落第騎士と白雪姫の英雄譚   作:蛙竜

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読んで下さる方、ありがとうございます。
設定考えたら、原作に沿ってけばいいし、そのまえにちょっとストーリー書くだけだし週2くらいなら行けるだろ!
そう思ってた時期がありました。我ながら書くの遅せえええええ……
次はもっと早く書けるように頑張ります。(早くなるとは言ってない)
毎日投稿してる方って凄いなと思った今日このごろ。


『落第騎士』と『白雪姫』が出会った日

破軍学園入学初日、オレアリアは入学式とホームルームを終えて、一人で自分の寮の部屋へと向かっていた。本来ならここで友達の一人でも作っておくべきなのだろうが、身分がばれると困るので、オレアリアは信用できる人物かどうか、下手に詮索してこないかなどを見極めたうえで人と付き合おうと思っていた。

(さて、ルームメイトはどんな人かしら。なるべく強い人がいいわ。楽しみね。)

ガチャリとドアを開けて、部屋に入る。

「まだ誰もいないわね。先に荷物の整頓をしておこうこうかしら」

そうして、荷物の整理整頓をしていると、しばらくしてからガチャリとドアが開いて人が入ってくる。

「こんにちは。ルームメイトのオレアリアよ。一年間よろしくね」

「僕は黒鉄一輝。こちらこそよろしく」

そう挨拶をしながら振り返ると、黒髪の()()がいた。お互い、入試の時に顔を知っていた。それに、オレアリアからすれば保健室まで運んだのでよく覚えていた。

「えっ?あっ。貴方は入試の時の」

「あの時はありがとう。あれ?でもなんで?」

「……」

「……」

「まあ、あの時の事はいいのよ。でも……部屋を間違えてないかしら?」

女性のオレアリアと、男性の一輝が同じ部屋なのはおかしい。

「いや、鍵を開けて入ってきたからそれはないと思うんだけど……」

そう、オレアリアは確かに部屋に入ってから鍵を閉めていた。だというのに、一輝は部屋に入ってきている。ということは、一輝もこの部屋の鍵を持っているということだ。

「どうやら本当にルームメイトのようね……手違いという可能性もあるけれど…何か思い当たることはないかしら?」

「うーん……あの、今年度から開始された実技授業のランク制度があるでしょ?あれは僕の実家が僕を魔道騎士にしないためにしたことなんだ。だからこの部屋割りは、黒鉄に言われたからではなく、Fランクだから授業を受けれないっていう建前を守るための物だと思う。どうせまたいろいろしてくるだろうしね。だから、オレアリアさんが実技の授業を受けられないのも、これから先のことも、僕と黒鉄の問題に巻き込まれるせいなんだ。謝ってすむようなことじゃないけど、ごめんね」

「なるほどね。そんなこと気にしないわ。それに、あなたの家が悪いのであって、あなたは悪くないじゃない。言いたくなければいいのだけれど、私でよければ話を聞くわよ」

(実技の授業は受ける意味もないしね。)

「うん。じゃあお言葉に甘えて、僕の過去の話を聞いてもらおうかな。これから一年間ルームメイトとして、暮らしていくわけだしね」

そうして一輝は自分が黒鉄家で居ないもののように扱われていたこと。そのせいで今まで武術を一切教わらず全て自力で習得してきたこと。そして、それでも挫けずに魔道騎士を目指せるのは、四年前家出をしたときに、祖父である黒鉄龍馬に出会えたおかげだということを話した。

(悔しいなら、その悔しさを捨てるな。それはまだ、自分が諦めていない証拠だから。才能なんてもので、分相応なんてもので満足する小さい大人になるな。諦めなければなんにでもなれる。ね……とてもいい言葉だわ。)

「私からもいいかしら?これから仲良くしたいし、なるべく隠し事は無しにしたいのよ」

「うん。構わないよ。僕も仲良くしたいしね」

「ありがとう。でも、自分で言っておいてあれだけど、全てを言うのは無理なの。でも一年後に必ず伝えるわ。私はね、感じる魔力や学校に登録しているランクではFランクになっているけれど、実際はAランクなの」

実は皇族ですなどと言えるわけがない。だが、秘密よ。と可愛らしく人差し指にてを当てて笑うオレアリアが軽い感じで言った事には、

「えええええぇ!?どういうこと!?どうやったらそんなに魔力を抑えられるの!?しかもランク偽装もどうやったらできるんだよ!?」

一輝がパニックになるには十分すぎるくらい重要なことだった。

「まず、魔力については魔力制御しているだけよ。ランクについては秘密よ。さっきも言った通り一年後に話すわ」

「ねえ。黒鉄君。あなたは自分を諦めず。自分を信じて、すさまじい苦労と努力をしてでも、ここまで来たのよね?」

そんなこと、分かりきってはいるがもう一度聞く。

「ああ。そのつもりだよ」

「なら断言するわ。黒鉄君。あなたは落ちこぼれなんかじゃない。努力することが出来るのも、とても立派な才能よ」

オレアリアは、一輝を真っ直ぐ見つめてそう言い切る。

「ッ~~~」

そしてそれは一輝にとって、とても嬉しい言葉だった。例えそれが知り合ったばかりの人から言われたとしても。そしてなにより、彼女は実力者であることは入試のときにわかっている。

「今までの話を全てふまえた上で言うわ。黒鉄君。私の剣術を学んでみない?決めるのは見てからでも構わないわ」

「いいのかい?それなら是非お願いするよ!!早速今からいいかな!?!?」

「ちょ、ちょっと落ち着きなさい!今日は他にもするべきことがあるでしょう!」

かなり興奮して落ち着きが無い一輝にちょっと戸惑いながらも、するべきことのために落ち着かせる。

「ご、ごめん。今まで人に教えてもらったことが無かったしオレアリアさんがの剣が強いのはわかっていたからつい興奮しちゃって。それで、するべきことって?」

一輝からすれば、修行以上に大事なことなどそうそうない。

「部屋のルール決めよ。今日からここで暮らす以上、絶対に必要でしょう?あと、リアでいいわ。親しい人はみんなそう呼ぶもの」

一輝とオレアリア。二人は異性であり、異性と一緒に暮らす以上、細かいルールが必要になってくる。

(でも不思議ね。ほとんど初対面なのに、どうしてこんなに気をゆるせるのかしら。)

オレアリアは、姉エーデルワイスと一緒の時はそれはもう過保護に、そして、ヴァーミリオン皇国でも基本修行か様々な事の勉強に時間を費やしていたので、あまり人と関わっておらず慣れていないため、どうしてもすぐに仲良くなれないことが多いのだ。だからといって苦手というわけでもないのだが。それでも普通に接することが出来るのは、ヴァーミリオン皇国で受けた英才教育の賜物だ。

「じゃあ僕も一輝でいいよ。とりあえず決めるのは、お風呂、着替え、ベッドくらいかな?」

「あとは、料理、洗濯、掃除くらいかしら。一輝はどうしたい?」

「うーん……お風呂は基本的に女の子のリアが先に入ってもらって、そのあとに僕が入るっていうのでいいかな?着替えとベッドはリアの好きにしていいよ。料理と洗濯と掃除はどうする?」

(なんだか新婚の夫婦の会話みたいだな……って何考えてるんだ僕!?落ち着け!!一年間一緒に暮らすんだ!一回考えちゃったら話辛いじゃないか!)

「どうしたの?」

急にぶんぶんと頭を振る一輝に疑問を覚え、そう聞くオレアリアだったが

「なななな何でもないよっ?」

明らかに何かありそうだが、本人が言いたくなさそうなので気にしないことにした。

「そう。じゃあ、着替えとベッドなのだけどいっしょでいいわ」

「え?ええええええええええ!?なんで!?なんでそうなるのっっ!?」

「あら、好きにしろって言ったじゃない」

「いや確かに言ったけどっ!!言ったけどあれは好きな場所を選んでってだけでっ!まさかそんな答えが返って来るなんて一輝君びっくりだよっっ!!!!」

いったい自分は今日何回驚けばいいのだろうか。内心遠い目をしながらそんなことを考える一輝であった。

「ふふふっ冗談よ」

そう言って手を口に当てながらクスクスと笑うオレアリアはとても綺麗で、一輝は思わず見惚れてしまった。

「ベッドは上のベッドがいいわ。私、裸じゃないと眠れないから。着替えは脱衣場でさせてもらうわ。料理、洗濯、掃除は私がするから、お風呂洗いと荷物持ちをお願い」

またもやさらっと重大発言。まあ、一輝なら絶対に覗いたりしないと思ってるからこそだが。

「も、もう騙されないぞ!また冗談なんだろ?」

「いいえ。これは本当よ」

「えええぇ……」

もはや叫ぶ元気すら無くなって来た。

「それで、ルールはこんなものでいいかしら?」

「うん。それでいいよ。でも、そんなにいっぱい家事してもらっていいの?」

「ええ。平気よ。一輝修行は明日から。今日は荷物の整理をしましょう。私は終わってるから、買い物に行ってくるわ」

そういいオレアリアは部屋から出て行った。そして一輝は

「はあ……いろいろありすぎて疲れたよ……リアみたいな美少女と一年間同居とか僕、大丈夫かなあ……」

そうこう言いながら、荷物の整頓を終わらせてテレビを見ながら時間をつぶしているとオレアリアが帰ってきた。

「ただいまー」

「あ、お帰りー」

「もう荷物の整理は終わったの?」

「うん。終わったよ。何かすることある?」

「じゃあ、お風呂を洗ってきてくれるかしら?それが終わったら、ゆっくりしてくれてていいわ」

「了解」

そうして、特に何事も無く夕飯の時間になった。夕飯はご飯に焼き魚、味噌汁、サラダと普通の物だったのだが、

「リアって和食作れるんだね。てっきり洋食かと思ってたよ」

外国人のオレアリアが和食を作ったのだ。見た目は普通だが、味はどうかわからない。

「ええ。家事スキルは結構鍛えさせられたから、安心して。大丈夫よ。多分……」

(多分なのっ!?そこは言い切って欲しかった……)

若干不安はあるものの、作ってもらった以上食べないわけにはいかない。それに、見た目や匂いは普通なのだ。

「い、いただきます」

「え、ええ。召し上がれ」

二人の間に緊張が走る。沈黙の中、一輝が咀嚼する音だけが流れる。

「ど、どうかしら」

「うん!すごくおいしいよ!なんでこれで自信がなかったのか不思議なくらい!」

「本当?よかったわ!まともに人に食べてもらった事が無かったから不安だったのよ」

(お父様も姉さんも、かなり身内補正が入ってそうなのよね……)

ヴァーミリオン皇国では修行に明け暮れていたため、食べてもらった事があるのは身内ぐらいで、その身内はオレアリアが作ったものならなんでもおいしいと言いそうなので本当かどうかわからないのだ。

「そうなんだ。でもおいしいからもっと自信もって良いと思うよ!」

「ええ。ありがとう」

そんな感じで、破軍生活一日は平和に終わる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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入試の時に会ってる言えば会ってるのですがお互い話してないのでこのような題名にさせていただきました。
読んでいただきありがとうございました。

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