

 街道へ続く道に向かう二人の背中に、フランドールが声をかける。

 

「一輪、水蜜!」

 

 振り返った一輪と水蜜は、優しく微笑んでいた。

 言いたいことがまとまっていなかったのか、言葉に詰まったフランドールだが、すぐに日傘の下で満面の笑みを浮かべる。

 

「……今日までありがとう、楽しかったよ!」

「こちらこそ。また遊びにいらしてくださいね」

「うん、絶対行く。ぬえとマミゾウにも、ありがとうって言っておいて!」

「もちろん。他の皆にも、ちゃんと伝えとくよ。元気でね!」

 

 再び背を向けて、今度こそ一輪達は行ってしまった。

 ぬえとマミゾウという名前に、花子は聞き覚えがあった。というよりはっきり覚えているのだが、今ここで詳しく聞かなくとも、今夜にでもフランドールがたっぷりと語ってくれるだろう。

 一輪と水蜜の後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから、一行は紅魔館へと引き返した。門の前で、レミリアが皆に向かって、

 

「さ、フランも帰ってきたことだし、お茶会でもしましょうか。咲夜、パチェとこあも呼んできてちょうだい」

「かしこまりました」

「美鈴も、一緒にいかが? あなたにも苦労をかけたものね」

「あれ、いいんですか? じゃあ、お言葉に甘えちゃおうかな」

 

 あるべきものが、戻ってきた。今まで感じていた違和感がなくなり、歯車が滑らかに回り始めたような心地よさを覚える。

 和やかな、いつもの紅魔館だ。花子もフランドールもレミリアも、恐らくこの館に住む者全てが望んだ日常が、そこにあった。

 桜咲き乱れるこの時になって、花子の心にはようやく春が訪れていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 プールと間違えられるほど大きな紅魔館のバスルームは、たった三人しかいないのに、とても賑やかだった。

 

「それでね、私はぬえの部屋に泊めてもらってたの。ぬえは意地悪だけど優しくて、新しいお姉さまができた気分だったわ。あ、でも一番はレミリアお姉さまよ、うふふ。でね、ぬえとマミゾウはすごく仲良しで、私もそこに入れてもらったんだ。三人で一緒に響子とかナズーリンにイタズラして、すっごく楽しかったぁ。

 お寺の食事は、こう言っちゃ悪いんだけど、とっても質素なのよ。お肉は絶対に出ないし、野菜ばっかりなの。でもなんでかな、咲夜の料理に負けないくらい美味しかったわ。あぁ、また食べたいな。咲夜にお願いしようかな。おやつの時間には、お抹茶をいただいたの。苦くてびっくりしたけど、慣れると紅茶よりも癖になりそう。おまんじゅうも甘くて、口の中がとろけるかと思ったの!」

 

 独特のリバーブを効かせて、フランドールの楽しげな声が響く。時々レミリアの相槌も聞こえてくるが、髪を洗っているため目を閉じている花子には、彼女がどんな顔をしているかは見えなかった。

 流れ水を渡れないとはいえ、風呂には入るらしい。シャワーを使えないのでコツがいるそうだが、さすがに五百年も生きているだけあって、二人とも慣れたものだ。

 髪を洗い流して、花子は手で顔の水滴を拭った。大きな浴槽に浸かる間にも、フランドールの話は続く。

 

「でね、私がいる間は来なかったんだけど、命蓮寺には魔理沙がたまに遊びに来るんだって。なんでも、白蓮と仲良しなんだそうよ。白蓮はお寺で一番えらくて、すごく優しくて真面目な人だったわ。昔は人間だったって言ってたけど、本当かしら? そういえば、お寺の妖怪は人間臭い妖怪がいっぱいだったよ。花子に似てるっていうのかな。響子とか一輪とか、星と水蜜もそうだわ。他は、まぁ、ぼちぼち」

 

 よほど楽しかったのだろう。昼のお茶会から、フランドールは話しっぱなしだ。こんなにも朗らかな顔をされると、ケンカをしてよかったとさえ思ってしまう。

 彼女がぬえとマミゾウとつるんでいたことには驚いたが、何もあの二人とは敵対しているわけではない。イタズラを仕掛けられた時は面白くなかったが、考えてみれば、フランドールもかなりのイタズラっ子だ。馬があったのだろう。

 西洋の風呂だからか、湯の温度はぬるい。浴室のスタンドテーブルには冷たい飲み物まで用意されていて、いつも長風呂になっていた。三人でいると、時間はあっという間に過ぎていくから不思議だ。

 

「とても楽しかったのは分かったけれど、何か学んだことはあったのかしら?」

 

 レミリアの問いに、フランドールは瞳を輝かせた。

 

「あったよぉ! 廊下の雑巾がけは上手になったし、響子には般若心経も教わったよ。正直に言えば、あれもやれこれもやれって言われるのは窮屈だったし、ぬえがいなかったら嫌になってたと思うわ。でも、お掃除もお片づけも、慣れるとすっごく楽しいの。花子がきれい好きな理由、分かったよ」

「汚れが落ちるって、気持ちいいものね」

「うんうん。今度、咲夜のお手伝いをしようかな。こあでもいいわね、図書館は埃っぽいしかび臭いし。あぁでも、勝手にいじくったら、パチュリーに怒られるかな?」

 

 そうかもねと首肯して、レミリアが浴槽から出た。ペタペタとスタンドテーブルに向かい、並んでいる瓶の一つ――中身は冷やされた牛乳だ――を手に取り、腰に手を当てて呷る。その姿は実に親父臭いが、なぜか似合っていた。

 浴槽の縁に手をかけ、バタ足の要領で水面を叩きながら、フランドールは上機嫌に鼻歌など歌っている。その横顔を眺めながら、花子は一抹の不安を覚えていた。

 仲直りできたとはいえ、近いうちに旅立つことに変わりはないのだ。いつそれを言うべきか、ずっと悩んでいた。

 しかし、そのタイミングは花子が予想もしなかった時に訪れる。瓶の中身を飲み干したレミリアが、フランドールと花子の分の瓶を持ってきながら、

 

「そういえば、花子はいつ出発するんだったかしら?」

 

 あまりにもさっぱりと言ってのけるものだから、花子は思わずフランドールの顔色を伺っていた。

 少しだけ寂しそうだったが、もう駄々をこねるつもりはないらしい。浴槽縁に座って、レミリアから瓶を受け取りつつこちらを見ている。

 花子も牛乳をもらって、蓋を開けながら答えた。

 

「えっと、まだ考え中なの。目的地も決まってないし……。でも、来週か、遅くても再来週には出発するよ」

「そう。必要なものとかがあったら、遠慮なく言ってちょうだいね。準備してあげるから」

「ありがとう、レミィ」

 

 半分は、嘘だった。どこに行くかが決まっていないのは本当だが、もともとそんなものを決めるつもりはない。いつでも旅に出ることはできるのだ。

 ただ、フランドールと再会して、今度は花子がもう少し一緒にいたいと思ってしまったのだ。正直に話そうものなら、からかわれるのは目に見えているので、口には出さないが。

 牛乳を飲みつつ談笑していると、おもむろにフランドールが言った。

 

「花子がもう少しいるんなら、お別れパーティーとかもしたいね」

「そんな……」

 

 紅魔館での暮らしは、ただでさえ毎日パーティーのようなものだった。花子にとって、これ以上のもてなしはない。

 だが、遠慮しきれない自分がいた。花子のためでもあるだろうが、フランドールは再会の時まで我慢できるほどの思い出を欲しがっていると、そう感じたからだ。

 レミリアもそれを理解しているらしく、濡れた前髪をいじりながら、

 

「そうねぇ。何かやりましょうか」

「あの、簡単なのでいいからね? 私は二人に何もしてあげられていないもの」

 

 結局気がねしてしまい、花子はフランドールにおでこを突っつかれた。

 

「そんなことないよ。まったく花子は、すぐそういうこと言うんだから。私達に任せてくれてればいいの。そうだよね、お姉さま」

「うん。私達が派手好きだってこと、花子も知っているでしょう? それでも遠慮するってなら、あなたのために開催はしないわ。私とフランがやりたいからやるの。私んちがパーティーするのなんて、今に始まったことじゃないしね。花子がうちにいるなら、当然巻き込むわ」

 

 レミリアの言葉は、まさに花子が想像していた通りのものだった。レミリアと相性がいいのだと思えば、嬉しくもある。

 花子としても、催し物は嫌いではない。むしろ好きな部類で、小学校の運動会や学芸会では、主役の子供達以上に心を踊らせていた。

 遠慮してしまった手前表情には出さないが、レミリアとフランドールがどんなパーティーを開くのだろうと、内心ではワクワクしている。

 

「普通に食べて飲んで騒ぐだけってのも飽きちゃったし、なんか変わり種がほしいわね。フラン、いいアイディアないかしら?」

「んー、そうだなぁ。暖かくなってきたし、どかーんとおっきなことをしたいな」

「具体性が全くないわね……。うぅん、花子は何かやりたいこととか、ないの?」

 

 訊ねられて、花子は空中を見上げた。二人と過ごす日々は退屈とは無縁だが、思えばレミリア達について回っていたばかりで、自分がしたい遊びを提案したことはほとんどなかった。いざ考えてみると、意外に思いつかない。

 

「お手玉大会、とか」

「絶対盛り上がらないわ。却下」

「じゃあ、紅魔館のみんなで運動会?」

「私とフランがぶっちぎりね。つまらないと思うから、却下」

「……」

 

 意見を聞く気があるのだろうか。花子は半眼でレミリアを睨んだ。その後ろにいるフランドールの顔を見るかぎり、わざと否定して楽しんでいるのだろう。

 とはいえ、確かに今述べたことは、いまいち盛り上がりに欠けそうだ。三人だけで遊ぶならまだしも、パーティーと呼べる人数を集めてとなると、なんとも難しい。

 レミリアとフランドールの顔が、湯から立ち上る湯気で霞む。湖の霧と似ているなと心中で呟いた時、花子はあることを思い出した。

 何ヶ月か前に聞いた、レミリアが起こした異変のことだ。赤い霧で幻想郷中を包み込んだ、紅霧異変とか言ったか。スペルカードルールを使った異変を初めて起こしてやったのだと、レミリアはとても自慢気だったことを覚えている。霊夢と魔理沙が乗り込んできて、紅魔館の住人総出で迎え撃ったとか。

 スペルカードルールに必要な第三者のジャッジを疎ましく感じ、霊夢や魔理沙とレミリア達が即興で作ったルールが異変後に細かく練られ、今の弾幕ごっこになっているそうだ。

 

 思考はすっかりずれていたが、花子は本題に戻ることを忘れて、声に出していた。

 

「異変が起きるって、どんな感じなんだろう」

 

 呟いてから、ハッとして吸血鬼姉妹を見る。二人はそっくりな紅い瞳をぱちくりとさせて、

 

「あなた、異変を起こしたいの?」

「結構大胆だねぇ、花子」

 

 しまったと、花子は焦った。ただなんとなく思ったことを呟いただけなのだが、会話の流れを考えれば、そう取られても仕方がない。

 弁明しようとして、花子は足を滑らせた。湯の中に沈み、慌てて立ち上がる。レミリアとフランドールが、おかしそうに腹を抱えていた。

 

「わ、笑わないでよぅ! えっと、そういうつもりじゃないんだよ。異変をやってみたいわけじゃなくって」

「あらあら、ダメよ花子。自分には正直でなくちゃ」

 

 取り合ってくれないレミリアが、にやりと白い小さな牙をのぞかせる。やってしまった。花子は頭を抱えたくなった。

 フランドールの方を見れば、双子かと思ってしまうほど姉にそっくりな笑みを浮かべていた。

 

「そうそう、お姉さまの言うとおり。もっと素直に生きなきゃ損だよ?」

「今の私は、誰よりも素直だと思うな! ねぇ、今の異変がどうのってのはなしで、お願い」

「ダメー! 私もお姉さまもちゃんと聞いちゃったもんね。もう前言撤回はできませーん」

「……いじわる」

 

 頬を膨らませて訴えてみるものの、いつもの調子を取り戻した二人が相手では、通用するはずもない。

 言いだしっぺになってしまった以上、関わらないというわけにもいくまい。振り回されるのにもいい加減慣れたので、花子はいっそ開き直った。

 

「あぁん、もう。どうにでもなっちゃえ!」

「あはっ! いいわね、花子のそういうところ、好きよ」

 

 濡れたおかっぱ頭をワシワシと撫でながら、レミリアはとても嬉しそうだ。彼女にこの顔をされると、どんなに酷いワガママであっても、逆らうことができない。

 

「やったぁ! じゃあ決まりだね、どんな異変にするの?」

 

 踊る心を抑えきれないフランドールが、お湯をかき分けてレミリアに詰め寄る。

 

「そうねぇ。せっかくだし、今回はフラン、あなたがやってみる?」

「え、いいの?」

「紅霧異変の時は、ずっと地下にいてくれたものね。いい機会だから、あなたの存在をもっと世間にアピールしてごらんなさい。花子が一生忘れられないような、素晴らしい異変にするのよ」

「うん! お姉さま、大好き!」

 

 不意に抱きつかれて、レミリアは妹ごと湯船にザバンと沈んだ。二人分の水しぶきが上がり、すぐに浮き上がってくる。

 仲のいい二人を見ていると、花子も和む。大きなケンカをしてしまったが、やっぱり仲良しが一番だと、花子は一人頷いた。

 こちらを向いたフランドールが、湯の中を一生懸命に進んできた。花子の手を握り、

 

「花子、私、がんばるよ。絶対楽しい異変にしてみせるからね!」

 

 屈託のない笑顔は悪魔とは思えぬほどキラキラと、宝石を散りばめたかのように輝いていた。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 こいつは何を言っているんだ。声にこそ出さなかったが、パチュリーは口の中でこっそりと呟いた。

 紅魔館の一室、食堂の正面にある、応接間だ。めったに使われることはなかった部屋だが、最近は使用頻度が上がっているとか。

 あまり広くない部屋には、レミリアとフランドール、花子の三馬鹿娘を初めとして、咲夜、美鈴、パチュリー、小悪魔と、紅魔館の主要な面子が集められている。

 

「あのぅ、差し支えなければ、もう一度仰っていただけませんか……?」

 

 傍らに立つ小悪魔が、遠慮がちに訊ねる。何度聞いても結果は変わらないだろうに、律儀な女だと、パチュリーは横目で彼女を見上げた。

 聞かれたレミリアは、壁にかかっているどこから持ってきたのか分からないホワイトボードを指さした。

 

「だから、見ての通りよ。異変を起こすわ」

 

 ホワイトボードには、地面から木が生えており空には太陽が浮かんでいるという、実に単純な上に悲しくなるほど下手な絵が書かれていた。レミリアの直筆らしい。

 特徴として太陽と地面の間にバツ印が書かれていて、空は青ではなく、赤やら黄やら緑やら、ごちゃまぜの色になっている。好意的に解釈をすれば個性的な絵画だが、何が見ての通りなのか、パチュリーの頭脳を持ってしても理解はできなかった。

 頬杖をついてレミリアを見つめるパチュリーの視線を受けて、レミリアが膨れ面をする。馬鹿にした覚えはないのだが、内心が伝わってしまったようだ。

 レミリアは、信頼を置く従者に助けを求めた。

 

「咲夜はこの絵の意味、分かるわよね?」

「……えっと」

 

 頬を掻きながら、咲夜は誤魔化し笑いをした。しかし、レミリアに引くつもりはないと見える。

 しばらく考えてから咲夜が出した答えは、かなり苦しいものだった。

 

「太陽が……嫌い、ということでしょうか」

「そんなの昔っからじゃない! 今更説明するようなことじゃないでしょ、もう。じゃあ美鈴は?」

「そ、そうですねぇ。えぇっとなにかなぁ。うぅーん」

 

 なぞなぞをしているわけではないのだが、美鈴は真剣そのものだ。

 理解してもらえないことが悔しいのだろう、レミリアは目尻に涙など溜め始めていて、フランドールには呆れられ、花子に肩をぽんぽんと叩かれ慰められている。

 腕組みをしつつ唸っていた美鈴が、おもむろに膝を打った。ウィンクをしながら、人差し指を立てる。

 

「分かりましたよ、お嬢様」

「ほ、ほんと?」

「えぇ! この絵、地面と木は黒一色で描画されています。これは闇、すなわち夜の意味。夜の帝王たるお嬢様方が生きる暗黒の世界です。対して、太陽は赤く塗りつぶされている。一見すれば当たり前の配色ですが、この赤は言い換えれば紅、スカーレット――お嬢様のパーソナルカラーです。そう、吸血鬼のお嬢様にとって天敵である太陽は、しかし大地にとってなくてはならないもの。大地が枯れれば、夜暗を舞うお嬢様が支配する者もいなくなってしまう。空のごちゃまぜな色は行き場のない混沌の感情を表していて、真ん中の大きなバッテンは、そんな矛盾に苦悩するお嬢様の御心そのもの。この絵画は、お嬢様と太陽の、切りたくても切り離せない悲しい宿命を描かれた、大作なのです!」

 

 どうだ。説明を終えた美鈴は、これでもかとばかりに胸を張った。

 そういう考え方もできるのかと納得しかけて、パチュリーは小さくかぶりを振る。あんな捉え方ができるのは、美鈴くらいなものではないだろうか。

 案の定不正解だったようで、レミリアはそっぽを向いてしまった。

 

「あれ、ハズレ?」

 

 間の抜けた美鈴の声を受け、その場の一同がため息をつく。美鈴は先程の威勢を引っ込めて、恥ずかしげにティーカップの中身を啜った。

 このまま何も説明をされないのでは、いい加減話が進まない。とりあえず、パチュリーは見たまま分かることを口にしてみた。

 

「……土と太陽の間にバツ印があるということは、その間にあるものを消すとか、そういうことじゃない?」

 

 改めて言ってやったが、あの絵を見れば誰だってそう思うだろう。しかし、レミリアは文字通り飛び跳ねて、

 

「そう、そうよその通り! さすがパチェ、私の親友! 愛してる!」

 

 尋常ではないレミリアの喜びように、パチュリーは苦笑を禁じ得なかった。描き終わるのに五分とかからなかったのではないかと思える絵だが、彼女なりに思い入れがあるのだろう。

 以前レミリアがやらかした紅霧異変は、太陽光を遮るために紅い霧で幻想郷を満たしていた。今回もそれに似た異変だと踏んでいるのだが、なんとも嫌な予感を覚える。

 

「今回は、フランが異変を起こすわ」

「えっへん」

 

 紹介されて、フランドールが両手を腰にやり自慢げに一歩進み出た。

 まさかとは思ったが、予感は当たってしまったらしい。パチュリーは頭痛を覚えた。

 

「妹様が主催とはね。太陽でも壊すつもり?」

「惜しいっ。さすがに太陽を壊しちゃったら怒られるだけじゃ済まないから、他のものを壊すわ」

 

 もったいぶっているのか、フランドールは人差し指を立てて、ちっちと左右に振る。

 

「壊すのは、お日さまの光よ!」

 

 今度は、目眩を覚えた。太陽を破壊することと、何が違うというのか。

 姉より鋭いフランドールは、パチュリーの疑問を察したようだった。

 

「あぁ、大丈夫だよ。私の能力じゃ光は壊せないから、パチュリーが考えてるようなことにはならないわ」

「じゃあ、どうするつもりなの?」

「お姉さまがやったみたいに、霧を出すの!」

 

 紅霧異変の再来、ということだろう。リベンジのつもりなのか、他に思いつかなかったのか。本人が満足そうなので、パチュリーが言うことは何もないのだが。

 両手を突き出して、フランドールはニコニコしながら言った。

 

「お姉さまの霧は光の屈折で赤くなってたけど、私はお姉さまより魔法が上手だから、自分の意思で色をつけられるんだ。きっと楽しい異変になるわ!」

 

 誰が楽しいのかなど、聞くまでもない。吸血鬼の姉妹と、隣で明らかに諦めの表情をしている花子のことを差しているのだろう。

 紅魔館の住人にとって、二人の気まぐれはいつものことだ。今回のように無茶苦茶を言い出すことにも慣れている。花子もいい加減順応しているらしい。

 

「それにしても、突然異変なんて。何かあったんですか?」

 

 小悪魔の問いは、もっともなものだった。紅霧異変の時でさえ、数日前から日光が邪魔だとレミリアが騒ぐという前兆があった。今回はそれが、全くない。

 皆が同じことを疑問に思っていた。レミリアとフランドールは、時々誰もが驚くほど思慮深くなる。もしかしたら、何か大きな理由があるのかもしれないという期待もあった。

 あったのだが、無駄な期待だったようだ。

 

「なんもないわ。花子のお別れパーティーよ。太陽を隠すのはついで」

「異変をやろうって言い出したのも、花子だよ」

「えぇっ!?」

 

 突然話を振られた挙句主犯格に持ち上げられ、花子が驚いてレミリア達に振り返る。

 心外だと言わんばかりに、レミリアが眉を寄せた。

 

「なによ。嘘はついてないでしょ」

「そ、そうだけど。でもそんな、幻想郷中を巻き込むなんて」

「それが異変だもの。知らなかったわけじゃないでしょう? それに、私とフランはあなたのためを思って、がんばって考えたのよ」

「むぅ……。分かったよぅ」

 

 異変の提案者が花子だとは驚いたが、彼女のリアクションを見るかぎり、率先して異変をやろうと言い出したというわけではなさそうだ。

 紅魔館の外にも友人が多い花子だ。自分のせいで他の妖怪にまで被害が及ぶことは、できれば避けたいのだろう。

 残念ながら、その望みを叶えてやることはできなそうだ。紅魔館の主とその妹は、他人様に全力で迷惑をかけ、それを楽しむ性質なのだから。

 

 しかし、異変である。パチュリーには異変による幻想郷への影響よりも、最近ご無沙汰だった弾幕ごっこをうまくやれるだろうかという心配があった。

 どうあっても、平穏に解決するはずがあるまい。否が応にも、一戦交えることになるだろう。

 

 異変となれば必ず、あの二人がやってくるのだから。

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 桜の季節に心浮かれたか、昨日の晩は飲み過ぎた。天狗と鬼を交えての宴会は、どうしてか自分まで浴びるように飲めると錯覚してしまうから恐ろしい。

 暖かくなっても未だに出しっぱなしのこたつに埋まっていた霊夢は、突然飛び込んできた何者かに頭を引っぱたかれた。二日酔いの霊夢には酷すぎる仕打ちだ。

 

「おい霊夢、起きてるか?」

「起きたわ」

 

 痛む頭を抑えて、こたつから這い出す。昨晩は魔理沙も一緒に飲んでいたはずなのに、霊夢とは対照的なほど顔色がいい。

 呑む量をうまい具合に調整したのだろう。鬼やらを相手に、まったくしたたかな女だ。霊夢はちゃぶ台に置いてあったコップを手に取り、中の水を飲み干した。

 

「調子に乗って飲むからだ。少しは加減しろよ」

「仕方ないでしょ。萃香の面倒見てたら、嫌でも飲まなきゃなんないのよ」

 

 まだ、頭がガンガンする。気だるげにかぶりを振ってから、頭の大きなリボンを直した。

 

「それで、なんの用?」

「おっとと、そうだそうだ。忘れるところだった」

 

 許可無く上がりこんだのだからよっぽど慌てていると思ったのだが、魔理沙も霊夢に負けないほど暢気な少女だ。こんなものだろう。

 なぜか咳払いなどしてから、魔理沙はいくらか真剣な顔つきで告げた。

 

「異変だぜ」

「パスするわ」

 

 即答してこたつに潜りこもうとするが、魔理沙は霊夢を羽交い絞めにして、無理やり引きずりだした。

 

「ダメだぜ。お前が行かないと張り合える奴がいないじゃないか」

「早苗でも呼べばいいでしょ」

「あいつじゃダメなんだよ。私は霊夢に勝ちたいんだ」

「あんたと張り合うために異変解決してるわけじゃないわよ。今回は譲るから、魔理沙が何とかしてよ」

「そうか。じゃあ人里からの依頼報酬は私のものだな。米五俵と酒四斗だったかな、ありがたいありがたい」

 

 霊夢はすっくと立ち上がった。

 幻想郷の異変は霊夢の異変だ。か弱き人間を守るため、愛しいお米を救うため、立ち上がらねばなるまい。酒は、今はいらない。

 ずきんと痛む二日酔いを活で吹き飛ばし、魔理沙を見る。

 

「私が行かねばならないようね。直感が言っているわ、妖怪を退治しろと!」

「ちょろいぜ」

「なに?」

「なんでも?」

 

 ぴゅうぴゅうと口笛を吹く魔理沙。簡単に乗せられてしまったが、悔しさはない。豊かな食生活のためだ。

 大幣とスペルカードを取るため自室に向かい、ついでに皺だらけになってしまった服を着替えて、準備完了。風呂にも入りたかったが、弾幕ごっこをすればどうせ汚れてしまう。

 居間に戻ると、魔理沙が勝手にお茶を淹れて飲んでいた。異変解決に向かう人間の姿ではない。

 

「おう、待ったぜ」

「待たなくてもよかったのに」

「つれない奴だなぁ」

 

 やれやれとぼやきながら立ち上がる魔理沙に、訊ねる。

 

「で、どんな異変なの?」

「外を見てみろよ」

 

 庭が見える障子の向こうを親指で指し、魔理沙が半笑いを浮かべた。

 また紅霧でも出ているのか、あるいは夜が終わらないのか。肌を撫でる空気は温かいので、春を奪われたわけではなさそうだ。

 今まで数々の異変を解決してきた霊夢は、今更驚くことなどなにもないと鼻を鳴らして、障子をガラリと開けた。

 そして、

 

「な、なにこれぇぇぇぇッ!?」

 

 見事に驚き、絶叫した。

 天狗の新聞に書いてある天気予報によれば、今日は晴れのはずだ。しかし、外はなんとなく薄暗い。もちろんそれだけでは、霊夢が驚くわけもない。

 暗い原因と霊夢が叫んだ理由は、太陽光を遮る霧だった。紅霧異変の再来かと思われるほど、空全体を霧が覆っている。

 その霧が、あまりにも酷かった。雲も空も分からないほど、まるで子供がでたらめに塗った塗り絵のような有様になっている。

 レミリアが出した紅い霧に比べたら、人間への毒性は薄く感じる。しかし、太陽光は間違いなく遮られているし、何よりも視覚効果が最悪だ。見ているだけで、目がチカチカして敵わない。

 

「ひっどい配色。これは米五俵出してでも解決したいわ」

「あと酒もな。ダメ元でマスタースパークを撃ってみたんだが、霧だからかな、全然手応えがなかったんだ。やっぱり元を断たなきゃダメだな」

 

 障子を閉めて、二人は神社の玄関に向かった。赤い小さな靴を履き、つま先で何度か床を叩いて、かかとを整える。

 

「いつも通りってわけね。私の勘だと、湖の方に原因があると思うんだけど」

「たぶん正解だぜ。あの霧から、フランドールの魔力が感じられるんだ。弾幕を散々やりあってるから、嫌でも分かっちまうんだよな」

「仕事がスムーズに進んでいいじゃない。この異変、一日も持たせないで終わらせてやるわ」

 

 玄関を開けながら、霊夢は息巻いた。やる気があるというよりは、さっさと終わらせて米をもらおうという魂胆だ。魔理沙には丸見えのようで、ニヤニヤされているが、まったく気にならない。

 神社の外に出て、魔理沙が箒に跨った時だった。なんの前触れもなく吹いた突風が、二人を襲った。咄嗟に目を腕で守る。

 風が止むなり、霊夢は怒鳴った。

 

「ちょっと文! 普通に出てきなさいよ!」

「あやや。私は比較的優しく着地したつもりだったんですが」

 

 烏天狗の射命丸文が、いつの間にか二人の前に立っていた。文花帖とペンを手にしているところを見ると、取材に来たのだろう。何のと聞かれれば、今日の異変以外にない。

 

「霊夢、出陣ですね?」

「異変だからね。邪魔するなら退治するわよ」

「仕事はスピードだぜ。お前も天狗なら、そんくらいの空気は読めよ」

 

 霊夢と魔理沙に軽くあしらわれても、文は顔色をまったく変えない。取材用スマイルを全面に押し出し、

 

「邪魔をするつもりはありませんよ。ただ、お二人の見事な異変解決の腕前を記事にさせてもらいたいなぁと」

「いるだけで邪魔なのよ。うるさいしちょこまか動くしで、気が散るったらないわ」

「酷いですねぇ。分かりました、では、この虹色異変を起こしている主犯格の居場所を教えてください」

 

 虹色異変。なんともまぬけなネーミングだが、虹霧異変とした場合、読みが紅霧異変と被ってしまうのだと、霊夢は気づいた。

 あの吸血鬼は、異変の名前をつけるところにまで迷惑をかけるのか。怒りよりも呆れてしまう。

 嘆息を漏らしつつ、文の質問に答える。

 

「たぶん、紅魔館よ」

「また連中ですか。……ん? 待てよ、確か紅魔館には……」

 

 一瞬考える素振りを見せたが、文はすぐに明るい調子に戻った。

 

「なるほど、了解です。では私、一足お先にあちらへ向かっておりますので。ご活躍、期待してますよ」

「言われるまでもないぜ」

 

 お気楽な魔理沙の返答を受け、文は「それでは」と一言残して、風の如く去っていった。

 漂う虹色の霧からは、紅霧異変の時とは違う、まるで子供が遊んでいるような波動を感じる。あの傲慢吸血鬼のことだから、ふざけ半分で起こした異変なのだろうなと霊夢は確信した。

 こんなにもカラフルな霧であることにも、理由はないだろう。まして、霧を出しているのが妹の方であるとしたら、なおさらだ。

 どんな理由があるにせよ、これ以上にないほど迷惑であることに変わりはない。霊夢は空へ飛び上がった。魔理沙も箒に乗ってついてくる。

 せっかく桜が咲き誇っているというのに、純色まみれになった空の下では目立てていないようだ。

 

「そういえば、まだお花見をしてないじゃない」

「お前、まだ呑むつもりか? さっきまで二日酔いだったのに」

「今も二日酔いよ。それとこれとは別」

「さようで。っと、妖精さんのお出ましだぜ」

 

 まだ神社から大して離れていないが、異変に乗じて好き放題やろうと考えた妖精たちが、霊夢達に妖弾を飛ばしてきた。虹色の霧に包まれていても、妖弾はとても強く光っているので、見落とすことはない。

 弾幕にもなれていない妖弾を回避し、霊夢が博麗の札を投げ、魔理沙はミニ八卦炉からレーザーを発射する。

 異変の開幕を告げる輝きが、虹色の空を駆け抜けた。

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